2020年03月03日

[ホッカイダー1998はじめての北海道編 | 神威バズ | マンガ | Kindleストア | Amazon]

ホッカイダー1998はじめての北海道編 - 神威バズ
ホッカイダー1998はじめての北海道編 - 神威バズ

朝、起き抜けにKindleが容量パンパンだったので大幅リストラを敢行してた。気の向くままにバンバン買った無料のをおもにザクザク削ってた。
で、これ。無料だけどまあ表紙も表紙なんで消そうと思ったけどなんか引っかかるものがあったのでチラッとのぞいたら最後まで夢中になって読みましたよ。


一念発起して会社をやめてバイクで北海道を一周するマンガ。
バイク旅行マンガというと日本を一周してのちにアマゾンプライムビデオでドラマ化もした「日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜」という名作がある。

[「日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜」2巻 吉本浩二(双葉社): ポトチャリコミック]

名作ではあるんだけど、コメントやらアマゾンレビューだと評判がよくないんだよね。
「バイクに乗ってひとり旅に出る」そのロマンや憧れ、旅での出会い。そういうのがないんだよね「日本を〜」には。人見知りのおっさんがグチグチぼやいたり悩んだりしながら旅をつづけるというリアリティあふれるけどしみったれたとえばそれだけのマンガなんだよね(だから名作なんだよ)。

本作は「それ」がある。「それ」とは?
北海道にツーリングに行く旅人が途切れないワケがわかる。バイクに乗ってひとりで旅を続ける意味がわかる。北海道に惹かれる理由がわかる。
行かないとわからないおもしろエピソードが山盛り。旅やバイクの苦労もあるけど「旅」の魅力のほうが軽く凌駕している。

[日本一旅がしやすい北海道 ?ライダーハウス編?]

作者のサイト。ライダーハウスなるものがあることを初めて知った。知らねえなあとGoogle Mapで検索したら富山には1軒もない(長野にはけっこうある)。なるほど。
そういうところに寝泊まりし、はじめて会うライダー仲間と語らい、情報交換して、次の日におすすめの場所に行く。気が向いたら長めに逗留したり。
なんていうか「THEツーリング旅」。
表紙の絵のとおりの中身であるが、あちこちに写実を感じるのはその場所にいて感じてるから描くことができるんだなと。そういう説得力がある。
羅臼から知床に向かう道がバイクで走ってて楽しくてたまらないので往復するシーンの爽快感はバイクにのらないおれにも伝わる。

まあぶっちゃけ北海道にツーリング旅行きたい!と強い感想をもつマンガです。

コメント 2020-03-03 115843.png
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2020年02月27日

姫様“拷問”の時間です 2 ひらけい/春原 ロビンソン (集英社)



Twitterでマンガを知ることがとっても多い昨今です。だれかのRTにおいてマンガを読む。気に入った作者はフォローする。同業者同士のRTパスが多いのでますますマンガがタイムラインにあふれかえるというサイクルを実施中です。

本作。悪魔の城に籠城されている姫。毎夜拷問されて国の機密を白状させられる。

1話は焼き立てのトースト。焼きたての美味しそうな匂いのトーストをぱりぱりと割いて、ビーフシチューを食べた皿につけて拷問官が美味しそうに食べる姿で姫様は完オチです。

うん、基本はこれです。2話はたこ焼きです。3話はカレーヌードルです。4話はかわいいクマちゃん、5話は温泉。

なんかみんな内容が想像つくでしょ?その予想を大きく裏切ることはありません。おれも2巻まで買って読んで「うん、1話で思ったとおりの内容がつづいたな」と。

ではなぜ購買にいたったか?というと、本作にある多幸感なんですね。1話をTwitterでみたとき、「コミック買おう」って決め手になったのは、自白したあとのトーストパーティーの描写ですよ。姫さまがトーストを持ちながらスタッフと踊ってる描写。
この楽しさに負けたのです。そして読むと果たしてずっと楽しい。無理なくキャラを増やしたり展開もしてますけど、それぞれみんなナイスなキャラ。カワイイもちょっとしたエロもギャグもみんな絶妙のさじ加減。
なんだろう、風邪で弱ってたときに買ったからかなあともおもうけど、楽しいのはまちがいないです。コミックで読む価値はあるのか。うーむ。それに対しては楽しいのはまちがいないです。と。

[[拷問30]姫様“拷問”の時間です - 春原ロビンソン/ひらけい | 少年ジャンプ+]

・とりあえず1話をどうぞ。この幸せに浸りたいときは読んでください。







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2020年02月26日

ゆこさえ戦えば(3)福井 セイ (小学館)



「すうの空気攻略」の作者による作品。悪魔と人間がパートナーを組んでバトルを行い勝ち残るバトルロワイヤル。で、最強の実力を秘めてるゆこさんなんですが、驚愕のド天然でゆるキャラなのでうまくいかずに、まわりの相手もほんわか空間に持ち込んでしまうって流れ。

3巻で確信しました。前作「すうの空気攻略」でもそうですが作者の1番の才能はキャラが増えるほどおもしろくなることです。これはとっても有り難いものかと思ってます。
キャラを増やすのは、楽しくなる、にぎやかになる、好きなキャラが増えるとか、いいところも多いけど、反面、話が複雑になり置いていかれるとか、描き分けができずになにがなんだかわからなくなる、増えた分好きなキャラの活躍が少なくなるなどの弱点もある。
というか、弱点にみんなやられるんだよなあ。

本作は巻がすすんでキャラが増えるたびにどんどん楽しくなっているなあと。1巻より2巻、2巻より3巻って。

キャラが増えることにより今回、話もグイグイ進んだしなあ。ライバル登場とか、ギルドに参加、物語を大きく動かす存在と行動とか。王道のバトルロワイヤルストーリーが繰り広げられ、、、ない。と、それらは「起こって」るけど、物語は進んでるけど、キャラも増えてるけど、なんか主人公が微動だにしてない。

