2019年07月26日

女子高生の無駄づかい (5)(6) ビーノ (KADOKAWA)







2019年夏にはじまったアニメをみました。季節ごとにはじまるアニメは録画できる範囲で全部とって、ひととおりみて取捨選択していくスタイルです。
本作はまったくのNO情報でそういう理由で録画されてみたものです。OPの衝撃と内容にすっかりやられていっきに揃えて読みました。
とそのタイミングでアニメ化に合わせて7月に5巻6巻同時発売。
1巻から4巻までがアマゾンキンドルお得意の「スペシャルオファー」てので少しトクだったのですべて電書版でそろえました。じゃなくても1巻から4巻までは圧倒的に電書のほうが安いです。ただ表紙がちがったりいろいろと差があるかもしれませんので、念の為。

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女子高生群像ギャグ。それぞれがシンプルにあだ名で呼び合ってるというわかりやすさ。のちに名前呼びなんかも多くなりましたが、あだ名だと、バカはバカ、オタクはオタ、無表情はロボ、幼いのはロリ、中二病はヤマイなどと。

ギャグの方向としては、少年ジャンプ系かなと思った。初期は絵柄もそうだけどギャグマンガ日和的なところが多い。
巻が進むたびにギャグ要素より百合要素やほのぼの系、泣かせ系など、いろいろと挑戦しておられる。いい意味でも悪い意味でもブレた作風。ただ、おれはその一貫性のない「おれルール」に縛られすぎてガチガチじゃない姿勢も含めて好ましい。作者の資質に合っていると思う。がっちり「おれルール」に則り、そのなかでできるかぎり精度を高めつつ冒険していく姿勢もそれはそれですばらしいけど、作者はそういうストイックなのはダメだろうなきっと。
おれルールのなさでいうと、シモも下品も汚い系も躊躇しないでいってる。ただセーフとアウトのラインを見定めてるあたりは天性のものかなあと。

あとおれルールの弱さって点でのいいところはキャラがかなり自由に交流戦をしているところだよなあ。

サザエさんでたとえてみようか。カツオというワイルドカードみたいなキャラはすべての登場人物とからむが、たとえば、中島と花沢さんはあるとしても中島とアナゴさんが組むことはないじゃない? 花沢さんと三河屋さんとか。なおかつそれで1ネタなんてまったくありえない。
本作はそれぞれのキャラの化学反応を確かめつつ1作1作ネタを作っているところがよくて無理にメインの3キャラ(バカ、オタ、ロボ)を出さずに展開する。これがまたそれぞれにちゃんと取れ高があって、各キャラをちゃんと愛してるなあと思えていいわ。それぞれの得意シリーズなんかあるのもいいしなあ。ヤマイと担任の指導室での漫才とか。それとは別にヤマイとオタの謎の交流とか。これらは安定のおもしろさがあったり。

1年生だった4巻までとちがい、2年になってからの5巻6巻はキャラが増えたのも含めて非常にいろいろと展開している。さらにバラエティ度が増している。
結果としてギャグ度もかなり薄まってきているし、悪い意味のほうでの「ブレ」が大きくなり、おれにはすべるところが多くなった。「おれには」ね。もともといろいろとあるから10割の笑率(昭和の死語やな)ではないんだけど混迷が深まったような。
キャラがきちんと育ったのでそれを泳がせておくと生まれる的ものをそのまま採集&報告ってなところもあるよなあと。ホメてるのかよくわからんけど。

ただまあそれは「過渡期」であるなと。また大笑いできるようになるなと。

5巻の白眉はオタの「歌ってみた」で、6巻はバカの「寄生虫」かね。とくに寄生虫ネタは新しいなにかを開きつつあるよな。よりよって寄生虫かよってセンスとかも含めて。

しかし、アニメもいいよなあ。アニメは3話までみたけどそれぞれ2回以上見返してる。OPなんかもう100回くらいきいたし。アニメについての思いも語りたいので折り曲げよう。気が向いた方どうぞ。






で、アニメの方。現在3話までみました。


アニメの方は原作をかなりシャッフルしてまとめてるミックスCDのような手法をとってる。そういえばOPはそのミックスCDと相性のいいラップだしな。1話ですでに4巻のネタを使ったりしているし、それぞれのエピソードをまとめてつないで1エピソードにしつつなおかつオチや細部を変えたりもして、こっちはこっちでさらにやりたい放題してるなあ。

原作をいい感じで昇華している。それぞれよくなったり蛇足だったり不足だったりと思うところも含めて。あとマンガで映えるネタとかもあるよね。「鼻丸さん」とか。鼻が目立つ清掃員をロボが勝手に「鼻丸さん」と呼びかけてるのを律儀に「柴崎です」と訂正するあたり。この間はアニメのほうがいいけど、「なんでハナマル?」って謎だろうなあ。あとギャグ漫画でよくある「少女漫画見つめ合い」オチが案外多いがアニメでそれは難しいんだろうなあと。

原作アニメともに未完成こそが華って気がするし。ちょっとニュアンスちがうかな。すべてまったく変更を許さない完璧な原作にしてそれを完璧にカバーしたアニメ化にするのってちがうよなあって。そうするべきなのもあるけど。本作はそうじゃないし、それをよくわかってるなあと思ったりする。その原作、アニメ、あと声優さんの演技(の解釈)も含めて、みんないいなと。

そう、声優の仕事なあ。「無駄に豪華な声優」なんて謳ってるとおりベテランのビッグネームばかりなんだよね。
これ、メイン3人が人妻ってのがすごいよなあ。こうベテランを起用すると、なんていうかなベテラン声優特有の「笑わせノリ」みたいのが出てくるんだよなあ。これがかなり冒険にはなる。本作の場合は女子高生自体にそれほど焦点を合わせてなく時事を追ってるわけでもないし、やりとりが大事なのでそこそこのベテラン同士の阿吽の呼吸が大事なんだろうなあ。そういった意味じゃキャスティングは相当天才の仕事だと思います。
なによりこの3人じゃなかったらあの奇跡のOPとEDができなかった。とくにそこに惚れ込んだのが早い。
ただこれ声優が豪華すぎて(ソロデビューしてる人、主役張ってるひとがゴロゴロいるもんなあ)キャラソンは出ないだろうなあ。この作者の別の人用の曲もきいたみたかったわ。
2期があるかどうか、正直なところみたいかどうかって微妙だけど、あるならよろこぶだろうし1期はこの先も本当に楽しみではあります。



posted by すけきょう at 17:23| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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