2020年02月06日

田島列島短編集 ごあいさつ 田島列島(講談社)



「子供はわかってあげない」の実写映画化が決まり、「水は海に向かって流れる」の2巻が発売されてーの短編集。すごいね。

「子供はわかってあげない」のコミックが出たときに「すごいものが出た」と大騒ぎしてましたが、そのとき、どこかに「作者は短編もおもしろい」と読んで、すごく気になっていたのですよ。なんんとなれば「子供はわかってあげない」よりおもしろいまであったから。

本作は2014年から2017年まで描かれた読み切り7編に1pマンガやイラストをいれたもの。

不倫をしている姉のもとに不倫相手の妻が日参してくる「ごあいさつ」
(今連載中の水は海に向かって流れるは親が不倫していた同士がひとつ屋根の下のアパートに住むというマンガや)

会社内の女性社員に「おっぱいを吸わせてください」とお願いする「おっぱいありがとう」
(お願いするのも女性)

初対面の女性に「じゃんけんしよう。私に勝ったら30万円あげる」といわれる「お金のある風景」
(オチがステキ)

などなど。
のんきムード充満の作風はずっとそうなので、これは作者にしかない生体リズムだなと思わせつつも、ソリッドにさっくりあっさり仕上げる手法は短編のほうがいいですね。あっさりふっくら仕立てなのに人間関係の「ひっかかり」みたいなものがそのまま物語全体の余韻として残る。人間関係って魚の小骨みたいなもんなんすね。

しかし「Not found」の生殺し感はすごい残るな。男視点だと「どうしろと?」と途方にくれる感じが多い。
田島作品に登場する女性はかわいいし愛らしいけどなんだか難しいひとが多い。
かんたんに感情移入させてあげない、好きにさせてあげないって一筋縄でいかない感じ。
それこそ「子供はわかってあげない」「水は海に向かって流れる」のヒロインにも通じるところがある。


posted by すけきょう at 10:53| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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