そうこれなんだよね。キャラを増やす物語の極意って。主人公がブレてない。本作の「それ」はすごいです。惚れ惚れする。そして笑える。主人公がブレてないことがすべての笑いに帰結するから。1巻1話から変わらない。これは物語の構造そのものもそうかもしれない。

主人公ゆこの度を越した強さ、それは戦闘能力もそうかもしれないけど、同時に超のつく性善説というかお花畑というか。王道の展開になっていくのに主人公は戦ってないと、タイトルに帰結するのよね。

いやー笑った。笑いも1巻から増えてきてる。よかったっす。

(2巻のポトチャリコミック書いたんすけど、発表するタイミングが合わないまま3巻が出てアレなのでついでに載せておきます。たたみます)




追記あり
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2020年02月21日

時間停止勇者(1)光永 康則 (講談社)


異世界に転生した男。手にはファミコン型のコントローラひとつ。なんじゃこりゃ?といじるもなにもおこらない。ところがスタートボタンを押すと世界が一時停止することに気が付きました。
そこで美女のパンツやパンツの先をみたりおっぱいを揉んだり裸にひん剥いたりする合間にクエストをこなすというマンガです。

光永氏の「怪物王女」「アヴァルト」などのストリーテラーなところと同時にある「チアチア」や「玉キック(原作)」などのエロコメ路線のええ塩梅のハイブリッドです。

いわゆる群雄割拠の激戦区中の激戦区の異世界モノにあって突出して突き抜けてそうな(星の数ほどあるから確証はない)スッキリしたバカ展開の上、それでも張り巡らされている精緻な設定ってのはまあ光永先生らしさといえばそれまでなんだけど、なんていうかなそれでもさらに「これでどうだ!バカだろう!」って痛快とキレと覚悟っていうんでしょうか?それがちょっと段違い。

そいでまたダークエルフの子をはじめとしてキャラがいいんだよな。これから活躍してくれそうだし。なお表紙の女の子はシーフ。

ということで2巻以降も楽しみです。異種族レビュアーズもなったんだし、本作だってアニメ化いけるやろ(うん、そういうレベルでエロです)。そこまで期待!




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ぱらのま 3 kashmir (白泉社)



白泉社「楽園」連載。プータロの肉感的妹があちこち気ままに軽率に電車でひとり旅するマンガ。日本に実在の場所。
今回、メガネ女子友とのふたり旅編ほか、JKとの出会いとかもあります。そういうのがあるから余計に彼女のひとり旅が際立って感じます。スイカに塩、バニラアイスに醤油、かた焼きそばに酢みたいな。

ひとり旅でいうと「line13 1/2」の寒いところを寒い寒いいうて歩いてるのがいいなあ。あと「line15」のラストもとてもいい。ここ(3巻では東成田駅が今回1番いきたいわ。あと勝田台駅にあったサンテオレも行きたい。千葉に行きたいんかおれ。(サンテオレは富山市にあったんだよ。撤退の流れとか鑑みてもけっこう長い間)

メガネ友とのふたり旅でお互いに気を使ってる旅とかもいいよなあ。最初に書きましたが本作が連載されてる「楽園」は「恋愛系コミック最先端」というキャッチフレーズがありますが、そこらへんは「これ」なんでしょうかね。ひとり旅だと70%でもいいけど誰かと行った場合そのひとに100%を楽しんでもらいたいっていいよねえ。それがお互いの愛として滲んでる感じ。最先端の恋愛や。

ということで、ちょっと旅にいってヒマと不便を満喫したいわーと(新型が蔓延してるご時世なのでちょっと勇気が必要ですが)。毎巻同じこと思いますが、なかなか実行に移せない自分の不甲斐なさを噛み締めたり。



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2020年02月10日

異種族レビュアーズコミックアンソロジー ?ダークネス? VA. 天原/masha (KADOKAWA)




これを書いている現在は5話にもなるけどいまだに放映されてるのが不思議な気分になるアニメ版が好調らしいですがその作品のトリビュートです。
トリビュートやらスピンオフは「安かろう悪かろう」をひく確率がいっときに「戻っ」たので、まあ、もう、だいぶ購読をやめたりスルーしたりが多くなってきましたが、これはいくつかある例外のひとつです。

その界隈では定評のあるひとが、「異種族レビュアーズのトリビュートの依頼きてるけどやる?」「はいぜひとも(0.2秒)」って感じのノリノリがすごいです。

異種族レビュアーズは異世界っぽいところのいろいろな異種族の風俗でエッチなことをしてクロスレビューを書くというマンガです。

つまりは、人外のエロエロマンガってことですね。そりゃあ「そのスジ」のひとは、公式でお許しがなかったら普通にコミケで薄い本出したるわって世界ですよ。

ビッグネームが多いんだ。順不同敬称略で全員書いておきます。

オヤカド、クール教信者、奥ヴぁ、カラスちゃん、眼魔礼、田倉まひろ、ソルビップB、シンドール、臼歯カゲロウ、遠田マリモ、ユウキレイ、かふん、檜山大輔、石村怜治、特急みかん、中村モリス、新津ニイ、こめつぶ、西義之

正直知らないひともいますが、大人気作家、ジャンプ作家、大好きな成年コミック作家など、バラエティに富んでます。

・「モンスター娘の日常」のオヤカド氏が母乳をテーマにした罪深いのを2本立てで載せて度肝を抜いたと思ったら、そのまま次に、おっぱいマンガの第一人者になった感のあるクール教信者氏がちがった視点からの罪深いおっぱいマンガを書いたり(そういや、クール教信者氏は原作者の別のマンガを連載中ですな)。
・ちょうどこれを書いててときにアニメで放映あった単眼娘とのプレイを描いた、眼魔礼氏はさらに微に入り細に入りの罪深いのを描いていた。まぶたの奥にいれるプレイとかウエルカムドリンクって目薬をさしてドバーっと出した涙を飲ませたりとか。
・田倉まひろ氏は成年コミックでも出してるだけあってゾンビものでガーンと攻めてきてる。
ハーフリングとのプレイってものすげえ普通にロリマンガなんじゃ?ってソロビップB氏。

