2019年08月17日

六道の悪女たち(16)中村勇志 (秋田書店)




この巻ちょっと尋常じゃないものがあったので取り上げます。だいたいがコミックも10巻を超えて毎巻感想なんてかけないわなあ。「おもしろかった」しかねえっての(このサイトの存在否定)。まあ、同出版社で同時期から刊行されてアニメ化も決まったり各種漫画賞ももらってるアレの最新刊はまだ読んでないというのを差し置いて書きます。

なにに感じ入ったのかちょっと説明が必要なのでちょっと長くなりますがご容赦を。

六道という冴えない男がいます。おじいちゃんの秘術で悪女にだけモテる体質になります。そういうヤンキーバトルとラブコメとギャグがまざったようなマンガです。

16巻ではシリーズ最長の争いであった鬼島連合との残党3人が登場します。
1組は兄妹の双子でお互いに女装男装して性差を変えます。そしてもうひとりはサディスティックな思いが高まりすぎて、強い男を屈服させることにのみ喜びを感じるタイプです。だから前の戦いでは六道はモテましたがいたぶられる方向にモテました。

双子のほうは六道と敵対する高校に入学しました。ところがその高校で「狩り」がはじまります。まあ犯人はもう一方のサドガールなんですが。そいで、六道に惚れてる双子の妹が六道に助けを求めます。
ところが、敵対する高校だけあって番長はそれをメンツの問題として断ります。

だからどうした?

この答えがすばらしかったんですよ。

答えはシンプルだったんです。六道を女装させて高校に侵入させました。ほかの六道グループも変装してます。
このことによりとてつもない化学変化が巻きおこる。

まず敵対する高校の番長(男)が女装した六道に惚れる。
そして男装してる妹(女)はそれを防ぐために「つきあっている」と宣言する。
なおかつサドガール(女)は女装した六道をストレートに恋愛対象として惚れる。
その結果、六道とつきあってる男装妹をサドガールが横恋慕で憎むという。

いやあすげえ。女装するというシンプルな変化でこれだけの複雑な反応が起こり、それぞれはスムーズで自然で、かつ、圧倒的にドタバタでおもしろい。すげえなと思った。発想の転換というか。どうしてこの3人を残したのかってわかったわ。

ヤンキーバトルマンガなんかまったく興味ないので大半はスルーしてるけど、本作は、できる限りその「端っこ」のほうに立とうとしてあらゆるバリエーションを盛り込んでくる読者を楽しませようという気概に惚れるね。亜流だけど王道。抜け道だけど本道。

最高です。





posted by すけきょう at 11:34| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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