2024年03月26日

SPY×FAMILY 13 遠藤達哉 (ジャンプコミックス)

スパイファミリー 全巻 1-13巻 最新刊 セット 遠藤 達哉 集英社 ジャンプコミックス コミック 全巻セット SPY FAMILY SPY×FAMILY スパイ ファミリー クリスマス プレゼント 贈り物 ギフト 【新品 / あす楽対応 / 送料無料 / ラッピング可】 - MCK
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13巻を読んだ。ちょっと異様なくらいおもしろかった。
なんていうかな、「覚悟を決めた」おもしろさというか。
なんの覚悟かというと、居続ける覚悟というかな。

マンガっていくつかのレベルがあると思う。「バクマン。」ってマンガでは、マンが家における成功の証として自著がアニメ化することってあった。でも、SPYxFAMILYはさらにその先にむかっているような気がする。
より売れることってのもあるけど、ワールドワイドに認知され、たとえば、作者名やキャラの名前が一発変換されたり(いま、竈門炭治郎とか竈門禰豆子って一発変換できるがアニメ4話くらいまではできなかった)、ありとあらゆるグッズ展開され、老若男女にキャラが認知され、みんなにモノマネされ、パロディのネタにされ、って「大事な共有のもの」として認知される感じ。
アーニャのモノマネをして似てるかどうかみんなわかる。この領域。

そして知名度に沿った風格が備わり、さらに一段レベルが上ったおもしろさが備わった。
過去にもいわゆる「国民的人気」って称号がついたものはそうなっていると思う。
アンチも増えると思うけど、それはもう宿命だよね。おもしろいからムカつく、人気あるからムカつくって人種はいつも一定数いるからね。

売れること知られることによって「おもしろいマンガを描かねば」って常人には想像もできないようなプレッシャーがかかるだろうし、それで押しつぶされるひともいるんだろうけど、打ち勝った場合、さらにおもしろくなる。

前置き長かったけど、最新13巻がえらくおもしろかったと。そういうことをいいたかったわけです。

夜帷の覚醒パンチの目も覚めるようなアクションからはじまり、夜帷へのご褒美シーン、ロイドのシリアスからのヨルさんオチ。
そいでアーニャとダミアンの甘いのもいれつつの、新キャラ登場からの婦人会の一件がまたいいんだ。終戦直後のピリついた感覚を描いている。これ、時代劇なんだよね。ちびまる子ちゃんやサザエさんより昔って考えるとおもしろいよな。
新キャラの老夫婦も曲者っぽいしな。緩急もテンポもバッチリだわ。

ここにきて何回目かのピークがきているような圧倒的な完成度。貫禄がぐっとついてきた感じ。
(こういうことがあるから売れているもの=悪って決めつけるのは危険だし、損なんだよね)

SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 遠藤達哉
SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 遠藤達哉
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2024年03月25日

フラッシュ・ポイント 今井新(同人誌)

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フラッシュ・ポイント|Flash Point|paperbook - arataimai - BOOTH https://booth.pm/ja/items/4984090

今井新「フラッシュ・ポイント」 https://shikaku-online.shop-pro.jp/?pid=177399076

今井新「フラッシュ・ポイント」 - タコシェオンラインショップ https://taco.shop-pro.jp/?pid=176677393

同人誌です。知ったきっかけは忘れました。おもしろいと聞いたのでよっしゃ!って勢いで。
230Pの大作です。おれも届いたあと「うわーお」って(まだ、同人誌の相場がよくわからないの)。

いろいろあって無職のイマイ君。主夫のようなことをしている。ある時、妻が仕事に行ってから、妻の妹のJKが遊びに来るようになる。JKもいろいろあって学校に行ってない。そのうち昼夜問わず遊ぶようになり、彼女が戯れに撮った動画が世界中でバズるようになる。
そして、どうなる?やるのか?と思いながら読んでいたら、急に「ここの」世界とリンクする。コレが衝撃で、以降、話がどう転ぶのかさっぱりわからなくなった。けど、その衝撃をさらに上回る衝撃展開で衝撃的に終わる衝撃マンガ。

マンガと画力は密接なつながりがある。描いた絵で描ける話が決まるといっていい。だから逆にいうと画力によって描くことができるマンガは自ずと決まっていく。
いわゆる「絵がうまい」からといってなんでも描くことができるわけではない。逆もまたしかり。たとえば、大友克洋氏は蛭子能収氏のマンガを描くことができない。逆も。そこに手塚治虫氏が混ざっても同じ。それこそ浦沢直樹氏の「PLUTO」のように「描き方」が必要か。

本作はそういった意味で彼の画でしか描くことができない内容だったとい思うし、他の誰が描いても100のインパクトは与えられないだろう。One and Onlyとはこのことだと思ったり。

そしてこれは雑誌媒体じゃ難しいよなあ。そこにあったのを一気に読むからこその衝撃のような気がするし、読み終えたあとの狐につままれたような感慨もある。不思議な読後体験ができます。
posted by すけきょう at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月24日

異世界サムライ 斎藤勁吾(メディアファクトリー)

異世界サムライ 3 (MFC) [ 齋藤 勁吾 ] - 楽天ブックス
異世界サムライ 3 (MFC) [ 齋藤 勁吾 ] - 楽天ブックス
異世界転生ものもゲーが出るほどあって、あらゆるバリエーションが作られているゴールドラッシュの真っ只中で飽和通り越したと思ってるのに、その飽和の泡の中から新しい「なにか」が生まれてきているのがすごいです。

日本のサムライが異世界転生するなんてベタ中のベタかと思いつつ、まず、作画の鮮烈さに心を撃ち抜かれる。まあほれぼれと見とれるばかり画だね。1巻はほぼ画のイキオイにあっけにとられたまま読了だったな。

武士道を貫いてるという女性主人公。次にこれが効いてくる。ジャパニーズクレイジーブシドーです。武士として生きるために自ら顔に刀傷を作り、最後の稽古として父親と真剣試合をして父を殺し、関が原に死地を求めて乗り込むも、気絶してる間に合戦が終わり、辻斬りのよな真似をして腕自慢と果たし合いを100連勝し、仏門に帰依するも許しを請わず、ずっと敵を切り刻みたいと仏の前に祈るような、ハリウッドザコシショウのネタ的に誇張しすぎた武士なんですよね(あるいは戦国時代はそうだったのかもしれないが)。
そのキャラに異世界のひとびとは畏怖するのです。なぜなら、異世界はvs魔獣魔族という人類の天敵がいるのでひと同士で殺し合ってる場合じゃないのです。だから、人斬りに1mmも躊躇しない主人公はもう魔族くらい怖いのです。この設定よく考えてあるし、よく描けています。

しかし、異世界の作り込みも複雑にならなすぎるように苦心されてますが、なかなか複雑に積み上げられていきます。

余談。この作者ってことではないのだけど、異世界を描くのを好むひとはわりに「設定」を組み立てるのが好きじゃないかなあと。
もちろんこれまでの「有り物」に全乗っかりしているひとも多いし、それでおもしろいものが作ることができるなら問題はないんだけど、考えた設定を「全部描きたい」って欲は、創作、とくに異世界モノを描くひとに多いし、それを要求する読者(熱心な読者って層ね)も多いけど、危険だと思っております。

異世界のキャラも魔界のほうもいい感じです。
ジョーカーのような強さの主人公に負けてないキャラたちだし、これらの魅力はまた絵に返ってきます。
血なまぐさいがポップ。それでいて迫力も十分だし、それぞれオリジナリティがある。

