サレ妻漫画家の旦捨離戦記(5)【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
マンガ家楠木桂氏がエライ思いして結婚して出産して幸せに暮らせていると思っていたけど、そのダンナは愛人と15年W不倫し続けていたってのを暴露した話。
9巻で完結。単話売りで1話あたり20ページちょっとで9巻。だから紙版の単行本換算で1巻分くらいかね。1巻110円なのでお値段も紙版1冊くらい。
悪意しかないダンナや愛人や義母などの描画(とくに愛人の描画が)、客観的な事実を並べつつも、どこまでいっても主観視点(それはしょうがないけど)なんだけど、不倫ってことはまちがいないからね。そりゃボロクソ描く「権利」はあるわけだって感じ。
ただまあ描きたくなる気分がわかるくらい地獄でさ。
それを「ぶちまけてやる」ってイキオイで描いてるのでかなり明け透け。これを読んでいるあなたの想像の10倍以上明け透け。リベンジポルノであるリベンジコミックとなります。
多分に正しくあったことなんだろうが、旦那がまあすごい。不倫され、それが発覚したあとにもいろいろあるから(子供のこととか)、一緒に住んでいるときの感じとか。
そのときの作者の取り乱し様とかまあ明け透けだし、それを「ちゃんと」描いてるのがまたすごい。
「そういうの」に特化したエッセイコミックはあまり読んでないけど、日常エッセイコミックを長らく描いてる人気マンガ家はどういうわけかけっこう離婚している。日常を描くから報告はしてしまう。でも、そこらへんはぼやかした描き方が多いです。
それはまあ、どうしても露悪的なことだし、どうしても思い出したくないことだし、マンガ化するってことはかなりな労力と気力が必要だしね。本作もその理由で「連載」というカタチになってました。
不育症戦記〜生きた赤ちゃん抱けるまで〜【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
「不育症」の作者が「どうしても2人目がほしい」とトライにトライを重ねて30代をほぼ妊娠しながら悲しみにくれて、ついに40歳で、2度の死産から子どもを授かったという感動(ん?そうかって思うところも多いが)話の「続編」って考えるとまた凄まじいんよね。
そして、その作品の終盤あたりから不倫がはじまっていたってことも。そう考えるとこのハッピーエンドの手前から旦那はすでにあちこちでおかしいってわかるのがまた。
この話で1番気持ち悪いのがダンナの友達がみんなして不倫を隠して庇って擁護してたこと。本当に気持ち悪い関係だ。
とくに、愛妻家の仲間を巻き込むのは悪いって愛人とのことを唯一教えてなかった仲間が、離婚のドタバタでそれを知ったとき「おれはこれからは旦那の味方をしてしまう(なぜなら友達だから)」と作者に言ってのけるあたり。
いやまあ考えてみれば作者は旦那の妻で「知り合い」でしかないが、旦那は大事な集まり(釣りと外車友の会だって)の大事な友達だからしゃあないとはいえるけど、そういうことを妻(作者)に言ってのけるかね?とは。
しかも、さらに地獄なところは、愛人はその集まりのひとりともさらに関係を持ったりしてるのね。
おれはこういうタイプの友情に触れたことがないからわからないんだけど、その関係に頭がおかしくなりそうだ。
ただ旦那もその関係を非常に大事にしてるみたくて、離婚届に名前を書いたのも、そうしないと仲間全員を不倫の擁護をしたって訴えるって作者が脅したからという。
んー、気持ち悪い熱い絆で結ばれた友情。
そしてそういうことを「ちゃんと」描いてある地獄。
それも含め、作者も含め、この世界の人間関係が気持ち悪いしかない(ま、子ども以外→子どもの言動も「ちゃんと」描いてるんだよ)。
おわかりだろうと思うが「描ききって」る作者もそうとうどうかしてる。
不倫はダメだね。戦争の次くらい疲れるし消耗するな。
そういうことがかなりわかる。ここしばらく読んだどんな話より心に粘りつく後味の悪さがある。ぐったりするよ。
そういう意味で名作。
そして作者の名前を画像検索すると旦那との2ショットで15年不倫マンの顔がわかってしまうというトドメまである。

サレ妻漫画家の旦捨離戦記(1) (女たちのリアル) - 楠桂

