2019年11月14日

性的な宇崎ちゃん 〜宇崎ちゃんは遊びたい!の読み方










うざい後輩宇崎ちゃんが先輩にちょっかいを出してるマンガ。
献血ポスターの問題で悪名が轟いてしまった令和元年です。その原因のほぼすべては宇崎ちゃんのおっぱいです。
最初反対派が「奇乳」などというくらいの大きさではあります(すぐにこれは「スジが悪い」と気づいて撤回しましたが)。
そのほかのすべてはあの乳における嫌悪からの後付の理屈ですね。

あの乳をみて「性的」と思うのは実は正しいリアクションではあります。マンガ内でも重要なポイントになっています。広義では「性的」であることはまちがいないです。なんていうかアイコンとしての爆乳なんですよね。性的喚起を促すためのアイコン。
ただし、
そう「ただし」がつきます。

物語の骨子は先に書いたとおり、ボッチ気質の先輩になにかとからむうざい後輩の宇崎ちゃんです。
この骨子だけだと実は宇崎ちゃんが男でも成立する話ではあります。友情物語にもエロコメにもラブコメにもできますし。まあ、BLにもできます。

ただ、あの乳だからこそ成立するのがこのマンガのキモなのです。

ラブコメでおなじみの朴念仁のニブチン主人公は、あの乳によって女性ということを否が応でも意識するようにできてます。でも、それは広義での「性的」といえばそうだけどレベルでいうとせいぜいで「読者サービス」です。目を引くアイキャッチ的な。
実際、読者側のビジュアルも助かるけどね(それが問題を生み出したのでもありますが)。

おっぱいが大きかったらそこに性的なものが生まれるのは必然ではあるけど、上記のとおり、宇崎ちゃんのおっぱいは、そうでもしておかないと先輩は宇崎ちゃんをただの男の後輩として扱うだろうし、実際多くの場合そう扱っている。そこに「すげえおっぱい」というアクセントが生じることにより「彼女は女」という軽い「ジャブ」が入ることでときおり意識する瞬間が生まれる。それにより淡い恋心もふわっと起こる。

この「ジャブ」が重要なのですね。むしろ、ツルペタの宇崎ちゃんだったら、宇崎ちゃんを「女性」と意識した瞬間に成年コミックに突入するじゃないですか。そうなるとただの先輩後輩から恋人になり肉欲の日々です。ラブコメというジャンルとして成立しなくなるし、そもそもマンガとして成立しにくくなる、もっとあからさまなことをいえばマンガとしてはつまらなくなる。

もっといえばあのおっぱいのためにマンガが「性的になりすぎる」のを抑制する効果を果たしているわけです。おっぱいのお色気でそれ以上のお色気展開を阻止してるのです。
現実ではどうなのかはわかりませんが、ラブコメ世界では大きすぎるおっぱいは往々にしてそれ以上の進行にブレーキをかける役割「も」果たすことがある。抑制たる乳。寸止めたる乳。クッションたる乳。もちろんアクセルにもなりますがそこはそれ。

そういうデリケートな読解力(要経験値)が必要なマンガなので献血のポスターにしたのは微妙な判断ではありました。
マンガでの宇崎ちゃんが好きだから担当はポスターに採用したわけで、それはつまり、宇崎ちゃんの魅力を理解した上でやってるから、それを読み取れない方々の「性的」という浅いレベルでの指摘は寝耳に水だろうなあと。そして宇崎ちゃんの魅力をわかってもらえなくて残念だったろうし、そういうラブコメのお約束は思った以上に浸透されてないし理解されなかったんだなと。そこに怒りも悲しみも感じました。

正直なところ以前の「ゆらぎ荘の幽奈さん」や「のうりん」に関しては本編の内容を知らなかったのでなんともいえないところがありました。その分、「むこう」の言い分も逆にちょっとわかったりするが、原作を読んでいる宇崎ちゃんの言いがかりはかなりオーバーに思いました。
ということはつまり幽奈さんやのうりんもその可能性が大だし、実際、そのあと「幽奈さん」はアニメ化されたりマンガを1巻読んでみたかぎりではとてもいいジェントルでフェミな主人公だよなとは思う。マンガの影響を受けたのならむしろ男子たちは立派なフェミニストになるんじゃないかと思えるくらい。宇崎ちゃん問題から派生してジャンプにフェミなマンガを載せろという意見もありましたが幽奈さん読んでろよと。十分かどうかはともかく女性に優しく接する子供に育つ可能性は大きいです。

つまりいいたいことは、宇崎ちゃんを「ちゃんと」読め!と。マンガを「ちゃんと」読め!と。

そういうことで宇崎ちゃんはあのポスターだけではわからない魅力にあふれるマンガではあるのでぜひお試しください。マンガの「読解力」を鍛えてください。






posted by すけきょう at 13:40| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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