あ、そうか。本作は本編とちがってそのものプレイをじっくり描いてるのが多いのが特徴だね。つまりは原作の天原版の元祖異種族レビュアーズに似た趣。

・アニメ版4話で印象的だったハイエナっ娘はチンチンがあるってのをうまく使いセックスカウンセラーをやってる話のシンドール氏のも技あり。

かようにいろいろな切り口がある受け皿の広さも本トリビュートがとってもいきいきのびのびしている理由かもしれない。本編は成年コミックにしないための制限や抑制あるもんな。本作はわりにそれがない。というかなんで成年コミックマークついてないんだろう?

・本編にはまだ登場してない(気がする)、竜宮城のお魚っ娘とのプレイを描いたかふん氏。

・火竜娘との焼き肉を「孤独のグルメ」パロディにした檜山大輔氏。なるほど焼き網を交換するってつまり嬢のチェンジでもあるのか。

キリがないなあ。

と、みんなイキイキのびのびしたマンガを描いておられて、その風通しの良さにすがすがしささえ感じられる逸品となっておりますですよはい。




本編4巻もおもしろかったよ。ついでみたいでもうしわけないが、元祖は負けてへんで!って熱さは感じた。

つか、ちょっと。パペットドール(木の人形っ娘)の股間にドリルでアナを掘ってオナホールを装着するプレイとか、ドワーフの娘(あごひげの長さは髪の毛の長さと同じでチャームポイント)なんかはとってもいい感じだった。
そしてけっこう展開しつつある。そういや「ダンジョン飯」も4巻からまたちがう毛色の話になっていったよな。それを思い出したわ。



posted by すけきょう at 15:28| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月06日

鬼滅の刃 19 吾峠 呼世晴 (集英社)



とにかく売れてるよね。2019年はすごかったし、今のところそのすごさは持続している。2020年2月初頭、マスクと鬼滅の刃のコミックが全世界的に不足してますよ。

まわりにいる普段ほとんどマンガをみないようなひとすら話題に出てます。書店では「1人1冊」という張り紙とともに独立したコーナーを用意されてる。そして全部そろってる売り場はない。すごいことだよなあ。個人的に過去10年以上こういう特別扱いされたマンガをみたことないわ。ONEPIECEやドラゴンボールの全盛期ってどうだったんでしょうかね。覚えてないです。ともかくそれと並ぶほどの売れ方をしているわけですね。

で、そんな売れ方をしてるマンガとは思えないようほどの凄惨な戦いが繰り広げられている最新巻です。というか、ここんところずっとそうですね。というか最初からそうですね。鬼のように強い鬼と血みどろの命のとったとられたの戦い。19巻でも誰にも「平等」に手心をくわえてない戦いをしてますよね。すぐにあちこちの身体の部位を切られたり欠損したりしてます。

正直なところ、物語の途中には、もう二度と読みたくないくらいの冗長なところもあります。具体的には遊郭の戦いでしょうか。くどいっちゅーねんって感じで。それが嘘のように展開早いですね。まあ、主人公が今巻で3コマ4コマくらいしか映ってませんしね。急いで進行させているのでしょうか。

とはいえ、それまでに丁寧に描いていた他キャラが縦横無尽に活躍している。まったくもって最高の読み応えです。
ほぼはじめて戦うようなキャラがたぶん人生で1番難易度の戦いをものすごいスピードで行われてるってのがすごいよなあ。あ、このキャラはじめて戦ってるんじゃないか? の2コマ後、腕を切断される。マジか!みたいな。

それでいて、無駄な前フリなしで、敵も味方も最初からアクセル全開で戦ってるのもすごい。バトルマンガ全般的な様式美ではあるとおもうけど、初バトルでは敵も味方も多少の「プロレス」があるじゃない? 攻撃をして受けて、その上をいく攻撃をしてそれを避けてみたいな流れ。それがものすごい早くて、なおかつ、どちらもすごさがちゃんと伝わる。このプロレスの最大の効果は戦ってるひとが「強い」ことを表現することだから。

19巻の後半3/5ほどを占める上弦の壱の戦いはすばらしいテンポと戦いで、作者のバトルマンガ描画のピークなんじゃないか?と思いましたわ。








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Dr.STONE 14 Boichi/稲垣 理一郎 (集英社)




なんだこのおもしろさ。14巻も最高じゃないか。
なぜか人が石化した世界。科学で謎をとき敵を倒し世界を元に戻そうという話。
意図的に石化することのできる敵と戦っております。
この「戦い」がいいんだよな。
たとえば14巻でも様々な「戦い」が起こる。「なんでそうなったか?」ってのをイチから説明してると長くなるしネタバレになるから省略するけど、
石化した味方をこちらに持ってくる戦い。
石化した味方を海から引き上げるために酸素ボンベを作り潜り引き上げる戦い。
ドローンを作る戦い。
敵の謎を命がけで探る戦い。
1番の敵を交渉で寝返させる戦い。

通常の敵と技術やチカラで武器を持って倒す「戦い」ではないものばかり。だけど、その興奮度、達成感、勝利のすばらしさは同じ。そこが本当にすばらしいんだよな。
これらどれが特別ということじゃなくて、たくさんの味方の命をかけ能力のギリギリでなんとか引っ張り出した「勝利」なんですよ。そら、あんた涙も出るし「うっ」ってちょっと声も出るってもんじゃないですか。

個人的に14巻ではこれまでそんなでもなかった龍水というキャラがとりわけかっこよくてな。見直したわ。そして2期が決まってるアニメ。たぶん、そこじゃたぶん登場しないので3期で登場するだろう彼がアニメで活躍するのがみたくてたまらない。

