2020年02月06日

近所の最果て 澤江ポンプ短編集 澤江ポンプ(リイド社)



「パンダ探偵」の澤江ポンプ氏の初短編集。

[パンダ探偵社 1 澤江ポンプ(リイド社 torch comics): ポトチャリコミック]

作者は直腸がんになり療養しつつということで(本作のあとがきマンガにありました)、パンダ探偵はどうなるのかわかりませんが、これまでの短編集が出ました。

これがとてもおもしろい短編集です。10年という歳月で描かれており、なおかつ、商業誌掲載のものから、Twitterに発表した身辺雑記的なものと、雑多という意味では恐ろしい幅があります。川といいつつ黄河とかナイル川ってくらいの幅です。絵柄もかなりな幅。というか、全作品ちがう気がするな(日々試行錯誤されてるような)。ジャンルもSFからコメディ、ホラー、アクション、ガロ的なのや、ナンセンスギャグ、感動巨編(短編集だから巨はねえか)などなど。


ただひとつすごい狭い幅があります。前記の通り「おもしろい」ことですね。「おもしろい」以外の評価の幅がない。みんな「おもしろい」んだ。

「あー、これおもしろい」「これいいなあおもしろい」「いや、すげえいいなあ」「お、これもかなり」みたいにおもしろがっているうちに終わってしまうという。

ただ、メリハリはある。

妻が裸族の話「ハダカヨメ」からはじまり、不思議少女がやってくる「夜明けの未来ちゃん」、プロレスアクション巨編「レッツインテリ」、ガロに載っててもおかしくない「煙街」、本来はパンダ探偵に載せる予定の「はっぱの人」。

そして、ラストはやっぱりこれになるだろうなあって「サイコンクエスト」で終わる。

うんおもしろいおもしろいおもしろい。いつでもどこからどう読んでもおもしろい。すごいおもしろい。

と、おもしろいがたくさんつまった短編集です。2020マンガ短編集でもトップになると思います。このレベルの短編集は今年はもうないだろう。気が早いですが。


posted by すけきょう at 12:25| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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