2024年03月24日

異世界サムライ 斎藤勁吾(メディアファクトリー)

異世界サムライ 3 (MFC) [ 齋藤 勁吾 ] - 楽天ブックス
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異世界転生ものもゲーが出るほどあって、あらゆるバリエーションが作られているゴールドラッシュの真っ只中で飽和通り越したと思ってるのに、その飽和の泡の中から新しい「なにか」が生まれてきているのがすごいです。

日本のサムライが異世界転生するなんてベタ中のベタかと思いつつ、まず、作画の鮮烈さに心を撃ち抜かれる。まあほれぼれと見とれるばかり画だね。1巻はほぼ画のイキオイにあっけにとられたまま読了だったな。

武士道を貫いてるという女性主人公。次にこれが効いてくる。ジャパニーズクレイジーブシドーです。武士として生きるために自ら顔に刀傷を作り、最後の稽古として父親と真剣試合をして父を殺し、関が原に死地を求めて乗り込むも、気絶してる間に合戦が終わり、辻斬りのよな真似をして腕自慢と果たし合いを100連勝し、仏門に帰依するも許しを請わず、ずっと敵を切り刻みたいと仏の前に祈るような、ハリウッドザコシショウのネタ的に誇張しすぎた武士なんですよね(あるいは戦国時代はそうだったのかもしれないが)。
そのキャラに異世界のひとびとは畏怖するのです。なぜなら、異世界はvs魔獣魔族という人類の天敵がいるのでひと同士で殺し合ってる場合じゃないのです。だから、人斬りに1mmも躊躇しない主人公はもう魔族くらい怖いのです。この設定よく考えてあるし、よく描けています。

しかし、異世界の作り込みも複雑にならなすぎるように苦心されてますが、なかなか複雑に積み上げられていきます。

余談。この作者ってことではないのだけど、異世界を描くのを好むひとはわりに「設定」を組み立てるのが好きじゃないかなあと。
もちろんこれまでの「有り物」に全乗っかりしているひとも多いし、それでおもしろいものが作ることができるなら問題はないんだけど、考えた設定を「全部描きたい」って欲は、創作、とくに異世界モノを描くひとに多いし、それを要求する読者(熱心な読者って層ね)も多いけど、危険だと思っております。

異世界のキャラも魔界のほうもいい感じです。
ジョーカーのような強さの主人公に負けてないキャラたちだし、これらの魅力はまた絵に返ってきます。
血なまぐさいがポップ。それでいて迫力も十分だし、それぞれオリジナリティがある。

最近のマンガのトレンドのテンポ(個人的にそう思ってるやつ)で速いですが、3巻でドカドカ新キャラ投入してテンポが落ちてきてるかな。それも今風ではあるけど、NOTFORMEではある。(これが前記の「危険」の要因)
個人的には新展開より新キャラ投入を慎重にしたほうがいいとは常々思ってます。おれがマンガのキャラでさえも人見知りする体質だからかもとは思いますが。

4巻ではそれらの新キャラが忘れられずにバシッとした活躍しますようにと。

異世界サムライ 3 (MFC) - 齋藤 勁吾
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異世界サムライ 2 (MFC) - 齋藤 勁吾
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異世界サムライ 1 (MFC) - 齋藤 勁吾
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posted by すけきょう at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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