同日に社会現象にまでなった「鬼滅の刃」の19巻とともに発売しました。こっちも文句なしにおもしろかったです。そしてこの2つが連載されている「週刊少年ジャンプ」というマンガの恐ろしさをしみじみと思うのです。こんなに「おもしろい」が偏っていていいのか?と。(いや、他にもおもしろいはあるのでいいのですが)

世界は「おもしろい」で満ちていてありがたい。







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近所の最果て 澤江ポンプ短編集 澤江ポンプ(リイド社)



「パンダ探偵」の澤江ポンプ氏の初短編集。

[パンダ探偵社 1 澤江ポンプ(リイド社 torch comics): ポトチャリコミック]

作者は直腸がんになり療養しつつということで(本作のあとがきマンガにありました)、パンダ探偵はどうなるのかわかりませんが、これまでの短編集が出ました。

これがとてもおもしろい短編集です。10年という歳月で描かれており、なおかつ、商業誌掲載のものから、Twitterに発表した身辺雑記的なものと、雑多という意味では恐ろしい幅があります。川といいつつ黄河とかナイル川ってくらいの幅です。絵柄もかなりな幅。というか、全作品ちがう気がするな(日々試行錯誤されてるような)。ジャンルもSFからコメディ、ホラー、アクション、ガロ的なのや、ナンセンスギャグ、感動巨編(短編集だから巨はねえか)などなど。


ただひとつすごい狭い幅があります。前記の通り「おもしろい」ことですね。「おもしろい」以外の評価の幅がない。みんな「おもしろい」んだ。

「あー、これおもしろい」「これいいなあおもしろい」「いや、すげえいいなあ」「お、これもかなり」みたいにおもしろがっているうちに終わってしまうという。

ただ、メリハリはある。

妻が裸族の話「ハダカヨメ」からはじまり、不思議少女がやってくる「夜明けの未来ちゃん」、プロレスアクション巨編「レッツインテリ」、ガロに載っててもおかしくない「煙街」、本来はパンダ探偵に載せる予定の「はっぱの人」。

そして、ラストはやっぱりこれになるだろうなあって「サイコンクエスト」で終わる。

うんおもしろいおもしろいおもしろい。いつでもどこからどう読んでもおもしろい。すごいおもしろい。

と、おもしろいがたくさんつまった短編集です。2020マンガ短編集でもトップになると思います。このレベルの短編集は今年はもうないだろう。気が早いですが。


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田島列島短編集 ごあいさつ 田島列島(講談社)



「子供はわかってあげない」の実写映画化が決まり、「水は海に向かって流れる」の2巻が発売されてーの短編集。すごいね。

「子供はわかってあげない」のコミックが出たときに「すごいものが出た」と大騒ぎしてましたが、そのとき、どこかに「作者は短編もおもしろい」と読んで、すごく気になっていたのですよ。なんんとなれば「子供はわかってあげない」よりおもしろいまであったから。

本作は2014年から2017年まで描かれた読み切り7編に1pマンガやイラストをいれたもの。

不倫をしている姉のもとに不倫相手の妻が日参してくる「ごあいさつ」
(今連載中の水は海に向かって流れるは親が不倫していた同士がひとつ屋根の下のアパートに住むというマンガや)

会社内の女性社員に「おっぱいを吸わせてください」とお願いする「おっぱいありがとう」
(お願いするのも女性)

初対面の女性に「じゃんけんしよう。私に勝ったら30万円あげる」といわれる「お金のある風景」
(オチがステキ)

などなど。
のんきムード充満の作風はずっとそうなので、これは作者にしかない生体リズムだなと思わせつつも、ソリッドにさっくりあっさり仕上げる手法は短編のほうがいいですね。あっさりふっくら仕立てなのに人間関係の「ひっかかり」みたいなものがそのまま物語全体の余韻として残る。人間関係って魚の小骨みたいなもんなんすね。

しかし「Not found」の生殺し感はすごい残るな。男視点だと「どうしろと?」と途方にくれる感じが多い。
田島作品に登場する女性はかわいいし愛らしいけどなんだか難しいひとが多い。
かんたんに感情移入させてあげない、好きにさせてあげないって一筋縄でいかない感じ。
それこそ「子供はわかってあげない」「水は海に向かって流れる」のヒロインにも通じるところがある。


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2019年12月25日

赫のグリモア(3)A-10 (講談社)



待望の3巻。デタラメにおもしろかったな。
すごくざっくりしたネタバレ気味な3巻のあらすじを書くと、ラスボスとのバトル体験版。初回お試し版。ラスボスの強さの片鱗を見せつけるためにちょっと手合わせをする序盤ではお約束のパターン。

本作のすごさは展開自体は丁寧に基本なんですがそのテンションと精度と迫力を高めるだけ高めてみせるところ。
これって主人公が打撃系で結局のところすごいパワーで蹴散らすみたいなノリを思い出します。これも基本ですよね。強さをわかりやすく表現できますもんね。

魔法戦でありながら銃撃戦(剣戟もある)、あらゆるアイデアをぶちこんでいる。とてもゲーム的でありながらマンガ、映画、その他のエッセンスをありったけ詰め込んでいる。カートゥーンのキャラが旅行に行くときに無理矢理にトランクにモノを詰め込むがごとくトランクの上に座り込んでフタを閉める感じ。

それでいて3巻の2/3の戦いで全員が全力じゃない。つまりは「おためし戦」になったってところがすごい。でも全力なんだよ。全力で全力を出してない状況を生み出して、その時点での全力で死闘を繰り広げてるけど全力じゃないんだよな。なにいってんの?
そしてそれらすべてのタガを外して描いてる。

