2019年06月11日

ぼくたちは勉強ができない 12 筒井 大志 (集英社)


珠玉…。アニメ放映中での新刊はやはり気合が入るのかね。注目が高まるからなあ。それにきちんと高クオリティで応えるのが素晴らしい。アニメ化のときの原作単行本発売のクオリティってどれも気合入ってる説を誰か記事にまとめてくれよ(ま、「気合入ってる」が主観だからわからんか)。

勉強を教える家庭教師役の主人公がかわいい女の子に翻弄されるハーレムモノ。

表紙は読者投票で1位だった桐須先生オンリーで、当然クライマックスの話もそれを持ってきている。でも、他のキャラもそれぞれすばらしエピソードをぶっこんで色を薄めない感じ。前巻では薄めだった緒方さんとあすみさんのエピソードもすばらしい。

これがおもしろいのは、それぞれのキャラと主人公のマンツーマンのラブ模様がそれぞれレベルがちがうんだよね。
なにげに緒方さんは最初にキスしてるけどそれは事故。文乃さんはぬいぐるみ越しのキス。うるかは「あいさつ」での口のキス。そいでうるかは崖っぷちでどうするか?のキワまでいってるし、文乃は彼女らの気持ちに配慮し遠慮しつつも惹かれている自分に揺れてるし、緒方さんはピュアすぎて本人もやっと自覚し無自覚のアプローチからかなり意識して先に進んできてるし。桐須先生は先生と生徒というラインを死守してるけど惹かれる自分を否定しきれなくなり、あすみさんはそれらからいっさい距離をおいてるけどそれはポーズで本当はすごく憧れてるみたいなな。
全部別のマンガのヒロインできそうなキャラなんだよな。それらをすごく上手に交通整理してる。んまあ、もっと直截な表現するなら「まとめて」る。

と、でもそれって両刃の剣でもあるわけでさ。ラブコメで魅力的な女性を描けば描くほど、「いずれひとりを選ぶ」という展開に抵抗が生じてくるし、それが魅力的に描けば描くほど選ばれないと辛いことになるからなあ。それを選別するための11巻かと思ってたらまたリセットになったよなあ。それぞれがそれぞれの親密度をジワっと上げてる巻でさ。

作者はバランスのひとであるから、そういう方面にもいい着地点を用意しているのかそれともウヤムヤのママ終わるのか。11巻のヒキも意外に消化したしなあ。でもそれらの経験値をキャンセルしているわけでもないし。うーむ。目が離せないマンガだ。



posted by すけきょう at 18:54| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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