最近のマンガのトレンドのテンポ(個人的にそう思ってるやつ)で速いですが、3巻でドカドカ新キャラ投入してテンポが落ちてきてるかな。それも今風ではあるけど、NOTFORMEではある。(これが前記の「危険」の要因)
個人的には新展開より新キャラ投入を慎重にしたほうがいいとは常々思ってます。おれがマンガのキャラでさえも人見知りする体質だからかもとは思いますが。

4巻ではそれらの新キャラが忘れられずにバシッとした活躍しますようにと。

異世界サムライ 3 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 3 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 2 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 2 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 1 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 1 (MFC) - 齋藤 勁吾
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2024年03月23日

旅は愛いもの甘いもの ももしろ/三月トモコ(文藝春秋)

旅は愛いもの甘いもの 1 [ ももしろ ] - 楽天ブックス
旅は愛いもの甘いもの 1 [ ももしろ ] - 楽天ブックス

献本。
30の派遣社員。社員に二股で本命とちゃんとつきあうからって理由でフラレる。
そいで傷心旅行。そこで謎めいた年下イケメンと出会う。
旅先で出会い宿まで一緒で晩ごはんをいっしょに。そいで「時間があったら旅につきあってくれませんか」とお願いされる。男は小説家で彼女と行動をともにしたらネタになりそうだからってことで。

と、こういうシステムやパターンが出来上がってるのに、そのレールにあまり乗らねえなってのが1点。
やろうと思えば毎話読み切りのスタイルであちこちいって名所名物押さえて彼氏とキャッキャウフフかドキドキ要素入れて1パッケージにすることは可能だよね。
本作ではシステムになかなか入らずにそれぞれの事情や日常を取り入れつつ1巻では結局旅行は2箇所。
きちんとロケハンつけて背景もしっかり描写してるけど、それ以上に各キャラの身辺もえらいしっかり描写している。
そのほうがリアルだけどね。毎週週末にどこか旅行に行くのは大変だよな。

もう1点は主人公をふった二股男。彼の回想とか出演シーンが多い。これがまた合法クズというかひどいやつだけど断罪するほどじゃないギリをついてる絶妙ないやなやつ。後半はちゃんと嫌なやつになり逆に惜しいと思ったくらい。いやなやつだけど法的にはもちろんだしモラルや一般常識からも大きくは逸脱していない。でもいやなやつ。
彼を回想も今もしっかりと描写している。なんとなればそいつの今カノも描写している。そんな絡める理由があるのか?と。
タイトルの通りラブストーリーにかかっているからなんでしょうかね。それとも他書出して恐縮ですが「凪のお暇」みたいな感じにするのかしら?

作画の方のあとがきに出不精とあったけどそれっていいのかな?ともちょっと思いましたけど、孤独のグルメの谷口ジロー氏もモデルになった店には行ってないそうなんで問題はないのか。



旅は愛いもの甘いもの 1 (Seasons) - ももしろ, 三月トモコ
旅は愛いもの甘いもの 1 (Seasons) - ももしろ, 三月トモコ
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2024年03月22日

黒ギャルさんが来る! いつむ(ドラゴンコミックエイジ)


既巻4巻。
落ち込んでいるサラリーマン。黒ギャルが話しかける。落ち込んでるの?おっぱいさわってみる?ってオープニング。
その手の密着ギャグとか、エロハプニングありの、正当なギャルエロコメな感じだなと思ったら、巻がすすむにつれて普通にラブ要素が強くなっていくのがおもしろい。ラブコメのラブが進むとエロが引っ込むのね。そういわれてみればこの現象あるよね。
1巻で満員電車で密着してしまう。胸がギューってなる。サラリーマンがドギマギする。定番ネタですよね。ところが4巻になり恋してるって黒ギャルが意識してからの満員電車シチュでは耐えられなくなりドギマギするという。

ベタでマンガらしいリアリティの薄い(すなわち、こんなやつぁいねえよ!)、ちょっと昔ながらのラブコメ体裁ではあるのだけど、最初サラリーマン男だったのに、陽キャ100%でスタイル神なのに恋に対して免疫がなくて純情な黒ギャルさんのほうに心情をフォーカスして描写していくのが不思議だなと。(それもきっちり厳格にルールは決めてない緩さがこの作品には合ってる)

黒ギャルさんはツンデレがないキャラで、ツンはもともとないんだけど、デレも長く続かないのでどうなってても素に戻るのよね。そこがおもしろい。だから、サラリーマンを好きだと自覚しても紆余曲折は多少はあったけど変わらないのよね。その描き方が興味深い。まあ、そこらも含めてわりと適当説もある。
そうなんだよね、本作はいろいろ適当なんだと思う。本来ならないはずのサラリーマンとJKの接点はなにか?っていうと、住んでるところが近いから偶然よく会うってパターンが様式美になってる。田舎でも都会でもそんなよく会わねえだろって(だから学校ってシステムが便利なんだよね)。
ただ、それもまたよしと思わせるマンガ全体から漂う「愛嬌」のようなものでたいして気にはならないんだよね。なんか安心して誰にも感情移入したり入れ込まないでみてられるなあと。
黒ギャルさんはかわいいしな。それでいいじゃないって。

でただこうなるとサラリーマンがおもしろくないんだよな、マンガのキャラとして。たいてい、高嶺の花(JKってだけで、ギャルってだけで、巨乳ってだけで、高嶺の花になるのは現実でも虚構でも決まりになってます)から惚れられるってのはそれなりに「なにか」ないとダメってなってるじゃん。虚構のほうではとくに。それこそ、幼馴染、全方位に優しい、真面目、たまに男らしくて頼れる、一生懸命、一途、などなど。ここいらでいうと、真面目キャラではあるんだけどちょっと弱いかな。
だけど、真面目であるがゆえに、ちゃんと黒ギャルとおつきあいを考えてるのがおもしろいのでそこらへん5巻ではどうなるかって。
まあ、現実だと3年経つとJKって高嶺の花要素が1個なくなるし、JK時代からつきあって卒業したら結婚ってあることだからなあ。

昨今のラブコメの流行りであるセックスしてもつづくってのじゃないほうがこのマンガには合ってるなとは思う。



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2024年03月21日

おしかけ!爆乳ギャルハーレム性活 ひし形とまる (同人誌)成年コミック

「オタクに優しいギャルはいない!?」ってマンガがギャルの出てくるマンガで1番健全なマンガだと思ったのでその真逆のマンガってなんだろうなあと即頭にうかんだのがこれでした。真逆なので成年コミックになるのは致し方ないことなんです。



[オタクに優しいギャルはいない のりしろちゃん魚住さかな\(ゼノンコミックス\): ポトチャリコミック](http://sukekyo.seesaa.net/article/502730460.html)




追記あり
posted by すけきょう at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月20日

オタクに優しいギャルはいない⁉ のりしろちゃん魚住さかな(ゼノンコミックス)


タイパを考えると残り少ない人生正直になったほうがトクなのだがおれはギャルが好きだ。
エロいものもそうじゃないものもギャルものがけっこう割合を占めてきている。あんまり意図して読んでいたわけではないが結果そうなった。成年コミックなものはとくに偶然だが振り返ってみるとお気に入りはギャルモノが多い。

それはともかく,本作。
学校のミスコンテストに1位2位で選ばれるような美少女コンビ(ギャルものはコンビが多いね)がひょんなことからオタクに懐いてくるって夢マンガ。
BUT非常に健全。鬼健全。
でも、キャラ立てがうまいし、話が盤石で悪く言えばベタまであるけど構成がうまくてスキがなく、ベリーベリーピースフル。
なので飽きずにずっとみてられるのよね。

