緑の予感たち(1巻) (トーチコミックス) [ 千葉 ミドリ ] - 楽天ブックス
短編です。でも1巻です。短編シリーズってことなんです。毎話読み切りの短編オムニバスの作りになっております。
夢がテーマなのかしら?
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忘れられ
ない夢、
頭の奥に
焼きつく
景色。
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帯より。
端的ですね。
解像度が高くて解像度が低い夢についてよく描けてる短編が4本(+2本)収録されています。
夢といってもいろいろあるじゃないですか?すごくストーリー仕立てになってるものとか、断片的なエピソードが辻褄の合わないままつながっていったり、自身はそうなってるって納得してるが不条理でしかない状況、そういう解像度の低い夢としかいいようのない「夢あるある」のあれこれを明確ですごい作画で解像度高く描かれております。
みんな肌触りのちがう夢ってのがまたすごいんだよね。夢っぽいマンガや映像ってつくるひとは多いけど作風はわりあいと固定されてる事が多い。でも、本作の4本は全部ちがうけど全部「夢」なんだよね。この技術や感性にしびれるのです。
夢でカッパの理髪店にいて髪を切られる夢をみる。その話をしたら「その店を知っている」と電車に乗り継いで目指す「カッパの理髪店」
職業時間飛行士と書いた謎の男が温泉旅館に2週間泊り込んでひたすらゲームコーナーのゲームを遊んでいる「未来の星の下」
バザーの前日、出品する商品の整理をして準備をしている親に混ざっていると、とてもおもしろい絵本をみつけて絶対にほしいと思っていたのに盗まれる「あちほ、どこにいるの?」
小学校で囁かれる都市伝説。生徒の靴を盗み木の上からぶら下げる妖怪。その噂に翻弄される教師「靴去る」
黒田硫黄氏を連想させる筆で描いたと思しき(わからないですあやふやです)画風を基底としながらも、それぞれの話に合っている絵として丁寧にチューンされており、作品ごとに与える印象が全然ちがうし、その感じがまた「夢」の「リアル」さを際立たせている。
話も起承転結がはっきりくっきりしてる方の「カッパの理髪店」「未来の星の下」に、ワケのわからないにもバリエーションってものがあるって気づかされる「あちほ、どこにいるの?」「靴去る」と各話読後「?」と「ワーオ」が混在するカオスっぷりがまた夢の感じ。
加えて同人で発表された掌編2本も夢の感触。
翻って主語が大きくなりますが、マンガってすげえなあという感想になってしまう。
2025年いろいろと短編集(2025年発売じゃないものも含む)を読ませていただきましたし、名作だらけの中で、とりわけ印象深かった1作が本作です。
「未来の星の下」をwebで読んでいて、鮮やかでいいしラストページ最高だったなあと思ってて、「そうとは知らず」本書を手にしてたのです。前記の通り作風画風が作品ごとにちがいますからね。表紙からそれと気づかなくて、本書は本書で「おもしろそうだ」ってカンで手に取っていたのです。
だからサプライズ+オトクでした。
しかも1巻だから2巻も出る!とてもうれしいですね。
https://to-ti.in/story/midori_kappa
「カッパの理髪店」を読むことができます。
ワンタンワンがかわいいです。ワンタンワンと言うよりシューマイワンな気もしますが。

緑の予感たち (1) (トーチコミックス) - 千葉ミドリ

