2024年06月25日

スキップとローファー 高松 美咲 (講談社)

【全巻】スキップとローファー 1-10巻セット (アフタヌーンKC) [ 高松 美咲 ] - 楽天ブックス
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スキップとローファーは天才バカボンです。
さしあたりこの画像を見ていただきましょう。アニメ天才バカボンのOPですね。初代です。元祖でも平成でもレレレでも深夜でもありません。
有名な歌です。適当に検索すると聞くことができるでしょう。

西から登ったおひさまが東に沈む〜ではじまります。(手頃な動画があったんですがサイバー攻撃を受けてダウンしてます)

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西から登ったおひさまが東に沈む〜のところのバカボン
柳の下に猫がいるだからネコヤナギ〜のところのパパ

つまりなにがいいたいのかというと、スキップとローファーの登場人物はバカボンやパパのように掘り下げられてこういう足場の不安定なところで毎日がんばって立っているなあということがいいたいわけです。
本作の登場人物はえげつないまで人物像を掘り下げられてます。最新10巻では元生徒会長がザクザク掘られております。しかも「マジだる…」って感じで。
個人的に1番きつい「掘られ」だなと思いました。痛い痛い。彼が感情的になるシーンはとても痛かった。似たようなことした封印されし記憶の扉がゴゴゴと開きかけます。
この解決法で、彼がすごいやつだなとも思いました。

スクールライフコメディと帯には書いてあるけど、読後、自分も掘られたような気持ちになるんですよね。不完全燃焼のスクールライフを送ったひとには堪えます。そもそも完全燃焼悔いのないスクールライフを過ごしたって思ってるひとは大いなる勘違いか忘れているだけだと思われます。あの時期に「黒」を体験してない人間はいない。

と。性善説で、どのキャラも作者に愛情たっぷり注ぎ込まれた「いいひと」のように描かれつつも、同時にオノレの汚さと雑魚っぷりに頭から黒い臭い煙が出てオーバーヒートで立ちすくんでおります。自分を燃してる火葬場の煙を見ているような。それでも人生は続いていくのだなと。そしてじわじわと一歩踏み出すしかないと。そう思っていられるのは、もはや高校生に共感性羞恥心を持たない程度には、すれた人間になれたからでしょうか。おれにもスキップとローファーのキャラみたいに作者から暖かく守ってくれてる存在があったと思います。ま、親とか。

そしてここから本編とは関係のない与太話ゾーンに突入ですよ。

今年のマンガにおけるキーワードは「雑魚」だと思っている。取るに足らないキャラを取るに足らなく描く。
それは若すぎて足らなすぎるキャラを描くための定石ではあるんだけど、その描き方に新風が巻き起こっているような気がする。
そして、たぶん、その流れの最初の一滴になっているものに本作もあると思う。
本作の登場人物は遠慮なしに裸にされる。無防備な弱い自分を思い知らされるエピソードが満載。しかも、かなり「平等」に裸にされる。成年コミックやエロゲーでたとえたいところだがここではさておきましょう。
そこを作者EYEで優しく見守っている図式。これに救われているし、それが作品全体を世知辛いが優しい世界ってトーンにしているんだなと。

雑魚は世界を救ったりはしないけど、多少の安心はもたらしてくれそうだね。

スキップとローファー(10) (アフタヌーンコミックス) - 高松美咲
スキップとローファー(10) (アフタヌーンコミックス) - 高松美咲
posted by すけきょう at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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