つまり、すごい「基本」なのよ。

なおかつ3巻までがグランドプロローグではあるよな。敵が登場して目的が登場して各キャラが立ち位置を決めて本格的にはじまるという。

体内の血が湧きますよ。とても読みましょう。



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2019年12月24日

モブ子の恋 6 田村茜 (ノース・スターズ・ピクチャーズ)


モブキャラとしてを自覚してるので信子って本名をモブ子と自称している女性が主人公。
ただバイト先で好きな人と出会いそして付き合いました。
それ以降は、進展度合いをジワーッと描いてます。

とはいえ、もう手をつないだまでクリアしたからあとはドロドロの肉体関係と結婚にむけての展開と思ってたけど、おれがあまかった。プラトニック道を甘く見てた。あるいは、「忘れて」いた。おれも一応は通ってた道ではあるんだった。

6巻では下の名前で呼び合うってことでした。それをあんなエモくやられるとはなあ。まあ、そのあと両親と顔合わせとかな。ちょっと順序がちがうけど、なんていうかきちんと過程をふまえてはいるよね。それをどう捉えるかだね。

モブ子サンの彼氏さんが先の話をするいこと(今度**に行こうとか)に感動する。彼氏はそういう次につなげる約束をしていないと不安に
なるから「次」や「今度」につなげる。モブ子さんはそれに感動する。ここらへん上手いよねえ。結婚してもおれそれ考えていたなあとか。
そういう細かい視点を丁寧に描くのなあ。うまいよ。

しかし、最終的に向かうのは成年コミックな感じもあるしなあ。それはこのマンガにはすこぶる似つかわしくない。だから難しい。だからみものではありますね。



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2019年12月19日

シライサン ?オカルト女子高生の青い春? 乙一/崇山 祟 (扶桑社)


乙一氏が原作で映画化され監督もされる同名作品のコミカライズ。小説はもう発売されてますが読んでません。映画はまだ公開されてません(観に行くつもりではいます)。そういう環境で読んだコミカライズの感想となります。

ホラーオカルト大好きな女子高生が日課の地元の古本屋通いでみつけた地元の伝承が記されている民俗学の本を読む。それによると異様に目の大きい女がいた。彼女の名前を知ると呪われてしまう。そしてついその話をしてしまい、怪異現象がはじまるという。名前はタイトルのとおりです。

ストーリーはいわゆるJホラーの典型スタイルではあるかなと思われます。

参照:ほぼ日刊イトイ新聞 - オリタくんのJホラーソムリエ https://www.1101.com/j_horror/

作者の前作[恐怖の口が目女 崇山祟(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]は貸本マンガのホラーを意識しておられたようでしたが、本作ではJホラーの感じが非常によく出てるなあと(いうほどみてはいないのですが)。コンビニでのシーンの「らしさ」とかすごくよかった。

後半のドガチャカぶりは、原作や映画じゃねえんだろうなあと思いながらも、「口が目女」のエスカレーションっぷりを想起してニヤニヤしながら読みました。またラストの「どないやねん」って主人公のセリフとか。そこらへんのトートツさも貸本ホラーだましいが見受けられてよかった。
結果として見事な換骨奪胎かなあと(前記のとおりあくまで予想です)。

と、そうなると俄然原作や映画も気になっていくのですよ。映画だけでもどうかなあと。こわい映画がこわいんだよねえ。

そして1番の特徴は表紙にもなっているトリコさんのかわいさですよ。あらすじにある序盤の本を読んでいるシーンがまた圧巻でさ。超おもしろい本を読んで静かに興奮してる読書好きをすごく丁寧に描いてていい。そういった意味じゃ序盤がもうクライマックスです。

ということでホラー好き、ホラー好き少女好き、メガネ少女好き、バカマンガ好きにはとってもおすすめでありますよ。映画前に読んでおいて映画や原作みてからまたみるととってもいい感じだと確信してます。そういった意味じゃおれラッキーです。








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2019年12月11日

古見さんは、コミュ症です。(15)オダ トモヒト (小学館)



毎巻よく書くことがあるなあと思いますが。やっぱり1番すきなマンガですから。まだ熱は冷めることはないのです。
15巻では大型新キャラの潔癖症同級生が登場しての生徒会選挙を軸として、大爆笑パートになった只野妹と古見弟のネタがまた大型新キャラで、笑いが止まらない状態。なんで、名前をみんなが正しくいわないっってだけなのに笑いが止まらないのだろう。(読み返したらまた大笑いだ。このマンガで最大のツボかもしれない)

そいでもって最大の問題は表紙なんだわ。なんだこの不穏な雰囲気の表紙。

表紙をめくった中表紙ではかなり意図的になっている。話としては新キャラのクライマックスのシーンをみている中心人物3人。そう3人なんだよね。古見さんはタイトルにもなっているしいるのは当然だし、ほかのメンバーが映ってる表紙もある。でも、15巻はちょっとちがうじゃん。
只野くんと万場木さんの真ん中にいある古見さん。そして古見さんの手を仲介して只野くんと万場木さんが手をつないでいるかのように見える。んんん〜?これはなにを示唆してるんだ?



と、思ってみると14巻の表紙も只野くんと万場木さんは花火をみて感動してるけど古見さんだけちがうものをみている。

んんん?

そしてここしばらくでつづいている万場木さんと只野くんのいい話編。ついに15巻では完全に万場木さんが自分の気持に気がついてしまった。
うむ。変なドキドキがある。そりゃまあ先に進まないとダメって感じはあるけどさ。3人とも幸せになってほしいからと。

次巻は2月でーす。


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2019年12月09日

イジらないで、長瀞さん(6)ナナシ (講談社)


なんかすごくよかったぞ6巻。長いトンネルを抜けてバーっと明るいオモテに出た感じ。
とはいってもこれまで奥に引っ込んでいたわけでもないしつまらなかったわけじゃない。
ずっといってるけどpixiv連載時のときと1巻のインパクトをずっと追い求めててぬるくなったことになれなかったの。それが6巻では完全に脱却した。最高だったおもしろかった。

5巻から初引きであり、美術部の存亡を賭けての勝負。舞台は文化祭。
やっぱ学園マンガで、文化祭をうまく使えないとダメよね。たとえば、最近のでおれが読んで感銘を受けたので言うというとエモエモの塊でクライマックス中のクライマックスに持ってきた「かぐや様は告らせたい」。最後につながるであろう謎を提示しつつこれまでの各キャラ総出演の連鎖の最高峰だった「ぼくたちは勉強ができない」。あとこれもその時点での最高傑作を提示してなおかつそれから右上がりによくなったメイド喫茶をやった「古見さんはコミュ症」とか、名作ばかりやんか。というか、逆か。名作は学園祭で必ずそのピークを用意する。そう考えるとマンガにおいての学園祭文化祭というイベントは最重要だね。運動会、遠足、修学旅行、冬休み、夏休み、数々のイベントがあるなか、やっぱり特別な仕掛けを込められるんだなと。

本作はその展開、新キャラの部長さん、長瀞さんはじめ各キャラが大活躍しつつも、愛らしくてかなり純度が高い「楽しさ」が充満してて読んでニヤニヤが止まらない。しかも泣ける。そして泣こうと思ったら驚愕のオチが待ってたし。「えええー」って絶妙の間だった。アレにやられた。

ニヤニヤが止まらないでいうと長瀞さんがずっとかまってた美術部の陰キャも才能が開花しつつあり、長瀞さんもずっとニヤニヤしてる。またいい顔してるんだよ。ほんと、長瀞さんの顔だよな。顔描写の豊かさすごさでいうとちょっと群を抜いて際立ってる。「ここぞ」っていう顔の当意即妙なジャストな感じ。

大爆発の6巻でした。



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2019年12月08日

吾峠呼世晴短編集 吾峠 呼世晴 (集英社)



今年はまあおそろしいくらいのいきおいで「鬼滅の刃」が売れましたね。命を削って作った原作を命を削ってアニメ会社がアニメ化すると恐ろしいくらいの相乗効果が起こるってことですね。アニメは最近恐ろしい。

とそういうことで実は長いこと放置していた短編集。17巻と同時発売しました。18巻が発売される手前に「鬼滅」不足で手にとって読んだのでした。そして思い出したわ。

そういわれてみれば「鬼滅の刃」ってけったいなマンガだったなあと。

鬼滅の刃 10 吾峠 呼世晴(集英社ジャンプコミックス): ポトチャリコミック http://sukekyo.seesaa.net/article/457744775.html?1520505284

お嬢様が大人買いでいっきに9巻まで揃えたのを読んで10巻はおれが買ったなんてありますが、そこでも言及してますが、3巻までは非常に不思議な手触りのあるマンガです。
それを思い出したのが本作です。あたりまえですね。鬼滅の連載前に描かれたものですから。

鬼滅の刃のベースとなった「過狩り狩り」からはじまり全4作。

異形の戦いがあり、これらの作品のすべてが鬼滅の刃にリンクしてるし一部キャラも重複している。鬼滅の刃のそれぞれの作品の最初の一滴のようなエッセンスに溢れていて、とても興味深い。

それでいていい意味のこなれてない荒削り。鬼滅での加工がない、ストレートな混ぜモノなしの原酒ですね。すばらしいです。非常に読み応えあります。いっときの青林堂の「ガロ」やいっときのコミックビームに載ってるようなにおい。

そう考えると、前記の10巻までの鬼滅の刃を読んでいたときも、「なんでこんな変なマンガが人気なのかよくわからない」そういうノリはいまだにあるよね。

久しぶりに「へんなマンガ」を読むことができておもしろかった。鬼滅の刃の現在のノリとは随分ちがうけど根底に流れる同一人物の影を思いつつみるとおもしろい。

んま、そもそもでいうと、吾峠呼世晴って変なペンネームだよなあ。「ごとうげこよはる」だもんな。でも、いまGoogle 日本語入力で一発変換できる。そういうことだよ。



posted by すけきょう at 20:09| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月25日

「このマンガがすごい」に去年一昨年原稿依頼がきてたけど今年はこなかったのでしゃあねえから依頼されたと想定した原稿を書く(2019年ベスト5)



オトコ編かオンナ編を選び(宝島社で制定されてる)、そこでベスト5を選びTwitter程度の文字数でコメント。巻数指定はできなくて何巻であろうと1作品で勘定する。それでだいぶモメてリテイクが多かったりしました。あとオトコ編を選んだわり「その作品はオンナ編です」ってのも多かったな。「魔法はつづく」とか「口が目女」なんかはオンナ編だったので落ちましたよ去年。書き忘れてましたがおれはオトコ編をチョイスしました。それで1作はオンナ編のもねじ込める。だから「魔法はつづく」をねじ込めました。

[恐怖の口が目女 崇山祟(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]

[魔法はつづく オガツ カヅオ(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]

なおギャラは5,000円分の図書カードでした。


余談はともかくはじめまーす。(リンク先は本作での感想文です)


オトコ編(ということにはこだわらず5作品)

1位: [ひょうひょう ネルノダイスキ (アタシ社): ポトチャリコミック]

2位:[心臓 奥田亜紀子 (リイド社): ポトチャリコミック]

3位:[恋煮込み愛つゆだく大盛り にくまん子 (KADOKAWA): ポトチャリコミック]

4位:[SPY×FAMILY 1 遠藤 達哉 (集英社): ポトチャリコミック]

5位:[僕の心のヤバイやつ(2)桜井のりお (秋田書店): ポトチャリコミック]

1.令和をもっとも感じる作品。新しさは近年1番感じられる。2.平成を総決算する作品。平成の空気を見事に保存されてる。将来貴重な資料になる。3.今年はにくまん子イヤーだった。出した3作ともすばらしい。とくに「よよの渦」のヤバさ。4.新しさと王道のバランス。5.飽和してきたラブコメに鮮烈な一撃。SNSの使い方も絶妙。



こんな感じでしょうか。次回は依頼がくるといーなー。2019年版は発表されたベスト5のうち3作が入ってたのに。



来年もいいマンガに出会えるといいですね。本家は12月くらいに出ますね。おれは買わないがみんな買おう!