6巻は黒ギャルのほうとケーキ屋でバイト(白ギャルは接客無理だから)。クリスマスにオタクがギャル2人にプレゼントを買うために奮闘するという流れ。
ギャルマンガの鉄の掟で(あんまり例外はない)、カッコはエロ派手でサバサバ性格だけど実は恋愛耐性なくて純情でチョロい。
それは本作も踏襲。純情度はふたりともかなり高い。
エロでも全年齢でも胸元を見せたりパンツはざらにあるけど、本作はない。いっしょにお泊りしたり海やら祭りやら学園祭やら、行事行事でイチャコラしてるけどスーパー健全。

それでいて「おもしろさ」が保たれているのがすごくおもしろいんだよね。メイン3人も他キャラも丁寧に描いてるし、いい絡み具合で味が出ている。

主人公キャラもオタクで頭も良くないしスポーツもデキないしイケメンでもない。だけどこういうときは誰にでも優しいとかここぞってときに男気を見せるって定番のやつ。
ちょっと変わってるのは、ポケモンを元にしたようなモノのオタクで、白ギャルも隠れオタクで、そこが縁でつながっていくところかな。うまく話にからんできいきます。とくに学校外で徐々に接触が増えていく段階がうまい。しかも上げ止まりせずに6巻でもまだ展開している。

これ現実とちがうのは、ギャルでかわいかったらなにがどうあろうとつきまとうヤンキー男キャラが出ることだよな。本作はそこいらはさすがにご都合なところもあるけど、一応対策や事情もあってそこいらもちゃんと練っているよなあと感心。
ギャル=男女問わず人気者だけどオタクとうまくいい感じでいい夢を見ていられる。

つまりは丁寧なんだよなあ。原作が別にあるのももちろんだけど、作画も非常に丁寧で愛がある。





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2024年03月19日

ひょんなこと ネルノダイスキ アタシ社


ネルノダイスキ氏の3作目。
「ひょうひょう」「いえめぐり」ときて本作は300ページオーバーの大作。アタシ社から取り寄せて届いたのを封筒から出したとき「でかっ!重っ!」と思いましたよ。

【豪華特典付】ネルノダイスキ『ひょんなこと』 | 夫婦出版社アタシ社 WEB SHOP https://kamitoatashi.fashionstore.jp/items/80232578

いきなり「はなしは変わるけど」ですが、アタシ社から買うとほんと豪華特典付きなのでオススメですよ。「いえめぐり」の本書に収録されてない小冊子がついている。送料はかかるけどこっちのほうがオススメ。

また「はなしは変わるけど」。

300ページオーバーで14本の短編集。何度か読んでひらめいた。ネルノダイスキ氏の作品はミュージシャンのアルバムみたいだなと。
「ひょうひょう」はデビューアルバム。メタリックジャケット。業界震撼の歴史に残る1st。
「いえめぐり」は2ndアルバムにしてコンセプトアルバム。家を内見するというコンセプト・アルバム。星新一氏のノックの音から始まる連作短編集を連想。メジャー・デビュー感ある。
そして本作「ひょんなこと」は3ndにして驚愕の2枚組大作です。デビューアルバムのように短編集でありながらも「流れ」を感じさせる堂々としたゴージャスでおなかいっぱいになる読後感。それでいて代表作たる完成度も備わっている。

ひとり暮らしの主人公が仕事帰り豆腐と大根買ったけど、忘れてそのままにして寝てしまったら、翌朝、豆腐と大根がフュージョンして謎の生物が生まれるという「T&D」。ポップでキャッチーなオープニングナンバー。
続いて「NecoとTaco」。これがキラーチューンかしらね。シングルカット。疾走感がありつつもスケールが大きいキャッチーな作品。
以降も水木しげる&諸星大二郎みたいな不思議な世界の「きんき」、益虫の蜘蛛がエスカレートしてお手伝いさんみたいになる「夏の騒動」、迫力&インパクトの「M1」、ロードムービーな「鯰を助けた猫」、いつもの猫キャラ以外の「ガール・ミーツ・石」なんかは、アルバム内にゲストボーカルを招いた、Featuringってなノリですな。
そして「T&D」と同じひとり暮らしの主人公が帰宅してはじまるラストナンバー「MELTRIP」。本作を締めくくるにふさわしい壮大な作品。

充実した読み応え。相変わらずどうやって描いているのか想像もつかない絵。ページ単価もカロリーも非常に高い。安易に精緻ってのとちがうんだよな。いまや写真を取り込んでPCでちょいちょいと加工したら「精緻」はできるからな。1コマに大量の時間を費やして一本一本線を引いて描いているだろうなあと。

ネルノダイスキ作品で1番好きなのは全作「マンガ」なことです。マンガの定義もますますよくわからなくなっている昨今ですが、その中にあって堂々とマンガと言い切れるど真ん中を貫く王道のマンガ。しかも、ジャンルに幅があって、それなのに独自の味があって、完成度が高くて、おもしろい。

ペンネームのネルノダイスキのネルは寝ると練るにかかってるそうで。
なるほどどんな手間をかけて作ったのか、どう練ったのか、いつ寝たのか、想像もつかないものになっているなあと。
河原の土手が舞台によく登場しますが、斜面の草を1本づつ丁寧に描いているんですよね。フローリングの床の木目、電車の座席の線なんてのも描いてある。1本づつ。なんでもボールペンでフリーハンドで描いているって話ですが、ちょっと途方もなくて信じられません。
それがちゃんと真似のできない味につながっているのもまたすごいですし。

まだ今年も長いけど、2024年の1位って思っています。こういう各種の賞レースに合ってるような合ってないのかよくわからないところもまたおもしろいですね。本当唯一無二。こんな新しいのに電書でないのもまたおもしろくて唯一無二。
手元にあって良かったと思う1冊です。あなたにもそうであってほしいと思う1冊です。


レビューランキング
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2024年03月11日

ウィッチウォッチ 篠原健太 (集英社)



神が作り給うた作品ってあるじゃない。
たとえば、ビートルズ。4人がギターやベースを演奏して録音して作ったのではなく、「ハイ」って天から指さしたら煙がボワンとしてもうそれはそこにある感じでCD屋の棚に収まっている。
そんな感じしない?もうあたりまえみたいによくできていて完璧で「そういうもの」としてそこに収まっている。

本作がそうだというと、大げさだし風呂敷が大きすぎるけど、最新刊の展開がすごすぎて、というか、全ての収まりが良すぎて、ひとりのマンガ家が考えたというより、実際にあったことをマンガに書き起こしただけじゃないのか?って思ったりするくらい良くできてる。まさに人智を超えたという。

魔女のニコ。千年に一度といわれる魔女で、1年以内に災厄が訪れる彼女のお守りとして代々鬼が引き継ぐ。それが幼馴染の守仁。ひとつ屋根の下に住むことになったと思ったら天狗、吸血鬼、狼男と増えて、結局シェアハウスみたいなことになる。
その設定の割に基本はギャグマンガでおもしろおかしく(声出して笑うレベルでガチのギャグマンガ)アハハと笑っていると油断した瞬間にシリアス回をぶっこんで篠原流の緊張と緩和するわーとなりながら、最終決戦がありうそうだと匂わせた10巻から、いよいよバトルが13巻ではじまり、決着がついたのが15巻。

ギャグもキレキレだがシリアスも超一級で迫力の画力に各キャラを活かしてきっちり見せ場に活躍させておき、状況も舞台もコロコロも変わりつつ、なお、ジャンプ王道バトルでバシッと決めた。
うわ、すげえ!って思う以外ない。

そして、次???

