コミックエッセイの手法でうその秘話を話そうというモキュメンタリーズの2巻です。作者・百名哲のドキュメンタリーでモキュメンタリーってことです。はじめて知ったわ。そして最終巻なのね。
最大長編になる3話からなる「有明の月」。流れ流れて「何でも屋」をやっていたときの片桐さんの話。「もしも自分の描いたマンガがひとを殺したとしたらどうす?」ではじまる話よ。
同棲をしてみたいとのことで同じサークルのかわいこちゃんとセックスレス同棲をした「愛なき巣」(いま、書いてて気がついたけど、愛なき巣→愛なキスのアナグラム?)
いよいよ食い詰めた作者がテレビでやってた催眠術師になろう!って話「五円玉の行方」
1巻からの後日談になる「止めろメロス」
うむ。こんな感想どうかと思うけどエモいな。ちょっとドキュメンタリーという枠で考えるとエモすぎねえか?って感じがしないでもない。
ただあとがきを読んでちょっと意見がかわったんだよな。「五円玉の行方」と「止めろメロス」にはある事実がインスパイヤ元というかスタート地点としてリンクされている。具体的にうと実在の人物的なひとがからんでいる。その後の話もまったくちがうしまったく架空のひととしてもいいんだけど。
ただその面々がその後、ちょっとこのマンガよりエモくてリアルで、その昔悪趣味ブームって流行ってたときにある雑誌で多用されていたフレーズであるテイストレスだった。現実はなんともはや現実だ。
そう考えると、モキュメンタリーなんだし、エモくてもいいよなあと。
安心してエモに浸ることができるヨロコビを逆に感じる。有明の月や止めろメロスはエモエモで最高だった。
エラそうぶることもないけど、提案。作者はこのさき10年続く代表作を描いてアニメ化と映画化とされすっかり大漫画家になって代表作の連載の合間にモキュメンタリーズの3巻を描いてほしいなあと。たぶん、それは最高傑作になるんじゃないかなあと。
本作、エモいけど、話の奥行きはちょっと浅い。それを表現するにはもっとページ数が必要だったのかもしれないけど。
ただ、「有明の月」における餓死に至る思考回路ってのはリアルでよかったな。