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2019年11月22日

文庫 筒井漫画瀆本ふたたび VA.(実業之日本社)




2019年8月に発売された筒井漫画瀆本の続編であり、2010年発売の文藝春秋版を基底に、筒井康隆氏みずからの作品を3作収録しております。
参加マンガ家は以下。略称敬、じゃなくて敬称略で。

◆明智抄「幸福ですか?」
◆いがらしみきお「北極王」
◆伊藤伸平「五郎八航空」
◆折原みと「サチコちゃん」
◆雷門獅篭「落語・伝票あらそい」
◆菊池直恵「熊の木本線」
◆鈴木みそ「あるいは酒でいっぱいの海」
◆大地丙太郎「発明後のパターン」
◆高橋葉介「ラッパを吹く弟」
◆田亀源五郎「恋とは何でしょう」(『男たちのかいた絵』より)
◆竹本健治「スペードの女王」
◆萩原玲二「弁天さま」
◆畑中純「遠い座敷」
◆みずしな孝之「フェミニズム殺人事件のようなもの」
◆Moo. 念平「うちゅうを どんどん どこまでも」

にとり・みき「わが良き狼」は文庫1作に収録で除外。
くわえて「たぬきの方程式」「傷ついたのは誰の心」「客」の筒井作品を巻末収録。

前作である漫画瀆本のオリジナルが1995年で今回は2010年。この15年でのマンガの移り変わりでしょうか。筒井作品はわりあいとして古いものが選ばれており原作のマンガ化での洗練さというか変遷が鮮明となっておりそこが見どころのひとつにはなってますね。

それぞれのマンガのチョイス、自身の作風に合わせてのもあり、意外なチョイスもある。そのどれも共通するのはマンガとして成立しているというか帳尻を合わせている。完成度が高いというと微妙な表現になるし、よりおもしろくなるというとこれまた齟齬が生じる気もする。ちょっと面映いものいいではあるが「よくできている」と。ここが差なのかと思った。

小説からマンガへのメディアを移すことはどんどん洗練性がましています。そういう中で、本作は選ばれている作品は短編をおもにしておりますが、それでも漏らしてしまったりする内容を絵と内容とマンガならではの描写と処理などでうまく補完しております。その技術がまずおもしろいなあと。そこらへん研究すると筒井原作、1と2で卒論書けますよ。

ま、学生じゃないので淡々と感想書いていきまーす。

いがらし北極星、大地発明後の、マンガ家からのイメージ解釈のおもしろさ。雷門伝票やみずしなフェミニズムの4コマというホームフィールドでの落とし具合。大地氏と竹本健治氏それぞれの異業種でのマンガも、前作の清水ミチコ氏のような破天荒さはなく「マンガ」してるなと。

個人的におどろいたのは菊池熊の木本線です。

菊池直恵氏は「鉄子の旅」というアニメ化もされた鉄道ルポマンガでその流れで鉄道が出てくる本作も抜擢されたんだろうと思っておりましたが物語の再現度、描画、とくに家に列車が入り込むシーンなどはすばらしくて、ちょっと驚きました。「鉄子の旅」では同乗者のエキセントリックなキャラである横見氏にフォーカスを合わせていてあまり列車や景色描写をしてなかったような記憶があったから。

[むしろウツなので結婚かと - 菊池直恵/城伊景季 / 第9話 何してるの!! | コミックDAYS]

この最新作ではときおりバズったりと話題になっており「なるほどな」という逆発見があったりしました。

萩原弁天も絢爛豪華なイメージ。作者は「パプリカ」という長編のコミカライズも行っており、のちに今敏監督による劇場アニメ化も果たされているが、そのアニメ版のノリを経由したかのような弁天さはよかった。軽いバカ話の原作をブラッシュアップしてネオン装飾を施したことでよりバカをました。

ほかには田亀恋とは〜や畑中遠い座敷、伊藤五郎八空港の、適材適所としかいいようのない作品。これまた自作くらいの力量と熱量で仕上げてオラれてますよね。とくに畑中純さんすげえわ。

筒井3作品では1で蛭子能収氏がマンガを担当した「傷ついたのは誰の心」の作者本人による漫画化が興味深い。同じ作者でも解釈がちがうよなあ。蛭子氏もかなり忠実なコミカライズをしていることがわかるよなあとか。マジで筒井康隆氏マンガうまいよなあとか。

正直なところすでにして現在では少し古めな作品や印象はあります。だからこそ今また3はいいかな!というかぜひ読みたい!誰がどんな作品をどんな風に料理して3にするか。とても興味がある。



posted by すけきょう at 14:36| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月14日

性的な宇崎ちゃん 〜宇崎ちゃんは遊びたい!の読み方










うざい後輩宇崎ちゃんが先輩にちょっかいを出してるマンガ。
献血ポスターの問題で悪名が轟いてしまった令和元年です。その原因のほぼすべては宇崎ちゃんのおっぱいです。
最初反対派が「奇乳」などというくらいの大きさではあります(すぐにこれは「スジが悪い」と気づいて撤回しましたが)。
そのほかのすべてはあの乳における嫌悪からの後付の理屈ですね。

あの乳をみて「性的」と思うのは実は正しいリアクションではあります。マンガ内でも重要なポイントになっています。広義では「性的」であることはまちがいないです。なんていうかアイコンとしての爆乳なんですよね。性的喚起を促すためのアイコン。
ただし、
そう「ただし」がつきます。

