ルリドラゴン 2 (ジャンプコミックス) [ 眞藤 雅興 ] - 楽天ブックス
1巻で彗星のように盛り上がって連載になったけど、彗星のように休まれて2年ぶりの2巻が彗星のように出たところです。現在どう話題になってるのか彗星のようにわからないのですが、2巻もおもしろかったので彗星のように感想を書きます。
ルリさんはある朝起きたら角が生えてました。お母さんに相談したら、あなたはドラゴンとの間に生まれた子供だからこれからドラゴンとして生きましょうっていわれる。
ええっ?と思いながらも学校に行く。
それではじまるルリドラゴンライフ。
2巻では、体育祭委員会でがんばって動いたり、同級生とケンカして仲直りしたりしてます。
ルリさん、1巻1話1コマで、もうツノが生えてます。だから読者はずっとドラゴンとしてのルリさんしかみていない。
そして1話の終わり際で授業中に火を吐いてます。
この1話が強烈でした。
逆異世界転生だなと。
現代の人間として異世界に転生するのが異世界転生。亜人として現代社会にいるのが逆異世界転生。
異世界では亜人は珍しくもないってあたりのあわせ鏡のように、ルリは周囲に騒がれすぎてませんよね。ルリ自体もドラゴンの前のルリとしている。極力平然としている。ドラゴンですがなにか?的な。
でも、それでも学校での先生や生徒の関心の薄さが異常ですよね。初日に誰かSNSにアップするだろうし大騒ぎするだろうし、どう考えてもそれがバズらないはずがない。そういった意味じゃファンタジーなんだよね。でも、逆にリアルなのか?これまでツノの生えた女性が周りにいたことないんだけど、学校で同級生になったら「魔女の宅急便」のトンボみたいに「おーい!魔女子さーん!」ってなちょっかいをすげえかけそうな気がするんだよなあ。(【追記】に追記あり)
ま、ともかく。ルリは「そういうもんだ」って注目はされるけど放置気味なのです。
でもって、「ドラゴンみ」のある、基本人見知りだけど、ときおりグイグイくるJKのちょっとケレンある日常マンガと。
そいでもって彼女はドラゴン9の特徴を発動していきます。1話でツノが生えて、火を吐いた。1巻の終わりでは帯電して雷を落とした。
どんどんと人間のまま中身はドラゴンになっていく。
2巻では彼女を嫌う同級生女性が登場し衝突します。でも、ドラゴンとしてではなくて彼女の性格が嫌いということで、ツノが生えてることや火を吐くことでは嫌わない感じ。3巻(執筆時点では未発売)ではそのことを嫌うひとも出てくるけどね。
ドラゴンとJKライフをうまく兼任している。
あ!唐突に。
そうか、これって昭和のギャグマンガだ。
たとえば、藤子不二雄作品はそうだ。現実社会に「ストレンジャー」がいるが、それをみんな受け入れている。高橋留美子作品も鳥山明作品もそうだ。
ドラえもんが街を歩いても、ラムが空を飛んでいても、アラレちゃんがウンチをつついていても、周囲のひとはなにも思わない。ドラえもんの秘密道具や、ラムの電撃や、アラレちゃんの体当たりに、巻き添えを食う確率は低くないと思うが、みんなそれに対して声を上げない。公園で子どもが遊んでいるだけでうるさいって騒ぐ現実社会なのに。
なぜか?
ギャグマンガだからだ。マンガだからだ。現実とはちがうからだ。
ルリドラゴンも同じではあるんだな。
ただ、ルリは悩んだり火を吐いて、いま、「ここ」で生きている。令和の「ここ」と非常に近い「ここ」に。
・それはなんだ? それは希望なんだよ。
希望? それはなんだ?
わからんが、書きたくなったので。あれこそが多様性の象徴だとかなんとか適当なことは書けるけど、なんかわからん。
でも、マンガってそういうことじゃん?
マンガだから嘘を描くのはよろしくない?マンガは100%嘘だよ。そこに現実を見出すのはナンセンスであるが、逆に希望でもある。
漫画誌モーニング「お詫び」掲載 島耕作「辺野古で日当」表現 編集部「再発防止努める」(琉球新報) - Yahoo!ニュース
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「お詫び」では作品制作の取材過程で作者らが聞き、描いた「新基地建設反対派のアルバイトがある」などの話は「当事者からは確認の取れていない伝聞」と説明し「軽率な判断だった」とした。
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だから、本当にあったこととかは嘘のネーミングにするんですけどね。辺野古じゃなくて辺野新とかにするんですよね。
ここらへんにいろいろと思うことはあるけど、ポジティブに捉えるなら、マンガはもはや現実と混同するくらいリアルってことなんですね。つまり、ツノの生えてるドラゴンJKもどこかにいるし、純情なサキュバスが同居していたり、オタクに優しいギャルもいるかもしれないし、異世界転生もある。それって希望だなと。
(辺野古でアルバイトは希望か知らんけど)
【追記】
インターネットの流行り廃りの動きをわかりすぎていて、ネットミームの変遷の再現度が高い「街中で火ぃ吹いたらバズった後炎上した話」 - Togetter [トゥギャッター]
ドラゴンの娘が火を吹いたところをSNSに挙げられてバズってしまう話。
ルリドラゴンであり得る展開ではありますよね。
取り上げられたマンガは「ウィッチウォッチ」ですね。アニメ化決定している大人気マンガですね。
ウィッチウォッチ 篠原健太 (集英社): ポトチャリコミック(〜15巻までの感想)
ウィッチウォッチ 篠原 健太 集英社: ポトチャリコミック(〜8巻までの感想)
ルリドラゴンで同じことが起こってないのはなぜか?
ここまでお読みになった方はわかりますよね?
マンガだからなんですよね。
すごく簡単にいうとさじ加減だけど。だって、ウィッチウォッチにしたところで、ほうきにまたがって空を飛んでる魔女他があちこちにいるのに、いまさらでしょ?
マンガ内にあるお約束、ルールは、作者の考え次第ではあります。すごく元も子もありませんが、これはかなり重要なことです。
嘘であり本当でもある。ファンタジーの世界を描くにあたって現実をどれくらいの割合で混ぜるかは作品次第。
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がんばるよ
…わたしも
できる限りは
普通のフリ
したいもん
今まで人間
だったんだから
>
ルリさんがドラゴンとして父と暮らす手もあると母に問いかけられたときの返答です。
ルリさんはドラゴンではありますが、人間としてできる限り生きていこう。そういう物語なんですよね。
ドラゴンになっていく。でも、人間として生きようとがんばる。
ドラゴン=ファンタジーで人間=現実と考えるのならば、そういう「さじ加減」のマンガなんですよね。
あらゆるマンガのそれぞれのさじ加減を味わうことがマンガ読みには大事ってことですね。
島耕作もルリドラゴンもドラえもんもファンタジーの話ですが、さじ加減がちがうから、つい混同しがちのひとが現れるわけですね。
もっと注意深くマンガを読もうと思った。
それはそれとしてルリさんはあまり性的な感じはしないですけど、一方で生々しさはありますね。そこがまた魅力なんですね。
んー、生々し。他作品を引き合いに出すのはもうしわけないですが、こういうところに「よつばと!」な雰囲気があるのですねえ。
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