2025年09月28日

つくもごみ panpanya(白泉社)

つくもごみ (書籍扱い楽園コミックス) [ panpanya ] - 楽天ブックス
つくもごみ (書籍扱い楽園コミックス) [ panpanya ] - 楽天ブックス

さて、なかには紙で買ったほうがいいと思われる本は多いですが、作者指定でいうとpanpanya氏の著作ですね。

【インタビュー】 単行本に水槽が付録でついてくる!? 『足摺り水族館』 panpanya 【前編】  |  このマンガがすごい!WEB

商業デビューとなる「足摺り水族館 」からいまもなお年に1冊ペースで出続けている作品集は、装丁が全部違う。判型は同じですが紙がちがう。紙が違うとなると手触りがちがう。そうなると電書ではわからないわけです。電書は便利ですが「指」が喜ばないんですよね。

そぞろ各地探訪 特設サイト | 1月と7月

その「足摺り水族館」以来発売された1月と7月からの「そぞろ各地探訪」は奇天烈な装丁オブジイヤーってモノです。
上記リンク先を参照していただけたらよくわかりますが、

「1月と7月」から刊行した雑誌「1月と7月」誌にて連載されていた、「1月か7月」全六回の単行本であるとともに、panpanyaが過去に個人制作し、刊行した「旅の本」6冊を合本するものです。


これ「そのまま」合本にしてるんですよね。判型も紙質も内容(旅という点では一致してる)以外はなんもかんもちがうのをそのままバチンと1冊にしたまさに旅の思い出やおみやげなんかをかき集めてスクラップみたいに1冊にしたものなのです。
2750円でしたが衝動買いしました。すごい作りになってました。最高です。

これも最高でしたが取り上げるのは「つくもごみ」です。こちらは毎年出している白泉社のものです。ずっと独自の道をひた進んでいる「楽園」で長期連載されてますね。

毎回装丁がちがうなんて書きましたが、内容の方は、あいも変わらずのpanpanyaワールドといいますか。
ほぼずっと登場する主人公少女と不思議とざっくり片付けるのもどうかなと思えるpanpanyaワールドです。

下校中の街なか(都会っぽい)に現れたカニをワナを作って捕まえる「カニに誘われて2」
家を出た道路にあった標識。強風でポールだけになってる。ここになんの標識があったか思い出せない「何のこれ識」
うさぎとカメがレースをしている現場をたまたま目撃したので「史実」どおりカメを勝利させようと画策する「勝利のしくみ」

これらはなんというかpanpanyaにしか出せないいつものAランチって味わいです。

本作「つくもごみ」にはそれらの流れにありながらわりとエモ多めになっていると思うんですよね。

たとえば「わかった思い出」「行掛り」「動物の分際」「つくもごみ」。これらは読み終わったあとにおや?とこれまでのpanpanya作品にないところを刺激されるような気がする。
率直に書かせてもらうなら、ちょっと泣ける。とくに「動物の分際」と「つくもごみ」。なんていうか「寂しさ」からくる泣きかな。こういう言い方をするのも申し訳ないですが、これまでにはないエモだのメロだのの成分のようで戸惑うほどなんですよね。

マンガ家は、って、ざっくりとした主語が大きい話を語らせてもらいますが、ある程度のキャリアを積み重ねるとどのような作風であろうと、「メジャー」になっていくなあと思われます。メジャーってのもちがうな。ポピュラリティが具現化してくるというかな。多くのひとに向けてというとまたちがうか。大衆性を得るっていうといいのかな。明確明晰になるというか。それは必然ではありますね。売れ方売り方がわかり、読まれ方がわかる。そうなるとノウハウがわかりチカラが抜けてわかりやすく読みやすくなる。円熟味?

もっと具体的にいうと感傷的になる。ベタになる泣かせてくる。
もちろん作者それぞれの作風によってその含有量は違うのだが。

で、まあ、それがよかったんですね。おもしろかったです。相変わらず毎度毎度読む価値があります。


つくもごみ (楽園コミックス) - panpanya
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posted by すけきょう sukekyo at 14:33| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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