2019年08月17日

涙煮込み愛辛さマシマシ にくまん子 (KADOKAWA)




2019年はにくまん子さんが世間にみつかりなおかつ席巻した記念すべき年かと思う。にくまん子イヤー。
ということで今年3冊めの作品集。また同人誌からの編集版なのかしら。別にそれは問題ない。

だめな男女の恋愛模様な短編集。4pくらいのから長めのやつから、ベタに王道なのから実験的なのから。

時系列がわからないから迂闊なこともいえないんだけど、前作である同人編集版「恋煮込み愛つゆだく大盛り」よりは最近な感じはあるし、実験的な作風はちょっと引っ込め気味ではあるのかな。

それでも惑星にロケットで行き留学してくる遠距離恋愛を描いた「とおくとおくとおくのほしきみはしらないしらないわたしのはなし」とかすごい。なにがすごいって設定はバリバリのSFなのにSFの部分が絵日記で描かれていて、そうじゃないところの描写は「現代」のそれでさ。スマホで連絡とるとか未来ブラジャーみたいなものがあるわけでないし。まさに「現代」(素人でも宇宙に出かけられるテクノロジーだけ発展してそれ以外はまるで現代)って無理してないSFが斬新だったり。

かと思えば2pでほぼにくまん子マンガのキモを鮮やかに押さえたといえる「セックスもする友達」の切れ味最高。4pの「ガラスのくつずれ」の現在も連載しているしこれまた2019年に単行本をお発売した「泥の女通信」的な「きれい」にまとめたマンガがまたとても気持ちいい。

で、前作「恋煮込み愛つゆだく大盛り」において多くの人を虜にした「よよの渦」のよよ的なキャラがまた爆誕しましたよ。本作のクライマックスである「考えるアシコ」のアシコですよ。いまここまで書いてわかりましたが、「考える葦(子)」にかけてるのか。
ちょっとひとより考えすぎるからとろくみえるアシコさんの話。ほのぼのオムニバス4コマから「なんだこれは」というラストに到着する。すごいわ。すごいとしかいいようがない。それはだってこっちの貧弱な交友人生では出会ってないような、もしくはおれが節穴だからみつけたなかっただけなのかわからんけど、そういうアシコのすごさを「すごい」っておれみたいなぼんやりにもわかるように描いてるのがすごいんだよ。すごいしかいってない。

なおかつさっきも出したよよの別のエピソードがあるのもまたうれしくてかつ胸が締め付けられるだよな。それは「よよの渦」の結末を知っているからなんだろうが。

VIVA!にくまん子イヤー!




posted by すけきょう at 10:45| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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