「次」がはじまった。最終決戦のあとの「次」。こんな展開考えつくか?しかも、いま、上記が何巻からはじまったかざっと読み返したら6巻にすでに伏線があった。そして次。15巻後半の展開が驚愕すぎる。

これなにがいいって収まりの良さこそは驚異的だけど、ギャグマンガにはおなじみの展開ではあるんだよね(ジャンプの有名作品でもある。ひょっとしたらそれのおまーじゅかもしれない)。そして、あれだけド級のバトルのあとにギャグ展開なんだよな。それもまたきっちりおもしろい。

なんだこの漏れのない淀みのない完璧な流れ。1話からこうなる予定でしたよとのばかりの流れ。
神が作ったのかわからないけども、そういうことを考えたのです。
ただ、前記のビートルズにせよ、正規のアルバム以外のいろいろな音源を聴くと試行錯誤の過程がわかります。本作もそうです。14巻には1話分のネーム、設計図みたいなものが掲載されていました。
これは神様が作ったものじゃなくて、作者が書いていると。

そこがすごいのです。

ただ、15巻で終わるはずが、アニメ化が決まったとかで「もうちょっとだけつづくんじゃぞい」ってことになるのかもなあとか。

YouTubeにはボイスコミックって声優が声を当てて展開するのがあるからもう各キャラの声は決まっているようなもんだしな。

(98) 【コント】(CV:小松未可子、松岡禎丞、福島潤、花守ゆみり)カンシの10倍速生活〜前篇〜【ウィッチウォッチ/ボイスコミック】 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=wByHXRfWu-Q
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2024年02月20日

ザ・キンクス 榎本俊二 (講談社)


ネットに掲載された1話がバズった。久しぶりのエノモトだ。すげえ作品だ。キンクスってユー・リアリー・ガット・ミーの?と思ったりしてた。どうせ単行本が出たらまんまと買ってまんまと読むのだろうと思った。その「まんま」が楽天ブックスから届いたのでまんまと読んだ。

先ず、明るさに驚かされた。1ページ。錦久(きんく)家に郵便物が届けられる。受け取る主。このシーンが明るいのだ。
そして、暗いことにも驚いた。4ページ。母の栗子がクラス会にタクシーを呼んで出かけていく家の前は夜。暗いのだ。
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ビートルズの「ミート・ザ・ビートルズ」のジャケットを思い出した。

あまりにも明るくて暗いなと感じた。顔の右側だけ明るく、左側は暗く、見えない。片側から強力なライトをあてコントラストをはっきりさせ、白!と黒!って感じを出している。白いし黒い。明るいし暗い。
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以降も日中シーンは明るいなと思い、夜のシーンは暗いなと思いながら見ていた。そのビジュアルに心を奪われていた。
思い起こせば。エノモトは、ゴールデンラッキーからビジュアルショックビジュアルをたくさんお描きになっていた。ただ、「さすが」になれたと思っていた。

いつものエノモトじゃん?っていわれるとちょっとはっきりした反論に自信がないが、それは最後にちょっとやってみよう。

そして次に内容です。本作は榎本氏の画業35年の記念に初の毎回16ページの「長編」連載に挑戦されております。なおかつ初の「日常から逸脱しない(あとがきより)」になっております。
錦久家4人(子供2人)と妻の父母他キャラを交えてのファミリーコメディ。
1話こそ、前記のようにバズった劇中劇をやるというかなり奇抜な話ではあるが、2話以降はあらすじを淡々と書くと、「2話、義父をデイケアに連れて行くときいっしょにいってしまって帰れない」「3話、長女の三者面談が最終的に六者面談になる」という感じです。もちろんそのままの話のわけがないですが、ちゃんと日常から逸脱しないストーリーにはなってます。
話は1巻のクライマックスに2話連続で「地元ささやか祭り」を描くところで終わります。これがまた前記のようにとても暗い。夜道を家に帰る錦久家一行といった話。まさに暗いマックス!なのです。

キャラです。いつも通りの魅力的な面々です。奔放でちょっとエロチックな妻の栗子さん、美少女だけどなんか抜けてる長女の茂千さん、元気だけどそそっかしい次男の寸助。小説家のスミオさん。彼が主人公ということかね。
やっぱり女性キャラがとてもかわいくて。寸助の担任の小山田先生、デイケアのケアマネ、歌手のマーサ・オクラホマなど、新機軸なのにとてもいい女性キャラを畳み掛けてきやがる。小説の賞の受賞式に花束を渡すためだけに1コマ映ってる名もなき女性キャラまで魅力的だぞ。

もうひとつエノモトマンガの初があるような気がするんです。
それは背景描写です。明るい暗いにも通じますが、物語でも軽く説明のある妻の実家のそば、どこかの地方都市。田舎ってほどでもないが帰り道は真っ暗になる程度の地方都市。
榎本氏も結婚して奥さんの実家がある広島に引っ越したらしく、ひょっとしてそこが舞台なのかしら?と思うほど、この物語の背景群はいい味出しているし、濃いめです。これまでのキャラにある「どこかにあるどこか」みたいなところではなく、きちんとした物語を紡ぐために設定した背景という気がする。
キャラだけじゃなくて背景まで見惚れるのです。

物語が、キャラが、背景が、濃密にからみあって日常から逸脱してないのに楽しいマンガ。そういうことがいえます。いいたいです。

最後に明るい暗いの反論。
1話がバズってたときとちがい紙の本で読んでしまったからかもしれないなと思いました。
バズったときはコミックDAYSで読みました。

ザ・キンクス - 榎本俊二 / 第1話 うれいらずたのぼー | コミックDAYS

このときにはさして明るいとか暗いの感想を持たなかったのです。でも、髪で読むと紙の白さが非常に明るく感じられたのです。

なんやらかんやらで8:2くらいの割合で電書を読むようになってます。でも、最近ここにきて電書になってないものや様々な理由で「紙の本いいなあ」って気になってきてます。
迷信とか気の所為であると思ってます、思い込んでますが、紙の本で読んだほうが「確実にわかる」と思えるのです。

他作者の本を引き合いに出して恐縮ですが(あ、もう余談になってます)、「令和のダラさん」というマンガ。電書で1巻を買い、2巻は発売日の0時を回った瞬間に買いました。紙書籍だと村上春樹氏やハリポタの新刊でもないとなかなかできないことですし(神書籍ってか)、多分書籍書店ではもうそんなイベントは行われないでしょう。だけど電書ならネット環境のあるところならどこでもできます。3巻もそうしましたし。
そして何万冊あろうと(今のタブレット性能だと4桁冊後半だと鈍牛になりますが)端末から呼び出せるって20世紀なら魔法ですよね。
あ、で、「令和のダラさん」は3巻電書で買い端末から何度も読み返してます。
ところが、先日、同人誌を買おうと思ったついでに本人によるダラさんの薄い本があって買ったのを読んだところ最の高だったんですよ。
それで紙の本は入ってくる喜びが大きいのではないか?と。
とくにビジュアルインパクトが強く感じられるのでは?と。

ま、老害っぽい言い草ですが、CDやハイレゾよりアナルじゃないアナログのほうがいいみたいな感じで。(タイポを直せよ)

そういえば「ザ・キンクス」は全アナログ作画だそうですよ。これがまたかっこいい。あれがアナログなのか。ほんと驚きの白さ(洗剤か)。
そして後悔するからなるべく「いいぞ」と思ったら紙で持っておこうと思ったのです。あの世まで持っていけるわけもないけど。

理屈じゃないんだよ!