物語の骨子は先に書いたとおり、ボッチ気質の先輩になにかとからむうざい後輩の宇崎ちゃんです。
この骨子だけだと実は宇崎ちゃんが男でも成立する話ではあります。友情物語にもエロコメにもラブコメにもできますし。まあ、BLにもできます。

ただ、あの乳だからこそ成立するのがこのマンガのキモなのです。

ラブコメでおなじみの朴念仁のニブチン主人公は、あの乳によって女性ということを否が応でも意識するようにできてます。でも、それは広義での「性的」といえばそうだけどレベルでいうとせいぜいで「読者サービス」です。目を引くアイキャッチ的な。
実際、読者側のビジュアルも助かるけどね(それが問題を生み出したのでもありますが)。

おっぱいが大きかったらそこに性的なものが生まれるのは必然ではあるけど、上記のとおり、宇崎ちゃんのおっぱいは、そうでもしておかないと先輩は宇崎ちゃんをただの男の後輩として扱うだろうし、実際多くの場合そう扱っている。そこに「すげえおっぱい」というアクセントが生じることにより「彼女は女」という軽い「ジャブ」が入ることでときおり意識する瞬間が生まれる。それにより淡い恋心もふわっと起こる。

この「ジャブ」が重要なのですね。むしろ、ツルペタの宇崎ちゃんだったら、宇崎ちゃんを「女性」と意識した瞬間に成年コミックに突入するじゃないですか。そうなるとただの先輩後輩から恋人になり肉欲の日々です。ラブコメというジャンルとして成立しなくなるし、そもそもマンガとして成立しにくくなる、もっとあからさまなことをいえばマンガとしてはつまらなくなる。

もっといえばあのおっぱいのためにマンガが「性的になりすぎる」のを抑制する効果を果たしているわけです。おっぱいのお色気でそれ以上のお色気展開を阻止してるのです。
現実ではどうなのかはわかりませんが、ラブコメ世界では大きすぎるおっぱいは往々にしてそれ以上の進行にブレーキをかける役割「も」果たすことがある。抑制たる乳。寸止めたる乳。クッションたる乳。もちろんアクセルにもなりますがそこはそれ。

そういうデリケートな読解力(要経験値)が必要なマンガなので献血のポスターにしたのは微妙な判断ではありました。
マンガでの宇崎ちゃんが好きだから担当はポスターに採用したわけで、それはつまり、宇崎ちゃんの魅力を理解した上でやってるから、それを読み取れない方々の「性的」という浅いレベルでの指摘は寝耳に水だろうなあと。そして宇崎ちゃんの魅力をわかってもらえなくて残念だったろうし、そういうラブコメのお約束は思った以上に浸透されてないし理解されなかったんだなと。そこに怒りも悲しみも感じました。

正直なところ以前の「ゆらぎ荘の幽奈さん」や「のうりん」に関しては本編の内容を知らなかったのでなんともいえないところがありました。その分、「むこう」の言い分も逆にちょっとわかったりするが、原作を読んでいる宇崎ちゃんの言いがかりはかなりオーバーに思いました。
ということはつまり幽奈さんやのうりんもその可能性が大だし、実際、そのあと「幽奈さん」はアニメ化されたりマンガを1巻読んでみたかぎりではとてもいいジェントルでフェミな主人公だよなとは思う。マンガの影響を受けたのならむしろ男子たちは立派なフェミニストになるんじゃないかと思えるくらい。宇崎ちゃん問題から派生してジャンプにフェミなマンガを載せろという意見もありましたが幽奈さん読んでろよと。十分かどうかはともかく女性に優しく接する子供に育つ可能性は大きいです。

つまりいいたいことは、宇崎ちゃんを「ちゃんと」読め!と。マンガを「ちゃんと」読め!と。

そういうことで宇崎ちゃんはあのポスターだけではわからない魅力にあふれるマンガではあるのでぜひお試しください。マンガの「読解力」を鍛えてください。






posted by すけきょう at 13:40| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月26日

バビロンまでは何光年? 道満晴明 (秋田書店)



鬼才道満晴明先生の新作。
チリになった地球で宇宙人に拾われた少年。彼は記憶を失っていた。そして地球人の種を絶やさぬために宇宙のあちこちで交雑し子孫を残そうとする1回6pのショートエロギャグ。

2回めに記憶は戻るし、7回目に別に種を残すだけなら性転換すればいいんじゃない?って女になったりもするし。その後1回交代で男になったり女になったりするし、半分を過ぎたあたりからは全然ちがう顔がみえはじめてくるし。

読んでて「あれ、これって、アレじゃ?」という疑問を持ったらその答えはカバーをめくったらばっちり「うしし、これがいいたいんでしょ?」って見透かされたのがでてきたので悔しいので言及しない。

ラストあたりの壮大な感じはかなりすごい。ハードSFだよね。

それでいて6pショートという軽さとエロとギャグは忘れないし。ありていに「いつもの」道満晴明の良作のひとつやなと。というか、そうか、男が主人公のマンガってかなり久しぶりじゃないか?だからエロやギャグに勢いがあるのかな。

アニメ化してもいいくらいきっちりとした作品。ただアニメ化したら「彼方のアストラ」みたいに偏狭な方にみつかっていろいろいわれるのかな。

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というかそもそもこういうセリフがある以上、OVAでも難しそうではあるよね。しかも絶対に省略できない超重要なシーンでこれだからなあ。

いつものようにとてもよかった。定期的に長くずっとすごくてすごいひとだ。

追記
Twitterで情報をいただきました。タイトルは「バビロンまでは何マイル?」というマザーグースのひとつからとってるようです。同タイトルの川原泉さんのマンガもありましたね。なるほど。

How many miles to Babylon?
Three score miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again..
If your heels are nimble and your toes are light,
You may get there by candle-light.



posted by すけきょう at 20:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする