路傍のフジイ(1) (ビッグ コミックス) [ 鍋 倉夫 ] - 楽天ブックス
既刊3巻。
あらすじや概要を書こうとして、難しいマンガだなと思った。
主人公フジイ。40オーバーで派遣で働いているさえない男。誰とでも敬語で話し、なにを考えるかよくわからない。どこか一芸に秀でているわけでもない。THE 取るに足りない男。けして人生に関わるような大事な人物ではない。でも、、、
ああ、3巻にうまくセリフで抜き出してあるね。丸引用。
「恋愛感情とは違うんだよな… 藤井さんを見てると人間そのものを少し好きになれるというか…」
「別に、会って何するわけじゃないんだけど… 時々 無性に会いたくなるんだよね」
これらはフジイと交流があったり過去にあったひとのモノローグですね。
フジイはさしてなにかをしたわけではないです。協調性があるわけでもセンスや含蓄があったり、逆に無口で男前ムーブをかますこともせず、その場にただ居る。静かにいて尋ねられたことはなんでも答える。思ったことも率直に言う。行動もする。独身なことや趣味やら態度をいじられたとしてもはにかんでじっとしている。
多趣味でいろいろなことをするんだけど、そのどれもが秀でているわけでもない。絵を描いたり、皿を焼いたり、ギターを弾いて歌うけど、どれも素人レベル。
だけどその率直さに疲れないし居心地がいいので懐いてくるひとが現れる。のちに役者になったり有名になったりして、ふと、フジイどうしてるんだろう?と思う。
そういう感じのマンガ。
フジイをみていると、あるひとを思い出す。
と、以降とうとうと前職で知り合ったフジイみたいなひとのことを書こうとして、ふと気がつく。
もしかして、「路傍のフジイ」を読んだひとには、みな、それぞれのMYフジイを連想しているのではないか?と。
そしてそれは本作に魅入られている証ではないのかと?
ふう、危ないところだった。1巻は鳥を捕まえる話。2巻は嵐の夜にフリマの準備をする話。占い師の話も好きだな。3巻はスキニーゴートのライブに行く話が好き。
って、まんまとフジイにやられてるなあ。
でも、これを書くために読み返していて思い出したけど、フジイの本名、店をやっていたときの隣人だな。なかなかアレなひとだった。本書のフジイの真逆にいるひと。ま、よくある名字に名前だもんね。
路傍のフジイ(2) (ビッグコミックス) - 鍋倉夫
路傍のフジイ(3) (ビッグコミックス) - 鍋倉夫