余談2
好きなマンガがアニメ化したら妄想でOPとかEDをよく考えるのですが。
やっぱりザ・キンクスだからねえ。キンクスがアニメの主題歌って超かっこいいよね。

OPはこっち
Kirsty MacColl - Days
https://youtu.be/lYOp3F_Q8QM?si=jELe6dPKR-RYdtGV

EDはこっち
The Kinks - UK Jive
https://youtu.be/SwV5gONK7c8?si=5stOOU7cY71yrcym

(変なひねり方すぎましたか? ユー・リアリー・ガット・ミーとウォータールー・サンセットでもいいです)
posted by すけきょう at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月19日

出会って4光年で合体 太ったおばさん (同人誌)

出会って4光年で合体(太ったおばさん) - FANZA同人 https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_278002/
出会って4光年で合体 [太ったおばさん] | DLsite 同人 - R18 https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ01068994.html

同人誌です。区分としてはエロ同人ということになるんですが、エロ同人なのだろうか?じゃあエロ同人とはなにか?エロとはなにか?という哲学的迷宮に入ってしまいそうな作品ではあります。

全384ページの作品でエロページ、というよりは、セクシャルな部分に該当する箇所がひとコマでもあると判断したところが84ページです。この割合をもって本作はエロ漫画なのかと判断する前に、本作はマンガかどうかも審議が入ります。
上記サイトから読んでいただくと早いですが、吹き出しにセリフがないのです。四角の通常だとナレーションやキャプチャーがあるところに文語、というか小説のように物語が進行していく。もちろんセリフもそこにある。つまり、小説の挿絵としての存在でもある。ただ、吹き出しはある。いわゆるエロ擬音は吹き出しになる。口淫の音など。
こういうシステムで物語は進行していく。
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そしてこういうシステムだからこそ、400ページ弱で収まったともいえるくらい物語は長大で途方もない。

あらすじはタイトルのとおりだ。疎いおれですらあちこちにオマージュを指摘することができる数々の名作を飲み込みながらこの物語はタイトルに帰結していく。CMのコピーをボキャブったようなタイトルに、だ。

おもしろCM 玄関開けたら2分でご飯 https://youtu.be/i8qvqvRHF84?si=aoWsrhx1XWlqrk_q @YouTubeより

そして、
エロ漫画としてもちゃんとタイトル通りになり終わる。「エロ漫画」であり「マンガ」でもあり、「なんかよくわからないすごいもの」として。
これらをきちんと全て内包している。

あ、補足。
壮大なSF叙事詩の名作ってのも内包している。

余談。
同人誌ならではだよな。どう考えてもこれをドンとそこに置くことができるのは同人誌という文化ならではだし、この作品を引っ張るのに必要なものはエロだった。だからちゃんと合体する必要もあった。必然性のあるエロなのです。
posted by すけきょう at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月13日

2024 このマンガがすごいに推した5本のマンガのリンク

●1位 作品名:(このマンガがすごい内での順位12位)

令和のダラさん 1 ともつか治臣 (KADOKAWA): ポトチャリコミック
(現在3巻まで発売中。ずっとおもしろいままです)

●2位 作品名:(このマンガがすごい内での順位 圏外)

断腸亭にちじょう ガンプ 小学館: ポトチャリコミック

●3位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ(双葉社): ポトチャリコミック


●4位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

ぐるぐるゴロー 小田扉 双葉社: ポトチャリコミック


●5位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

BETTER THAN SEX - 研そうげん ジーオーティー: ポトチャリコミック 


このマンガ〜に書いた文章と同じことはそれぞれに書いてますので参照のほど。

オンナ編で1作推すことができるので

70年目の告白 〜毒とペン〜 高階良子 秋田書店: ポトチャリコミック


※その他、新連載の未単行本化作品、海外作品、web掲載作品、選考対象期間以前の完結作品、マンガ関係本(ファンブックや研究書ほか)など、特記してお勧めしたい作品がございましたら、ご自由にお書きください。 

これも掲載されたので

出会って4光年で合体 太ったおばさん (同人誌): ポトチャリコミック

ということでした。2024年も良いマンガを読めると良いですね、お互いに。あとこれ大幅に書くの遅れましたね。すみません。

余談。
私事で恐縮ですが2023年の半年は入院しておりましたので今年は読み切ってないし読んだものも偏っているなという反省はありますが、推したマンガに対しては反省はありません。どれもおもしろいですし推すにふさわしいものです。

「このマンガがすごい」は対象期間が前年の10月1日から今年の9月30日までになっております。
その期間に連載されているかコミックが発売されたものが対象になります。
コミック派のひとは10月以降に発売されると対象外になるという弱点があります。雑誌やWEBで対象期間中に掲載されたものは取り上げてもいいんですけどね。雑誌で読まなくなって久しいのでコミックという形にならないと可視化できない。
だから、コミック派のためになるべく1巻を9月にねじこめるならそうしていただけるといいなと編集各位にお願いしたいのです。

というなかで2022年9月8日発売で推したのだけど「ダメです」といわれた非常に惜しいのも貼っておきます。

大難産 山野一(文藝春秋): ポトチャリコミック

posted by すけきょう at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月10日

ぐるぐるゴロー 小田扉 双葉社


アニメ化もした「団地ともお」が有名なお方ですが、キャリアはずっと長く、個人的にもっとも衝撃を受けたのは初期の短編集です。

「そっと好かれる」小田扉(太田出版)http://www3.plala.or.jp/sukekyo/comic/2002/c0209.htm#c161
「マル被警察24時」 小田扉(実業之日本社)
http://www3.plala.or.jp/sukekyo/comic/2002/c0212.htm#c291

2002年の感想文です。22年前ですね。デビューはもっと前で20世紀からマンガ業のベテランさんです。上記リンクの前のホームページに「こさめちゃん」の感想を書いていました。2002年3月でした。「今月の逸品」なんて毎月おもしろかったモノを集めたところにありました。

小田扉さんは短編のひとということがいいたいわけです。

小説でもマンガでも映画でも短編が好きなので小田扉さんはずっと好きです。おもしろい短編が読めるからです。
小田扉さんは最長連載であり代表作でもある「団地ともお」にしても、主人公のともおがモブでしか出演していない、物語にあまり関わらないひとたちが登場する回が数多くあります。なんならともおが主人公でもスピンオフみたいな読み切りが多くあります。

短編の上手なひとということがいいたいわけです。

でも、上記の「マル秘警察24時」のように最後盛り上がって終わる長編も多いです。近作では「横須賀しずえ」もいい最終回だった。

本編です。縛りなしのフリーダムな短編集です。全11話。毎話読み切りだけど8話から最終話はやや連作のノリ。
帯には「小田扉流異世界譚」とあるが、そういう縛りからも割合とフリーダムで、本作のテーマはフリーダム。あるいは、毎回1話はあるギャグ回の世にも奇妙な話かな。
髪が蛇の地蔵様があったから酔っ払ったいきおいで小便をかけたバンドの一行がその呪いで次々に銅像にされて、それが神奈川〜東京史跡を巡る旅になる「ゴルゴン地蔵」。
公園にあるぐるぐる回る遊具に乗ったら、飼い犬のゴローと中身が入れ替わってしまう表題作「ぐるぐるゴロー」
心優しいが顔つきが凶悪な電気屋店主がエアコン修理したおばあさんがその夜に殺されたから犯人と間違われ地獄に落ちるも真犯人を突き止める話「飛べ!八つ裂き光輪!」
そして8話からのゆるいゆるいつながりで進行していく連作で最終話まで畳み込んでいく。



準新作に「フランチャイズ!つくだ★マジカル」全2巻がある。

コンビニ店長のおばちゃんが魔王を倒した魔法少女だったというマンガ。これが全2巻でありながらとても精緻な物語になっている。伏線や謎をあちこちに散りばめている一大異世界叙事詩(的)なものになっている。

それらの反動なのか、本作「ぐるぐるゴロー」は各話の作りがシンプルで力強く非常に抜けがいい。スカーンとかっ飛ばした抜け味。台風一過の青空のような明瞭さ。
上記のナンセンス、馬鹿らしい、一発ネタ、思いつきからのひねりをなるべく控えて、風通しがよく、小田扉な味もしっかりあるよなあと。思わず、持ってなかった作品集を電書で買い足すくらい小田扉ブームが起こりました。

素直にワハハと笑える破壊力のあるネタが多いので(しかもわりにシモネタ)、笑ってスカッとしたいかたもどうぞ(初めて書いたなこのフレーズ)
posted by すけきょう at 15:19| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月02日

大難産 山野一(文藝春秋)


Kindleでのみ発売されている「そせじ」という山野氏の双子女児のほがらか育児マンガ。現在4巻まで刊行中(連載中ってことでいいんですよね?)。この2巻からマンガ内連載としてはじまったのが「大難産」シリーズ。この4巻までのまとめに100p超の描き下ろしを加えたものが本書となります。

双子の妊娠発覚が判明するところから物語ははじまる。
喜んでいたのもつかの間で『双胎間輸血症候群』という難病であることが判明します。そして出産するまでと。


闘病記、エッセイ、やっぱりひとによってちがいますね。近頃、長く入院したのと「断腸亭にちじょう」に出会えたことを契機に闘病マンガを読みますが、いろいろありますね。
そしてそんなこと関係なくデビュー時からせっせとマンガを買い続けている山野一氏。そんな彼の闘病マンガは山野一ブランドの堂々たるものであるし、コレまでのキャリアや全芸風が惜しみなく注ぎ込まれています。

よくセールになっているんでおなじみの「四丁目の夕日」などの初期の身も蓋もないド暗黒鬼畜。アニメ化などしておなじみのねこぢるシリーズにあるかわいさ。不穏さや鬼畜さをかなり隠し味にしたほのぼの日常の「魚の目くん」(ギャグセンスやテンポはここで培われた感じあるね)。ネットによくお描きになられてた「そせじ」の直接的な流れにあたる絵日記シリーズ。そこから導入し始めるCG画による作風変化からの「そせじ」。全部この「大難産」に入ってます。よって本作は山野一のベストです。ミュージシャンのベスト盤的な意味のベストですが。マニアにもビギナーにも安心楽しいベスト盤。

麻酔を打たれてポワーとなってる妻を残して神社に手を合わせる。帰りに転んで立ち上がったとき梅の匂いが漂う。そして「道が開けた」って気分になっているところとか、ああ「山野一だ」って思った。こういうシーンの切り取り方をこういう風に描けるのって山野氏ならでは。
なんていうかな、神的ななにかと、怪異的ななにかと、そうじゃない、そんなわかり易いもんじゃないなにかをあえて描き分けてないゴダゴダな感じとかゾクゾクする。
そういうシーンがたくさんある。だからすごく楽しい(オカルトじゃないよ)。
双生児の娘2人のねこぢるに通底するような無表情なのに可愛い感じとか。反面ころころ表情が変わる読者のツッコミにあたる奥様。

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(・・・6つが味わいなんだよなあ)

奥様と作者の対比もおもしろいのよね。作者は「吉兆」を外部の景色や雰囲気から見出すのに対して、奥様はヒトから見出す。医者の経過観察の表情とか病院のスタッフの雰囲気からとか(それが普通だよね)。
寝床に伯父さんが現れるとかは作者と奥様のハイブリッドかしら。クライマックス感あるな。

もちろんではあるけど闘病マンガとしてのテイは整えてあり、関係者の喜怒哀楽や、苦難からの出産って物語としての起伏もバッチリです。出産系は出産してメデタシになるわけで着地点はわかりやすいけど、本作は出産した双子に「大変だったよ」と語ってるのでハッピーエンドは保証されてるのよね。そしてタイトル通りの大難産でもあるわけです。

そして、もちろんではあるけど「おもしろい」わけです。ベテランだぞ?昭和平成令和と描いておられるんだぞ?

安心して万人が読みましょう。「なんかところどころ変でひっかかる」って方、それが山野一味です。本作がおもしろかったらひとまず「そせじ」を読みましょう。Kindleだけですが4巻あって、各巻かなり読みでがあるし、生まれたあとの双生児と山野一家の活躍を楽しむことができます。大難産の一部は美麗なカラーです(雑誌のカラーが単行本では白黒になってる的)

そせじ(1) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/iCxCo0q
そせじ(2) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/4oCO1Sr
そせじ(3) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/bqVl8mY
そせじ(4) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/f43xKFs

唯一にして最大の弱点。発売日が2022年の9月8日だったこと。
それがどうした?と思われますが、えーと、「このマンガがすごい!」って有名なのありますよね?あれ、審査すると、期間が前年の10月からその年の9月までなんですよ。でも、締切がギリになるから選ばれにくいのよねえ。
えー、本作推したけどその理由で返ってきました。それは去年のじゃん!って。




posted by すけきょう at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月28日

バーナード嬢曰く 施川ユウキ(一迅社)

バーナード嬢曰く。 (7) (REXコミックス) [ 施川 ユウキ ] - 楽天ブックス
バーナード嬢曰く。 (7) (REXコミックス) [ 施川 ユウキ ] - 楽天ブックス

連載12年目突入で7巻で50万部。「ジワ売れ」ってことになるんでしょうか。帯に書いてあります。アニメ化もしてるし、手塚治虫文化賞も受賞してますね。wikiに書いてあります。アニメ見そびれたんだよな。

読書家高校生4人が図書室で交わす読書談義マンガ。
本ネタ、ジャンルネタ、作家ネタ、読書家あるあるネタ、等に、3巻くらいからかな、主人公(バーナード嬢→改めてバーナード・ショーからきてたなと再認識したり)とSF好きでシャイな神林との友情もフィーチャーされてきてぐっと味わいを深めてきている。いっときこのままユリユリしくなるのかと思ってたけどいまはバランスが取れていてそういう意味でも安定していってるな。

7巻がとてもよかったのよ。「あらいいですね」とすぐさま再読したくらい。
読書感想文を読まれるのが恥ずかしいという自意識からはじまって、1番影の薄いメガネの長谷川さんが活躍回が多く、かと思えばさわ子(主人公)がTikTokで読書紹介でバズろうとするとびきりの赤面回があり、ひとり男子の遠藤のめんどうくささにも磨きがかかり(ツッコミ役から重箱の隅をつつく役にシフトチェンジしているか)、神林さんのナイーヴさも相変わらずでいい。本作で1番感情が揺れ動いてるし、また微妙な細かい感情の描きわけがよかった。『家父長制的』での絶妙な表情。

そして巻末の【The Book】よ。これがすぐさまポトチャリコミックを書かせたのです。
ひょんなことから、神林と遠藤が小説を書くことになる話なんだけどね。
このマンガの流れでありながら短編でありちょっとしたスピンオフであり(タイトルはジョジョのノベライズから)、それでいてかなり特別な話でもあるがなにか物語が劇的に変化するでもない。なんていうか、「特別編」だ。特別だ。この特別が特別だった。

相変わらず「いいなあ」と強く思うが、そんな羨ましくないとも思える。いいさじ加減でもある。
posted by すけきょう at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月24日

にゃーの恩返し 山崎紗也夏(文藝春秋)

にゃーの恩返し 〜2人と1匹のウチごはん〜 1 [ 山崎 紗也夏 ] - 楽天ブックス
にゃーの恩返し 〜2人と1匹のウチごはん〜 1 [ 山崎 紗也夏 ] - 楽天ブックス

ベテランさんです。久しい方です。正直に書くと献本です。
同棲しているふたり。飼い猫1匹。ふたりは夜勤と昼勤なので普段は会ってない。そいでもって毎週火曜日は自炊の日って決めてる。予算は1000円。でも、その料理は変身した猫が作ってる。それをふたりはお互いが作ったものとして食べる。
そういう変則グルメマンガ。
ベテランだけあって様々な仕掛けが施してある。

冒頭、捨て猫を拾って初めて出会うふたりの馴れ初めが毎話イントロとして続く。1巻ではその回想がまだ終わってない。
生活スタイルも文化もちがうふたり。同棲しているのにすれ違っている関係。
料理作るシーンと食べるシーンがメインでドラマの孤独のグルメ的ではあるが、予算ふたり分で1000円で料理ではなくて炊事ってところもミソ。毎日の生活の中でなおかつ栄養バランスに気を使い、段取りも含めて3品4品作っており、なおかつ猫が作っていることもクローズアップしている。同棲女の服をみつくろって買い物にい部屋着の下着みたいので行ったりする。玉ねぎや長ネギが苦手だけどがんばって切ったりもする。
料理も和洋中バラエティに富んでいるしオーソドックスからちょっとアレンジしているし、率直に美味しそう。食材の使い回しが料理というより炊事な感じ。
作るシーンと食べるシーンもテンポ良しで読ませる。
しかも、同棲前と同棲中の過去現在のドラマもちゃんとループしてなくて進行してるんだよね。
猫を拾うのに同棲するまでがドラマチックだし、プチネタバラシだけど1巻が終わってもまだ同棲がはじまってないんだよね。
そして現在進行系のドラマでも動きがあるしなあ。
まあほとほと職人の仕事だねえ。

料理美味しそう、猫かわいい。化けた猫娘も同棲女性に似てるも野性味プラスの芸の細かやかさ。

そう、全てに渡って盛りだくさんの幕の内なのに芸が細かいのよね。そこがすばらし。キレイに毎回24pの話に収納されていて精密なパズルのようじゃ。

2巻も買います。

↓ここで読めます
にゃーの恩返し | 文春オンライン https://bunshun.jp/category/nyanoongaeshi
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2024年01月22日

断腸亭にちじょう ガンプ 小学館

断腸亭にちじょう(1)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
断腸亭にちじょう(1)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

断腸亭にちじょう(2) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス
断腸亭にちじょう(2) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス

断腸亭にちじょう(3) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス
断腸亭にちじょう(3) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス


私事で恐縮ですが、2023年は前半約半年入院しており、後半半年は穀つぶしとして息をするだけのとてつもなく非生産的な1年となりました。生まれてから保育所に預けられるまで以来かもしれません。それをひっくるめての闘病イヤーでした。

断腸亭にちじょうは闘病マンガです。闘病マンガってキライだったんですよね。奥さんがガンになってから(ひょっとしたらなる前からだったのかもしれない)テレビや本の闘病的なものを延々と無表情で見ている感じがとてもいやだったんだよ。

買ったきっかけはとよ田みのる氏の「これ描いて死ね」で登場キャラが海水浴場で読んでたからなんだけど。
本書を読んだあとだと的確なツッコミとして「海水浴に来てこれを読むなよ」と。

「絶対描かねえ」がん闘病を漫画にした理由 「断腸亭」ガンプさん:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR4P452TR4KUCVL03G.html

断腸亭にちじょうは病気の主人公が世界にヘイトをぶちまけているのが好感触です。
おれ自体も病人ですがまわりの身内も病人ばかりだったのです。過去形です。
おれの知る限り安らかに死んだやつはひとりもいなかったわ。
思い残しをなくして死ぬのもありえないし、大抵の身内は明日も生きていると思って死んでいく。

厭世感って言葉がありますが、厭世にならない人間っていないよなあと、身内、自分、同室の病人、基本うんざりしてる看護師などを見つつ噛み締めています。

2巻の抗がん剤を入れて自分だけどんどん沈んでいく描写が、1巻のガン告知されて現実味がなくて空に浮かんでるような描写と対比してていいなあと。

たくさんの医者やスタッフが登場しますが、いいひと悪いひとってあるなあとアタリマエのことを改めて思うこと多い。

>>
病院キライだけど いると落ち着く感じする。
周りの人みんなガンだから。苦しんで死ぬのは自分だけじゃないって思える。
疎外感というか、そういうものはない。

>>

配偶者とのモメゴトもとても既視感あるなあ

>>
抗ガン剤の辛さはサテコ(配偶者の名)に分かる訳がない。
それと同じで配偶者が突然ステージ四のガンになる気持ちは僕には分からない。

>>

身内が病気になると少なくともムードは伝染るからなああ。

相原コージ氏の「うつ病になってマンガが描けなくなりました」ってとぷ病マンガもそうだけど。食は重要だよね。医食同源なんてベタなやつの通りだけど、かなり闘病時には重要だったり。

現在3巻。かなりドラマチックに展開していてすげえです。闘病をちゃんとドラマにしている!って、褒めてるのかなんなのか自分でもよくわかりませんがすげえと思ったのです。

このマンガは続いて欲しい。あ、いや、描ききって欲しいがいいのか。よくわからんけど、もっとこの作者のマンガが読みたい。



あと住んでたところがそうとう近い。
まあだから市川市に住んでた永井荷風氏の随筆をもじってなおかつ大腸がんもひっかけてるんだろうなと。




https://twitter.com/poo1007/status/1650698298586726400?s=20

https://twitter.com/asahi_csr/status/1650637352564580352?s=20

https://sukekyo.hatenablog.com/entry/2012/05/13/062006
posted by すけきょう at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月19日

うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ(双葉社)

うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア


相原コージ氏がうつ病を発症された後の自殺未遂が「発病編」
入院されているときが「入院編」
次は未刊ではあるが「退院編」

相原コージ氏のファン歴は長いです。コミックスも基本発売日に買ってる程度のファンです(全部ではないと思いますが)。
だから、センセーショナルな自殺未遂のシーンからはじまる1話がWEBで公開されてバズったときからもうネットじゃ読めなくなり単行本が発売されるまで待とうと思っていた程度にファンです(それはファン度をアピールするのに相応しいかどうかはわからないけど)。

「発病編」を読みはじめてすぐに「白い」絵にたじろぐ。マンガは基本的に白い紙に黒い絵を描いているから白い紙面になる。相原氏の絵は律儀だと思う。丁寧に基本を踏まえコツコツとそれはもうコツコツと紡ぎあげるという画風であります。本作も「それ」なんですが、なんだかちがう。それは病気になったからって先入観でそう見えたのかとも思えたがちがう。そういう不安を煽る白さだった。白さと硬さかな。徐々に馴染んで安心するのだけど。なんだか最初は不安だった。

「発病編」では、これまでの「相原コージ」作風や画風を「思い出し」て描いておられるようなゆらゆらしたものを感じた。いろいろな作画テクを駆使してエンタメにしようと命を削っておられている様子が伺えるようでした。ただ内容が内容なもので(あらすじ→発病して自殺未遂して入院する)ギャグ的な要素をどこまで足していいのか、「軽く」していいのか、筆が迷っておられるような。そしてそれこそが唯一無二の味わい。

一方「入院編」では一転して白いのを意図的に描いておられるような安定を感じられました。
閉鎖病棟での生活を描いております。長いものは首を吊るかもしれないってNGだからスマホを充電するために短いコードで立たせるようにしてるあたりのリアリティがよかった。この手のディティールとそれ故にギャグになる感じはホント相原氏の発明っていっていいくらいの独自性がありますね。ついでにいえば、コンセントに差し込む擬音が「カチ」で、USB端子に差し込む擬音が「スチ」って言語感覚が好きです。

双方に共通しているのが食ってのもおもしろい。
発病編では梨が、入院編ではチョコレートがポイント。美味しい食べ物や食べられる食べ物って重要ですよね。

私事で恐縮ですが2022年11月から2023年4月まで入院していて食はポイントだったなあとか思い出します。私事で闘病記をよく読んでいたので闘病モノに食は重要というのはよくわかりますし実際自分でも大事でした。ポイントだよなあと、

退院編も楽しみにしてます。


posted by すけきょう at 23:41| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月15日

うみそらかぜに花 大石まさる 全4巻 (少年画報社)

うみそらかぜに花 1 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
うみそらかぜに花 1 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス

うみそらかぜに花 2 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
うみそらかぜに花 2 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス

うみそらかぜに花 3 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
うみそらかぜに花 3 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス

うみそらかぜに花 4 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
うみそらかぜに花 4 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス

2023年はAIがいよいよすごいことになり、先日は、サラサラと描いたいたずら書きレベルの絵がAIのチカラで美麗なイラストに早変わりしていた。

※参照
絵がヘタすぎてもテキトーに描くだけでチョー美しい絵にしてくれるAIがスゴイ!→ マジで凄かった件「Akuma.ai」 | ガジェット通信 GetNews https://getnews.jp/archives/3463412

そうなると漫画家ってなんだろう?って思ったりするのです。もっとゲスいことをいうと「自分でもかんたんにマンガ家になれるのかな?」と思ったり。

「うみそらかぜに花」は2020年から2023年にかけてヤングキングアワーズに連載されていました。全4巻。

中学生男女による学園ラブコメ。連れ子同士が再婚して、再婚夫婦がラブラブなもんで長期の旅行に出かけたから、ひとつ屋根の下に暮らしていいるけど、そのことはみんなにナイショナイショという。
うーん、王道過ぎたために平成では避けられていたようなやつだなあって。
逆に言うと新鮮!ってことです。

描くはヤングキングアワーズの重鎮大石まさる氏です。単行本発売即買い作家20年連続ベスト3入り(おれ調べ)です。

SF&ファンタジー分野で描かれてますが、日常ネタも描かれていて、でも、割合とハイブリッドなものが多くて、それはつまりどういうことかというと、SFやファンタジーな世界で「日常」を過ごしているってシーンが印象深いです。どこの時代や世界でもひとは日常を送る的な。それがライフワーク的な? 信条的な? ただあえてそれをずらしていく冒険活劇も多いですし、だがそのなかでも「けれん」と「刺激」と「変化」が多くて飽きさせまいという工夫が多いです。

「うみそらかぜに花」はあえての「普通」がハマってます。
そしてイチャイチャドキドキのエロエロのラブコメではないんですよね。
スマホなんかをさわってる現代っ子。主人公ヒロインそれぞれの友達、そしてそれぞれの親。大石マンガの定番のおじいちゃんキャラにたくさんいる動物も全部全員愛らしい。
1巻1話学園マンガのセオリーではクライマックス中のクライマックスであるから大事に大事にしていたい学園祭からスタートしますし、これまた美味しいところであるヒロインが別の男に言い寄られるという、トリッキーすぎるスタートです。
そこから4巻まで1年間というところでしょうか。
夏休みが長くて自然と戯れる系の遊びが多いからいつもの「大石節」になってはいきますが、それはかなりウエルカムな感じです。

3巻で作者が病気による長期の休載だったり、その影響なのか4巻はあとがきで異例な謝罪があったり、そもそも全部書影載せておきますが4巻の表紙だけは描き下ろしではなくて1巻のある回の表紙に彩色したものになってます。
4巻はマンガの画風が変わって感じるほどになります。1巻2巻の画力で殴りつける感じが弱まってきます。ホントいろいろあったんだなあと思わせます。ただ、そういうこと抜きに4巻でキレイに終わっててます。さわやかに、さっぱりと。
だから、大石まさる初見にも、知っておられる方にもオススメできます。
とくにおれに似た年齢の方、すなわち、いい歳こいたおっさん。
本作に出てくる中学生たちをみている大石氏の視点は孫を見るそれです。その湯加減がとても心地良い。未読のマンガがヤマのようにあるのにその「湯」につかってたくて再読しまくってます。最初から最後までストーリーも絵も長さもキャラたちもホントいい感じなのよね。

最近になり、少し考え方を改めました。
マンガはおもしろければそれでいい。おもしろいマンガこそがえらいマンガと思っていました。
ちがいました。いえ、そんなちがってません。ちょっとちがいます。どないやねん。
最初の話に戻りますが、この分だと早晩AIは「おもしろい」マンガを生み出すことができそうだなと思えてきました。
売れている話、ネタの切り口、盛り上げる展開、手堅いキャラ配置、そして作画。これらを分析させると「おもしろいマンガ」はできそうです。
どれとはいいませんがそういうノウハウで「人力」で作られたマンガは数多くありますし、「それ」によりマネーを生み出すためのノウハウこそがマンガ躍進の原動力といってもいいすぎではありません。その作業の多くをAIに任せるだけです。これまでの作業とあまり差はないです。
それはまことにけっこうなことではあるけど、つらつらと考えるに、おれはその「おもしろい」マンガをそんなに持ってないし読んでないぞということに気がつきました。
逆説的ですが、最近の電子書籍(どこらへんが電子なのかいまもってよくわからないのですが)で安くなった昭和からのおもしろ追求マンガが安いので大量に大人買い(子供でも買うことのできる値段なんだよなこれが)したことで余計にはっきりしました。
昭和平成の名作と呼ばれる何十巻も続いているマンガがタブレットに全部収録されていて、手元においていつでも読むことができる環境にあってそれらを全く読んでないのです。あるいは読みはじめても途中で飽きます。
おもしろいマンガをなるべく買わなかったのは、おれはおもしろいマンガを買っても読まないことがわかっていたからなんだなと。えらいぞ昔のおれ。
じゃあ、おれよ。おまえが好きで買って手元においてあるマンガはどういうマンガじゃ?と。自問自答するわけですよ。
その暫定的な答えとして「楽しいマンガ」をおれは好きなんだなと。
『楽しいマンガ」の「楽しい」の表現がしっくりハマってない気がするんですよね。
「おもしろい」というざっくりの中にありつつも「楽しい」。そのマンガの中に居たいと思うような、っていうと、また微妙にニュアンスがちがってくるんですけどね。つまりは、作家性の強い作品、その人じゃないと描くことのできない世界があるというかさ。
前記のようないい湯かげんの世界ですか。
翻ってあたりまえのことをいっているような気がしますが。そしてそれはAIじゃ出にくいですよね。そのマンガのその世界に居たいかというとなかなか懐疑的だわなあ。

ところがそのいい湯かげんの楽しいマンガというのは限りなく個人的なものになっていくのですね。それは健全な気もしますが。

ということでおもしかったですよ。大石マンガこれからもずっと読みたいわ。
posted by すけきょう at 21:44| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月18日

BETTER THAN SEX - 研そうげん ジーオーティー 

エロマンガです。成年コミックマークを3つ必要なほどハードにガッツリとしたエロマンガです。

何回も書いていますが、エロマンガに、いや、エロについてなにか言及するのはとても難しいです。
各エンタメのその年のランキングやオールタイム・ベストにAVとか成年コミックってないじゃないですか? 性嗜好はひとそれぞれだからですね。

だから本作はエロでは語りません。おもしろいマンガとして。そしておもしろいSFとして。それは、その年の「マンガ」としてランキング入りするレベルのものとして。

で、一応以下本文。

あと一応エロの感想として軽く。おれにはエロかったよ。入院中にFANZAからのDMで引っかかるものを感じて買ったら素晴らしかったと。お陰で入院中に成年コミックを買うのがブームになったくらい。まったくかなりな確率で死ぬ手術を終えてわりに安静にしてろって状況でよお。
ただまあかなりハードだしリョナ要素(検索しられ)も強めなので。
追記あり
posted by すけきょう at 15:32| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする