2024年02月20日

ザ・キンクス 榎本俊二 (講談社)


ネットに掲載された1話がバズった。久しぶりのエノモトだ。すげえ作品だ。キンクスってユー・リアリー・ガット・ミーの?と思ったりしてた。どうせ単行本が出たらまんまと買ってまんまと読むのだろうと思った。その「まんま」が楽天ブックスから届いたのでまんまと読んだ。

先ず、明るさに驚かされた。1ページ。錦久(きんく)家に郵便物が届けられる。受け取る主。このシーンが明るいのだ。
そして、暗いことにも驚いた。4ページ。母の栗子がクラス会にタクシーを呼んで出かけていく家の前は夜。暗いのだ。
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ビートルズの「ミート・ザ・ビートルズ」のジャケットを思い出した。

あまりにも明るくて暗いなと感じた。顔の右側だけ明るく、左側は暗く、見えない。片側から強力なライトをあてコントラストをはっきりさせ、白!と黒!って感じを出している。白いし黒い。明るいし暗い。
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以降も日中シーンは明るいなと思い、夜のシーンは暗いなと思いながら見ていた。そのビジュアルに心を奪われていた。
思い起こせば。エノモトは、ゴールデンラッキーからビジュアルショックビジュアルをたくさんお描きになっていた。ただ、「さすが」になれたと思っていた。

いつものエノモトじゃん?っていわれるとちょっとはっきりした反論に自信がないが、それは最後にちょっとやってみよう。

そして次に内容です。本作は榎本氏の画業35年の記念に初の毎回16ページの「長編」連載に挑戦されております。なおかつ初の「日常から逸脱しない(あとがきより)」になっております。
錦久家4人(子供2人)と妻の父母他キャラを交えてのファミリーコメディ。
1話こそ、前記のようにバズった劇中劇をやるというかなり奇抜な話ではあるが、2話以降はあらすじを淡々と書くと、「2話、義父をデイケアに連れて行くときいっしょにいってしまって帰れない」「3話、長女の三者面談が最終的に六者面談になる」という感じです。もちろんそのままの話のわけがないですが、ちゃんと日常から逸脱しないストーリーにはなってます。
話は1巻のクライマックスに2話連続で「地元ささやか祭り」を描くところで終わります。これがまた前記のようにとても暗い。夜道を家に帰る錦久家一行といった話。まさに暗いマックス!なのです。

キャラです。いつも通りの魅力的な面々です。奔放でちょっとエロチックな妻の栗子さん、美少女だけどなんか抜けてる長女の茂千さん、元気だけどそそっかしい次男の寸助。小説家のスミオさん。彼が主人公ということかね。
やっぱり女性キャラがとてもかわいくて。寸助の担任の小山田先生、デイケアのケアマネ、歌手のマーサ・オクラホマなど、新機軸なのにとてもいい女性キャラを畳み掛けてきやがる。小説の賞の受賞式に花束を渡すためだけに1コマ映ってる名もなき女性キャラまで魅力的だぞ。

もうひとつエノモトマンガの初があるような気がするんです。
それは背景描写です。明るい暗いにも通じますが、物語でも軽く説明のある妻の実家のそば、どこかの地方都市。田舎ってほどでもないが帰り道は真っ暗になる程度の地方都市。
榎本氏も結婚して奥さんの実家がある広島に引っ越したらしく、ひょっとしてそこが舞台なのかしら?と思うほど、この物語の背景群はいい味出しているし、濃いめです。これまでのキャラにある「どこかにあるどこか」みたいなところではなく、きちんとした物語を紡ぐために設定した背景という気がする。
キャラだけじゃなくて背景まで見惚れるのです。

物語が、キャラが、背景が、濃密にからみあって日常から逸脱してないのに楽しいマンガ。そういうことがいえます。いいたいです。

最後に明るい暗いの反論。
1話がバズってたときとちがい紙の本で読んでしまったからかもしれないなと思いました。
バズったときはコミックDAYSで読みました。

ザ・キンクス - 榎本俊二 / 第1話 うれいらずたのぼー | コミックDAYS

このときにはさして明るいとか暗いの感想を持たなかったのです。でも、髪で読むと紙の白さが非常に明るく感じられたのです。

なんやらかんやらで8:2くらいの割合で電書を読むようになってます。でも、最近ここにきて電書になってないものや様々な理由で「紙の本いいなあ」って気になってきてます。
迷信とか気の所為であると思ってます、思い込んでますが、紙の本で読んだほうが「確実にわかる」と思えるのです。

他作者の本を引き合いに出して恐縮ですが(あ、もう余談になってます)、「令和のダラさん」というマンガ。電書で1巻を買い、2巻は発売日の0時を回った瞬間に買いました。紙書籍だと村上春樹氏やハリポタの新刊でもないとなかなかできないことですし(神書籍ってか)、多分書籍書店ではもうそんなイベントは行われないでしょう。だけど電書ならネット環境のあるところならどこでもできます。3巻もそうしましたし。
そして何万冊あろうと(今のタブレット性能だと4桁冊後半だと鈍牛になりますが)端末から呼び出せるって20世紀なら魔法ですよね。
あ、で、「令和のダラさん」は3巻電書で買い端末から何度も読み返してます。
ところが、先日、同人誌を買おうと思ったついでに本人によるダラさんの薄い本があって買ったのを読んだところ最の高だったんですよ。
それで紙の本は入ってくる喜びが大きいのではないか?と。
とくにビジュアルインパクトが強く感じられるのでは?と。

ま、老害っぽい言い草ですが、CDやハイレゾよりアナルじゃないアナログのほうがいいみたいな感じで。(タイポを直せよ)

そういえば「ザ・キンクス」は全アナログ作画だそうですよ。これがまたかっこいい。あれがアナログなのか。ほんと驚きの白さ(洗剤か)。
そして後悔するからなるべく「いいぞ」と思ったら紙で持っておこうと思ったのです。あの世まで持っていけるわけもないけど。

理屈じゃないんだよ!

余談2
好きなマンガがアニメ化したら妄想でOPとかEDをよく考えるのですが。
やっぱりザ・キンクスだからねえ。キンクスがアニメの主題歌って超かっこいいよね。

OPはこっち
Kirsty MacColl - Days
https://youtu.be/lYOp3F_Q8QM?si=jELe6dPKR-RYdtGV

EDはこっち
The Kinks - UK Jive
https://youtu.be/SwV5gONK7c8?si=5stOOU7cY71yrcym

(変なひねり方すぎましたか? ユー・リアリー・ガット・ミーとウォータールー・サンセットでもいいです)
posted by すけきょう at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月19日

出会って4光年で合体 太ったおばさん (同人誌)

出会って4光年で合体(太ったおばさん) - FANZA同人 https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_278002/
出会って4光年で合体 [太ったおばさん] | DLsite 同人 - R18 https://www.dlsite.com/maniax/work/=/product_id/RJ01068994.html

同人誌です。区分としてはエロ同人ということになるんですが、エロ同人なのだろうか?じゃあエロ同人とはなにか?エロとはなにか?という哲学的迷宮に入ってしまいそうな作品ではあります。

全384ページの作品でエロページ、というよりは、セクシャルな部分に該当する箇所がひとコマでもあると判断したところが84ページです。この割合をもって本作はエロ漫画なのかと判断する前に、本作はマンガかどうかも審議が入ります。
上記サイトから読んでいただくと早いですが、吹き出しにセリフがないのです。四角の通常だとナレーションやキャプチャーがあるところに文語、というか小説のように物語が進行していく。もちろんセリフもそこにある。つまり、小説の挿絵としての存在でもある。ただ、吹き出しはある。いわゆるエロ擬音は吹き出しになる。口淫の音など。
こういうシステムで物語は進行していく。
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そしてこういうシステムだからこそ、400ページ弱で収まったともいえるくらい物語は長大で途方もない。

あらすじはタイトルのとおりだ。疎いおれですらあちこちにオマージュを指摘することができる数々の名作を飲み込みながらこの物語はタイトルに帰結していく。CMのコピーをボキャブったようなタイトルに、だ。

おもしろCM 玄関開けたら2分でご飯 https://youtu.be/i8qvqvRHF84?si=aoWsrhx1XWlqrk_q @YouTubeより

そして、
エロ漫画としてもちゃんとタイトル通りになり終わる。「エロ漫画」であり「マンガ」でもあり、「なんかよくわからないすごいもの」として。
これらをきちんと全て内包している。

あ、補足。
壮大なSF叙事詩の名作ってのも内包している。

余談。
同人誌ならではだよな。どう考えてもこれをドンとそこに置くことができるのは同人誌という文化ならではだし、この作品を引っ張るのに必要なものはエロだった。だからちゃんと合体する必要もあった。必然性のあるエロなのです。
posted by すけきょう at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月13日

2024 このマンガがすごいに推した5本のマンガのリンク

●1位 作品名:(このマンガがすごい内での順位12位)

令和のダラさん 1 ともつか治臣 (KADOKAWA): ポトチャリコミック
(現在3巻まで発売中。ずっとおもしろいままです)

●2位 作品名:(このマンガがすごい内での順位 圏外)

断腸亭にちじょう ガンプ 小学館: ポトチャリコミック

●3位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ(双葉社): ポトチャリコミック


●4位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

ぐるぐるゴロー 小田扉 双葉社: ポトチャリコミック


●5位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

BETTER THAN SEX - 研そうげん ジーオーティー: ポトチャリコミック 


このマンガ〜に書いた文章と同じことはそれぞれに書いてますので参照のほど。

オンナ編で1作推すことができるので

70年目の告白 〜毒とペン〜 高階良子 秋田書店: ポトチャリコミック


※その他、新連載の未単行本化作品、海外作品、web掲載作品、選考対象期間以前の完結作品、マンガ関係本(ファンブックや研究書ほか)など、特記してお勧めしたい作品がございましたら、ご自由にお書きください。 

これも掲載されたので

出会って4光年で合体 太ったおばさん (同人誌): ポトチャリコミック

ということでした。2024年も良いマンガを読めると良いですね、お互いに。あとこれ大幅に書くの遅れましたね。すみません。

余談。
私事で恐縮ですが2023年の半年は入院しておりましたので今年は読み切ってないし読んだものも偏っているなという反省はありますが、推したマンガに対しては反省はありません。どれもおもしろいですし推すにふさわしいものです。

「このマンガがすごい」は対象期間が前年の10月1日から今年の9月30日までになっております。
その期間に連載されているかコミックが発売されたものが対象になります。
コミック派のひとは10月以降に発売されると対象外になるという弱点があります。雑誌やWEBで対象期間中に掲載されたものは取り上げてもいいんですけどね。雑誌で読まなくなって久しいのでコミックという形にならないと可視化できない。
だから、コミック派のためになるべく1巻を9月にねじこめるならそうしていただけるといいなと編集各位にお願いしたいのです。

というなかで2022年9月8日発売で推したのだけど「ダメです」といわれた非常に惜しいのも貼っておきます。

大難産 山野一(文藝春秋): ポトチャリコミック

posted by すけきょう at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月10日

ぐるぐるゴロー 小田扉 双葉社


アニメ化もした「団地ともお」が有名なお方ですが、キャリアはずっと長く、個人的にもっとも衝撃を受けたのは初期の短編集です。

「そっと好かれる」小田扉(太田出版)http://www3.plala.or.jp/sukekyo/comic/2002/c0209.htm#c161
「マル被警察24時」 小田扉(実業之日本社)
http://www3.plala.or.jp/sukekyo/comic/2002/c0212.htm#c291

2002年の感想文です。22年前ですね。デビューはもっと前で20世紀からマンガ業のベテランさんです。上記リンクの前のホームページに「こさめちゃん」の感想を書いていました。2002年3月でした。「今月の逸品」なんて毎月おもしろかったモノを集めたところにありました。

小田扉さんは短編のひとということがいいたいわけです。

小説でもマンガでも映画でも短編が好きなので小田扉さんはずっと好きです。おもしろい短編が読めるからです。
小田扉さんは最長連載であり代表作でもある「団地ともお」にしても、主人公のともおがモブでしか出演していない、物語にあまり関わらないひとたちが登場する回が数多くあります。なんならともおが主人公でもスピンオフみたいな読み切りが多くあります。

短編の上手なひとということがいいたいわけです。

でも、上記の「マル秘警察24時」のように最後盛り上がって終わる長編も多いです。近作では「横須賀しずえ」もいい最終回だった。

本編です。縛りなしのフリーダムな短編集です。全11話。毎話読み切りだけど8話から最終話はやや連作のノリ。
帯には「小田扉流異世界譚」とあるが、そういう縛りからも割合とフリーダムで、本作のテーマはフリーダム。あるいは、毎回1話はあるギャグ回の世にも奇妙な話かな。
髪が蛇の地蔵様があったから酔っ払ったいきおいで小便をかけたバンドの一行がその呪いで次々に銅像にされて、それが神奈川〜東京史跡を巡る旅になる「ゴルゴン地蔵」。
公園にあるぐるぐる回る遊具に乗ったら、飼い犬のゴローと中身が入れ替わってしまう表題作「ぐるぐるゴロー」
心優しいが顔つきが凶悪な電気屋店主がエアコン修理したおばあさんがその夜に殺されたから犯人と間違われ地獄に落ちるも真犯人を突き止める話「飛べ!八つ裂き光輪!」
そして8話からのゆるいゆるいつながりで進行していく連作で最終話まで畳み込んでいく。



準新作に「フランチャイズ!つくだ★マジカル」全2巻がある。

コンビニ店長のおばちゃんが魔王を倒した魔法少女だったというマンガ。これが全2巻でありながらとても精緻な物語になっている。伏線や謎をあちこちに散りばめている一大異世界叙事詩(的)なものになっている。

それらの反動なのか、本作「ぐるぐるゴロー」は各話の作りがシンプルで力強く非常に抜けがいい。スカーンとかっ飛ばした抜け味。台風一過の青空のような明瞭さ。
上記のナンセンス、馬鹿らしい、一発ネタ、思いつきからのひねりをなるべく控えて、風通しがよく、小田扉な味もしっかりあるよなあと。思わず、持ってなかった作品集を電書で買い足すくらい小田扉ブームが起こりました。

素直にワハハと笑える破壊力のあるネタが多いので(しかもわりにシモネタ)、笑ってスカッとしたいかたもどうぞ(初めて書いたなこのフレーズ)
posted by すけきょう at 15:19| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月02日

大難産 山野一(文藝春秋)


Kindleでのみ発売されている「そせじ」という山野氏の双子女児のほがらか育児マンガ。現在4巻まで刊行中(連載中ってことでいいんですよね?)。この2巻からマンガ内連載としてはじまったのが「大難産」シリーズ。この4巻までのまとめに100p超の描き下ろしを加えたものが本書となります。

双子の妊娠発覚が判明するところから物語ははじまる。
喜んでいたのもつかの間で『双胎間輸血症候群』という難病であることが判明します。そして出産するまでと。


闘病記、エッセイ、やっぱりひとによってちがいますね。近頃、長く入院したのと「断腸亭にちじょう」に出会えたことを契機に闘病マンガを読みますが、いろいろありますね。
そしてそんなこと関係なくデビュー時からせっせとマンガを買い続けている山野一氏。そんな彼の闘病マンガは山野一ブランドの堂々たるものであるし、コレまでのキャリアや全芸風が惜しみなく注ぎ込まれています。

よくセールになっているんでおなじみの「四丁目の夕日」などの初期の身も蓋もないド暗黒鬼畜。アニメ化などしておなじみのねこぢるシリーズにあるかわいさ。不穏さや鬼畜さをかなり隠し味にしたほのぼの日常の「魚の目くん」(ギャグセンスやテンポはここで培われた感じあるね)。ネットによくお描きになられてた「そせじ」の直接的な流れにあたる絵日記シリーズ。そこから導入し始めるCG画による作風変化からの「そせじ」。全部この「大難産」に入ってます。よって本作は山野一のベストです。ミュージシャンのベスト盤的な意味のベストですが。マニアにもビギナーにも安心楽しいベスト盤。

麻酔を打たれてポワーとなってる妻を残して神社に手を合わせる。帰りに転んで立ち上がったとき梅の匂いが漂う。そして「道が開けた」って気分になっているところとか、ああ「山野一だ」って思った。こういうシーンの切り取り方をこういう風に描けるのって山野氏ならでは。
なんていうかな、神的ななにかと、怪異的ななにかと、そうじゃない、そんなわかり易いもんじゃないなにかをあえて描き分けてないゴダゴダな感じとかゾクゾクする。
そういうシーンがたくさんある。だからすごく楽しい(オカルトじゃないよ)。
双生児の娘2人のねこぢるに通底するような無表情なのに可愛い感じとか。反面ころころ表情が変わる読者のツッコミにあたる奥様。

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(・・・6つが味わいなんだよなあ)

奥様と作者の対比もおもしろいのよね。作者は「吉兆」を外部の景色や雰囲気から見出すのに対して、奥様はヒトから見出す。医者の経過観察の表情とか病院のスタッフの雰囲気からとか(それが普通だよね)。
寝床に伯父さんが現れるとかは作者と奥様のハイブリッドかしら。クライマックス感あるな。

もちろんではあるけど闘病マンガとしてのテイは整えてあり、関係者の喜怒哀楽や、苦難からの出産って物語としての起伏もバッチリです。出産系は出産してメデタシになるわけで着地点はわかりやすいけど、本作は出産した双子に「大変だったよ」と語ってるのでハッピーエンドは保証されてるのよね。そしてタイトル通りの大難産でもあるわけです。

そして、もちろんではあるけど「おもしろい」わけです。ベテランだぞ?昭和平成令和と描いておられるんだぞ?

安心して万人が読みましょう。「なんかところどころ変でひっかかる」って方、それが山野一味です。本作がおもしろかったらひとまず「そせじ」を読みましょう。Kindleだけですが4巻あって、各巻かなり読みでがあるし、生まれたあとの双生児と山野一家の活躍を楽しむことができます。大難産の一部は美麗なカラーです(雑誌のカラーが単行本では白黒になってる的)

そせじ(1) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/iCxCo0q
そせじ(2) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/4oCO1Sr
そせじ(3) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/bqVl8mY
そせじ(4) Kindle版 山野一https://amzn.asia/d/f43xKFs

唯一にして最大の弱点。発売日が2022年の9月8日だったこと。
それがどうした?と思われますが、えーと、「このマンガがすごい!」って有名なのありますよね?あれ、審査すると、期間が前年の10月からその年の9月までなんですよ。でも、締切がギリになるから選ばれにくいのよねえ。
えー、本作推したけどその理由で返ってきました。それは去年のじゃん!って。




posted by すけきょう at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月28日

バーナード嬢曰く 施川ユウキ(一迅社)

バーナード嬢曰く。 (7) (REXコミックス) [ 施川 ユウキ ] - 楽天ブックス
バーナード嬢曰く。 (7) (REXコミックス) [ 施川 ユウキ ] - 楽天ブックス

連載12年目突入で7巻で50万部。「ジワ売れ」ってことになるんでしょうか。帯に書いてあります。アニメ化もしてるし、手塚治虫文化賞も受賞してますね。wikiに書いてあります。アニメ見そびれたんだよな。

読書家高校生4人が図書室で交わす読書談義マンガ。
本ネタ、ジャンルネタ、作家ネタ、読書家あるあるネタ、等に、3巻くらいからかな、主人公(バーナード嬢→改めてバーナード・ショーからきてたなと再認識したり)とSF好きでシャイな神林との友情もフィーチャーされてきてぐっと味わいを深めてきている。いっときこのままユリユリしくなるのかと思ってたけどいまはバランスが取れていてそういう意味でも安定していってるな。

7巻がとてもよかったのよ。「あらいいですね」とすぐさま再読したくらい。
読書感想文を読まれるのが恥ずかしいという自意識からはじまって、1番影の薄いメガネの長谷川さんが活躍回が多く、かと思えばさわ子(主人公)がTikTokで読書紹介でバズろうとするとびきりの赤面回があり、ひとり男子の遠藤のめんどうくささにも磨きがかかり(ツッコミ役から重箱の隅をつつく役にシフトチェンジしているか)、神林さんのナイーヴさも相変わらずでいい。本作で1番感情が揺れ動いてるし、また微妙な細かい感情の描きわけがよかった。『家父長制的』での絶妙な表情。

そして巻末の【The Book】よ。これがすぐさまポトチャリコミックを書かせたのです。
ひょんなことから、神林と遠藤が小説を書くことになる話なんだけどね。
このマンガの流れでありながら短編でありちょっとしたスピンオフであり(タイトルはジョジョのノベライズから)、それでいてかなり特別な話でもあるがなにか物語が劇的に変化するでもない。なんていうか、「特別編」だ。特別だ。この特別が特別だった。

相変わらず「いいなあ」と強く思うが、そんな羨ましくないとも思える。いいさじ加減でもある。
posted by すけきょう at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月24日

にゃーの恩返し 山崎紗也夏(文藝春秋)

にゃーの恩返し 〜2人と1匹のウチごはん〜 1 [ 山崎 紗也夏 ] - 楽天ブックス
にゃーの恩返し 〜2人と1匹のウチごはん〜 1 [ 山崎 紗也夏 ] - 楽天ブックス

ベテランさんです。久しい方です。正直に書くと献本です。
同棲しているふたり。飼い猫1匹。ふたりは夜勤と昼勤なので普段は会ってない。そいでもって毎週火曜日は自炊の日って決めてる。予算は1000円。でも、その料理は変身した猫が作ってる。それをふたりはお互いが作ったものとして食べる。
そういう変則グルメマンガ。
ベテランだけあって様々な仕掛けが施してある。

冒頭、捨て猫を拾って初めて出会うふたりの馴れ初めが毎話イントロとして続く。1巻ではその回想がまだ終わってない。
生活スタイルも文化もちがうふたり。同棲しているのにすれ違っている関係。
料理作るシーンと食べるシーンがメインでドラマの孤独のグルメ的ではあるが、予算ふたり分で1000円で料理ではなくて炊事ってところもミソ。毎日の生活の中でなおかつ栄養バランスに気を使い、段取りも含めて3品4品作っており、なおかつ猫が作っていることもクローズアップしている。同棲女の服をみつくろって買い物にい部屋着の下着みたいので行ったりする。玉ねぎや長ネギが苦手だけどがんばって切ったりもする。
料理も和洋中バラエティに富んでいるしオーソドックスからちょっとアレンジしているし、率直に美味しそう。食材の使い回しが料理というより炊事な感じ。
作るシーンと食べるシーンもテンポ良しで読ませる。
しかも、同棲前と同棲中の過去現在のドラマもちゃんとループしてなくて進行してるんだよね。
猫を拾うのに同棲するまでがドラマチックだし、プチネタバラシだけど1巻が終わってもまだ同棲がはじまってないんだよね。
そして現在進行系のドラマでも動きがあるしなあ。
まあほとほと職人の仕事だねえ。

料理美味しそう、猫かわいい。化けた猫娘も同棲女性に似てるも野性味プラスの芸の細かやかさ。

そう、全てに渡って盛りだくさんの幕の内なのに芸が細かいのよね。そこがすばらし。キレイに毎回24pの話に収納されていて精密なパズルのようじゃ。

2巻も買います。

↓ここで読めます
にゃーの恩返し | 文春オンライン https://bunshun.jp/category/nyanoongaeshi
posted by すけきょう at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年01月22日

断腸亭にちじょう ガンプ 小学館

断腸亭にちじょう(1)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
断腸亭にちじょう(1)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

断腸亭にちじょう(2) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス
断腸亭にちじょう(2) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス

断腸亭にちじょう(3) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス
断腸亭にちじょう(3) (サンデーうぇぶりコミックス) [ ガンプ ] - 楽天ブックス


私事で恐縮ですが、2023年は前半約半年入院しており、後半半年は穀つぶしとして息をするだけのとてつもなく非生産的な1年となりました。生まれてから保育所に預けられるまで以来かもしれません。それをひっくるめての闘病イヤーでした。

断腸亭にちじょうは闘病マンガです。闘病マンガってキライだったんですよね。奥さんがガンになってから(ひょっとしたらなる前からだったのかもしれない)テレビや本の闘病的なものを延々と無表情で見ている感じがとてもいやだったんだよ。

買ったきっかけはとよ田みのる氏の「これ描いて死ね」で登場キャラが海水浴場で読んでたからなんだけど。
本書を読んだあとだと的確なツッコミとして「海水浴に来てこれを読むなよ」と。

「絶対描かねえ」がん闘病を漫画にした理由 「断腸亭」ガンプさん:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR4P452TR4KUCVL03G.html

断腸亭にちじょうは病気の主人公が世界にヘイトをぶちまけているのが好感触です。
おれ自体も病人ですがまわりの身内も病人ばかりだったのです。過去形です。
おれの知る限り安らかに死んだやつはひとりもいなかったわ。
思い残しをなくして死ぬのもありえないし、大抵の身内は明日も生きていると思って死んでいく。

厭世感って言葉がありますが、厭世にならない人間っていないよなあと、身内、自分、同室の病人、基本うんざりしてる看護師などを見つつ噛み締めています。

2巻の抗がん剤を入れて自分だけどんどん沈んでいく描写が、1巻のガン告知されて現実味がなくて空に浮かんでるような描写と対比してていいなあと。

たくさんの医者やスタッフが登場しますが、いいひと悪いひとってあるなあとアタリマエのことを改めて思うこと多い。

>>
病院キライだけど いると落ち着く感じする。
周りの人みんなガンだから。苦しんで死ぬのは自分だけじゃないって思える。
疎外感というか、そういうものはない。

>>

配偶者とのモメゴトもとても既視感あるなあ

>>
抗ガン剤の辛さはサテコ(配偶者の名)に分かる訳がない。
それと同じで配偶者が突然ステージ四のガンになる気持ちは僕には分からない。

>>

身内が病気になると少なくともムードは伝染るからなああ。

相原コージ氏の「うつ病になってマンガが描けなくなりました」ってとぷ病マンガもそうだけど。食は重要だよね。医食同源なんてベタなやつの通りだけど、かなり闘病時には重要だったり。

現在3巻。かなりドラマチックに展開していてすげえです。闘病をちゃんとドラマにしている!って、褒めてるのかなんなのか自分でもよくわかりませんがすげえと思ったのです。

このマンガは続いて欲しい。あ、いや、描ききって欲しいがいいのか。よくわからんけど、もっとこの作者のマンガが読みたい。



あと住んでたところがそうとう近い。
まあだから市川市に住んでた永井荷風氏の随筆をもじってなおかつ大腸がんもひっかけてるんだろうなと。




https://twitter.com/poo1007/status/1650698298586726400?s=20

https://twitter.com/asahi_csr/status/1650637352564580352?s=20

https://sukekyo.hatenablog.com/entry/2012/05/13/062006
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2024年01月19日

うつ病になってマンガが描けなくなりました 相原コージ(双葉社)

うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
うつ病になってマンガが描けなくなりました 発病編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
うつ病になってマンガが描けなくなりました 入院編【電子書籍】[ 相原コージ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア


相原コージ氏がうつ病を発症された後の自殺未遂が「発病編」
入院されているときが「入院編」
次は未刊ではあるが「退院編」

相原コージ氏のファン歴は長いです。コミックスも基本発売日に買ってる程度のファンです(全部ではないと思いますが)。
だから、センセーショナルな自殺未遂のシーンからはじまる1話がWEBで公開されてバズったときからもうネットじゃ読めなくなり単行本が発売されるまで待とうと思っていた程度にファンです(それはファン度をアピールするのに相応しいかどうかはわからないけど)。

「発病編」を読みはじめてすぐに「白い」絵にたじろぐ。マンガは基本的に白い紙に黒い絵を描いているから白い紙面になる。相原氏の絵は律儀だと思う。丁寧に基本を踏まえコツコツとそれはもうコツコツと紡ぎあげるという画風であります。本作も「それ」なんですが、なんだかちがう。それは病気になったからって先入観でそう見えたのかとも思えたがちがう。そういう不安を煽る白さだった。白さと硬さかな。徐々に馴染んで安心するのだけど。なんだか最初は不安だった。

「発病編」では、これまでの「相原コージ」作風や画風を「思い出し」て描いておられるようなゆらゆらしたものを感じた。いろいろな作画テクを駆使してエンタメにしようと命を削っておられている様子が伺えるようでした。ただ内容が内容なもので(あらすじ→発病して自殺未遂して入院する)ギャグ的な要素をどこまで足していいのか、「軽く」していいのか、筆が迷っておられるような。そしてそれこそが唯一無二の味わい。

一方「入院編」では一転して白いのを意図的に描いておられるような安定を感じられました。
閉鎖病棟での生活を描いております。長いものは首を吊るかもしれないってNGだからスマホを充電するために短いコードで立たせるようにしてるあたりのリアリティがよかった。この手のディティールとそれ故にギャグになる感じはホント相原氏の発明っていっていいくらいの独自性がありますね。ついでにいえば、コンセントに差し込む擬音が「カチ」で、USB端子に差し込む擬音が「スチ」って言語感覚が好きです。

双方に共通しているのが食ってのもおもしろい。
発病編では梨が、入院編ではチョコレートがポイント。美味しい食べ物や食べられる食べ物って重要ですよね。

私事で恐縮ですが2022年11月から2023年4月まで入院していて食はポイントだったなあとか思い出します。私事で闘病記をよく読んでいたので闘病モノに食は重要というのはよくわかりますし実際自分でも大事でした。ポイントだよなあと、

退院編も楽しみにしてます。


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2024年01月15日

うみそらかぜに花 大石まさる 全4巻 (少年画報社)

うみそらかぜに花 1 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
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うみそらかぜに花 2 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
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うみそらかぜに花 3 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
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うみそらかぜに花 4 (YKコミックス) [ 大石 まさる ] - 楽天ブックス
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2023年はAIがいよいよすごいことになり、先日は、サラサラと描いたいたずら書きレベルの絵がAIのチカラで美麗なイラストに早変わりしていた。

※参照
絵がヘタすぎてもテキトーに描くだけでチョー美しい絵にしてくれるAIがスゴイ!→ マジで凄かった件「Akuma.ai」 | ガジェット通信 GetNews https://getnews.jp/archives/3463412

そうなると漫画家ってなんだろう?って思ったりするのです。もっとゲスいことをいうと「自分でもかんたんにマンガ家になれるのかな?」と思ったり。

「うみそらかぜに花」は2020年から2023年にかけてヤングキングアワーズに連載されていました。全4巻。

中学生男女による学園ラブコメ。連れ子同士が再婚して、再婚夫婦がラブラブなもんで長期の旅行に出かけたから、ひとつ屋根の下に暮らしていいるけど、そのことはみんなにナイショナイショという。
うーん、王道過ぎたために平成では避けられていたようなやつだなあって。
逆に言うと新鮮!ってことです。

描くはヤングキングアワーズの重鎮大石まさる氏です。単行本発売即買い作家20年連続ベスト3入り(おれ調べ)です。

SF&ファンタジー分野で描かれてますが、日常ネタも描かれていて、でも、割合とハイブリッドなものが多くて、それはつまりどういうことかというと、SFやファンタジーな世界で「日常」を過ごしているってシーンが印象深いです。どこの時代や世界でもひとは日常を送る的な。それがライフワーク的な? 信条的な? ただあえてそれをずらしていく冒険活劇も多いですし、だがそのなかでも「けれん」と「刺激」と「変化」が多くて飽きさせまいという工夫が多いです。

「うみそらかぜに花」はあえての「普通」がハマってます。
そしてイチャイチャドキドキのエロエロのラブコメではないんですよね。
スマホなんかをさわってる現代っ子。主人公ヒロインそれぞれの友達、そしてそれぞれの親。大石マンガの定番のおじいちゃんキャラにたくさんいる動物も全部全員愛らしい。
1巻1話学園マンガのセオリーではクライマックス中のクライマックスであるから大事に大事にしていたい学園祭からスタートしますし、これまた美味しいところであるヒロインが別の男に言い寄られるという、トリッキーすぎるスタートです。
そこから4巻まで1年間というところでしょうか。
夏休みが長くて自然と戯れる系の遊びが多いからいつもの「大石節」になってはいきますが、それはかなりウエルカムな感じです。

3巻で作者が病気による長期の休載だったり、その影響なのか4巻はあとがきで異例な謝罪があったり、そもそも全部書影載せておきますが4巻の表紙だけは描き下ろしではなくて1巻のある回の表紙に彩色したものになってます。
4巻はマンガの画風が変わって感じるほどになります。1巻2巻の画力で殴りつける感じが弱まってきます。ホントいろいろあったんだなあと思わせます。ただ、そういうこと抜きに4巻でキレイに終わっててます。さわやかに、さっぱりと。
だから、大石まさる初見にも、知っておられる方にもオススメできます。
とくにおれに似た年齢の方、すなわち、いい歳こいたおっさん。
本作に出てくる中学生たちをみている大石氏の視点は孫を見るそれです。その湯加減がとても心地良い。未読のマンガがヤマのようにあるのにその「湯」につかってたくて再読しまくってます。最初から最後までストーリーも絵も長さもキャラたちもホントいい感じなのよね。

最近になり、少し考え方を改めました。
マンガはおもしろければそれでいい。おもしろいマンガこそがえらいマンガと思っていました。
ちがいました。いえ、そんなちがってません。ちょっとちがいます。どないやねん。
最初の話に戻りますが、この分だと早晩AIは「おもしろい」マンガを生み出すことができそうだなと思えてきました。
売れている話、ネタの切り口、盛り上げる展開、手堅いキャラ配置、そして作画。これらを分析させると「おもしろいマンガ」はできそうです。
どれとはいいませんがそういうノウハウで「人力」で作られたマンガは数多くありますし、「それ」によりマネーを生み出すためのノウハウこそがマンガ躍進の原動力といってもいいすぎではありません。その作業の多くをAIに任せるだけです。これまでの作業とあまり差はないです。
それはまことにけっこうなことではあるけど、つらつらと考えるに、おれはその「おもしろい」マンガをそんなに持ってないし読んでないぞということに気がつきました。
逆説的ですが、最近の電子書籍(どこらへんが電子なのかいまもってよくわからないのですが)で安くなった昭和からのおもしろ追求マンガが安いので大量に大人買い(子供でも買うことのできる値段なんだよなこれが)したことで余計にはっきりしました。
昭和平成の名作と呼ばれる何十巻も続いているマンガがタブレットに全部収録されていて、手元においていつでも読むことができる環境にあってそれらを全く読んでないのです。あるいは読みはじめても途中で飽きます。
おもしろいマンガをなるべく買わなかったのは、おれはおもしろいマンガを買っても読まないことがわかっていたからなんだなと。えらいぞ昔のおれ。
じゃあ、おれよ。おまえが好きで買って手元においてあるマンガはどういうマンガじゃ?と。自問自答するわけですよ。
その暫定的な答えとして「楽しいマンガ」をおれは好きなんだなと。
『楽しいマンガ」の「楽しい」の表現がしっくりハマってない気がするんですよね。
「おもしろい」というざっくりの中にありつつも「楽しい」。そのマンガの中に居たいと思うような、っていうと、また微妙にニュアンスがちがってくるんですけどね。つまりは、作家性の強い作品、その人じゃないと描くことのできない世界があるというかさ。
前記のようないい湯かげんの世界ですか。
翻ってあたりまえのことをいっているような気がしますが。そしてそれはAIじゃ出にくいですよね。そのマンガのその世界に居たいかというとなかなか懐疑的だわなあ。

ところがそのいい湯かげんの楽しいマンガというのは限りなく個人的なものになっていくのですね。それは健全な気もしますが。

ということでおもしかったですよ。大石マンガこれからもずっと読みたいわ。
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2023年05月18日

BETTER THAN SEX - 研そうげん ジーオーティー 

エロマンガです。成年コミックマークを3つ必要なほどハードにガッツリとしたエロマンガです。

何回も書いていますが、エロマンガに、いや、エロについてなにか言及するのはとても難しいです。
各エンタメのその年のランキングやオールタイム・ベストにAVとか成年コミックってないじゃないですか? 性嗜好はひとそれぞれだからですね。

だから本作はエロでは語りません。おもしろいマンガとして。そしておもしろいSFとして。それは、その年の「マンガ」としてランキング入りするレベルのものとして。

で、一応以下本文。

あと一応エロの感想として軽く。おれにはエロかったよ。入院中にFANZAからのDMで引っかかるものを感じて買ったら素晴らしかったと。お陰で入院中に成年コミックを買うのがブームになったくらい。まったくかなりな確率で死ぬ手術を終えてわりに安静にしてろって状況でよお。
ただまあかなりハードだしリョナ要素(検索しられ)も強めなので。
追記あり
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2022年12月26日

70年目の告白 〜毒とペン〜 高階良子 秋田書店




実は作者について知りません。びっくりするくらいのベテランですから。タイトルの通りのキャリアのベテランです。
大御所漫画家の生い立ちからのまんが道。全3巻。
タイトルにある「毒」は毒親のことですね。
彼女の人生に立ちはだかり続けていた母親との軋轢を描いた70年のまんが道。
これがすさまじかった。
知ったのはTwitterだったのです。圧巻とフォローしていた漫画家の方々が書いていたので、ちょうどセール日と重なっていたので「ふーん」と軽い気持ちで買い、軽い気持ちで読みはじめたがこれが凄まじかった。すっかりやられてしまった。

オープニングは母の死。そして戦時中の空襲により母が自分を生むところにタイムスリップして出産前の母親描写から物語を今の作者が見守るところからはじまる。
家を伯母にとられバラック小屋に子供4人と暮らす。父親は仕事が忙しくてめったに家に帰らない。そこでいて母親にあからさまにいびられる日々。

マンガという生きがいをみつけても馬鹿にされたり書き溜めたノートを捨てられたり、「マジか」ってエピソードがつづく。
それでいて中学卒業とともに就職。住み込みの職場で仕事の合間に布団にちゃぶ台を置いてマンガを描くというエクストリームまんが道。

そして作者は漫画家として成功するんですよ。そうなると母親が寄生しはじめるというネバーエンディング毒沼。
アシスタントの前で主人公をdisり自分がえらいことをアピールするとかいびるのが止まらないまま、ついには精神を病んだりする。

毒親ってのがよくわからないのは、結局のところ親を捨てきれてなくていつか自分をかわいがってもらえるっていくつになっても思ってるから、絶望に絶望を重ねても暗闇の中に一筋の光を見出すって構造なんかなあと。作者も「今の」作者視点から分析されてるけど。

基本というか最初から最後までラスボスとして母親は立ちはだかっているのだけど、終戦から昭和平成という時代にはなんていうか別の敵も多いんだよね。
中学のときの牛乳のエピソードがとくに強烈だった。
クラスの牛乳が足りないっていったとき牛乳嫌いの同級生が手をあげて「私のをあげます」という。それをみていた担任が、作者に「あなたは生活保護でタダで給食を食べてるんだからこういうときはすすんで差し出せ」なんていうのよ。
で、それがショックで「自分は牛乳が飲めない」という自己暗示をかける。
なんかこういう強烈なエピソードが多いんだよな。
結局、母親が財産を管理するって名目で作者の稼ぎの大半を貯金してたものの、それは晩年にボケた母親のケアホームのためになくなるとか。

いやハードすぎね?と絶句する。

昔から大好きだったって理由でフォローした漫画家もときおり毒親の話をツイートするのを読んで衝撃を受けていた。
こういうのやっぱりあるんだなあ。

こういう「まんが道」もあるんだなと。凄まじかったです。
posted by すけきょう at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月20日

ようきなやつら 岡田索雲 双葉社


このマンガがすごい2023の18位。
各コメントを読んで気になったのが1位とこれでした。

短編集。webアクションで読み切り連作として発表されていたものに電子書籍として別に発売されていたものに描き下ろしを加えてグググググと完成度を増して1冊にまとめたようです。

妖怪系を主人公としての読み切りが最後のほうで集結といった具合。

かまいたちの子供がほしいただのいたちがかまいたちの奥さんとセックスをしてばかりいる「東京鎌鼬」と、他人の心が読めるゆえにクラスから孤立しているサトリが先生の尽力で心を開く「忍耐サトリくん」は、ギャグテイストが強くて(声出して笑ったよ)、そういう路線なのかと思ったら、「川血」からテイストが変わり「峯落」から”思想”が入っていき、関東大震災の日本人による東京での朝鮮人虐待を描いた圧巻の「追燈」。そして描き下ろしでグググとまとまるという段取りになっております。

読み応えがあり、それぞれテイストががらりとちがうのにきっちり引き込まれる。

このマンガがすごい経由だったのでタイトルでひいて買ったから読み終わるまで気が付かなかったけど「メイコの遊び場」のひとだったのね。これは全3巻読んでいたのにな。
そう気づくとあらためて似たところも多いのですが、タッチがちがうので気が付きませんでした。各話ごとにガラリと話がちがうし絵のタッチもちがう(でも、統一したものもある)ので気が付きませんでした。

読み応えのある完成度の高い1冊になっております。なるほどこの年を代表する短編集になっておるなと。





1970年代が舞台。いつも眼帯をしているメイコ。いつもひとりだったメイコ。そして「仕事」をしているメイコ。
あるとき地元の同年代の少年少女に誘われていっしょに遊ぶようになる。
彼女が眼帯をとった目に見つめられると「彼女の世界」に引きずり込まれ彼女の遊び場のおもちゃになる。そうされると「壊れる」。
ということで、前半は友達といろいろな遊びをやって、後半はその遊びでひと(ほぼヤクザ)を壊すという段取り。
ラストがいいんだよな。とってもいい。いまもどこかにアラフォーくらいのメイコがいるのかしらねえ。
posted by すけきょう at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月19日

光が死んだ夏 モクモクれん KADOKAWA



このマンガがすごい2023のオトコ編1位です。
ここ10年はもうジャンプ無双といえるような状態ですよね。1位は意外にそうでもないと思いますが。今回もベスト10には6作品が集英社ジャンプ系です。おそろしや。
その中にあって1位で非集英社でデビュー連載作です(もっともデビュー連載が1位も多い気はする)。
なにより、書店で「目立つ表紙だな」と記憶して、なおかつ最初の10ページくらいの立ち読み用小冊子をパラパラと読んではいた。
それが1位になるので「あ、あれかあ」と読もうと思ったのでした。

既刊は2巻。

中学生。主人公よしきの親友の光は死んだはずなのに気がついたらそこにいる。それを指摘するとなにかが現れる。そして黙ってくれないと殺すことになると泣きながら懇願される。くわえて親友がいないことに耐えられないのでよしきは受け入れる。
ところがさまざまな怪異がおこりはじめる。

光の中身がちがう。くわえてそれ起因でいろいろと不気味なことが起こってるということ以外はのどかで穏やかでおバカな日々。

全体的にホラータッチのホラー漫画ということがいえますが、あまり人は死んだりしないし大きなことは起こらない。ただ、ずっと不穏な感じはある。でも、それはよくいうお笑いでの「言い方やん」的に「描き方やん」って。
だから、よしきと少しのひと以外にはその変化は伝わってなくて、光は相変わらずバカでひょうきんで人懐っこくてちょっとイケメンの「いいヤツ」で、よしきのことが大好きということになってる。

だが、よしきの動揺が全くおさまらないまま、話はいや〜な方向には動いていく。

光のほうのモノローグもけっこうあるのよね。こういうのセオリーとしては、ジンガイに変わった光は謎の存在としたほうがいろいろと話しが早いんだけど、光は自分がジンガイでありつつも思考パターンは生前の光としている。ただまあ光は自身がジンガイであることでの思考や記憶も同時にあって、そっちのほうはあんまりよくわからないようになってるかな。
そしてよしきのほうもモノローグはある。最近はこういうのがよくあるよな。
ラブコメなんてのはセオリーとしてどっちかの内面はみせすぎないほうが話が盛り上がるんだけどな。
本書もわかると思いますが、よしきと光のBLっぽさはある。たぶん、人気の秘密はそこかなと思いますよ。

作画では手の描画が印象に残りますね。痩せたオトコの筋張った、でも若いからみずみずしい手。2巻に光の手をとり指でなぞるシーンのなんともエロティックなことよ。
ホラー要素として活字で表現している虫の声の音。これが夏感と恐怖感を非常に煽っててタイトル回収感あるか。

いいクリフハンガーで3巻につづくし楽しみではあります
posted by すけきょう at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月15日

2023 このマンガがすごいに推した5本のマンガのリンク

●1位 作品名:(このマンガがすごい内での順位18位)

鍋に弾丸を受けながら 青木 潤太朗/森山 慎 KADOKAWA: ポトチャリコミック

●2位 作品名:(このマンガがすごい内での順位 圏外)

「絶滅動物物語 」 うすくらふみ 今泉忠明 (小学館): ポトチャリコミック

●3位 作品名:(このマンガがすごい内での順位20位)

完結 ゴールデンカムイ 31 野田 サトル 集英社: ポトチャリコミック

●4位 作品名:(このマンガがすごい内での順位23位)

「たま」という船に乗っていた 石川浩司/原田高夕己 双葉社: ポトチャリコミック

●5位 作品名:(このマンガがすごい内での順位9位)

緑の歌 - 収集群風 - 上 下 高 妍 KADOKAWA: ポトチャリコミック

本書に書いた文章と同じことはそれぞれに書いてますので参照のほど。

※その他、新連載の未単行本化作品、海外作品、web掲載作品、選考対象期間以前の完結作品、マンガ関係本(ファンブックや研究書ほか)など、特記してお勧めしたい作品がございましたら、ご自由にお書きください。 

これも掲載されたので

ROCA いしいひさいち (笑)いしい商店: ポトチャリコミック


ということでした。今年も良いお年を。(まだ今年中にいくつかのマンガ感想文は書くかもしれませんが)

余談。
「このマンガがすごい」は対象期間が前年の10月1日から今年の9月30日までになっております。
その期間に連載されているかコミックが発売されたものが対象になります。
コミック派のひとは10月以降に発売されると対象外になるという弱点があります。雑誌やWEBで対象期間中に掲載されたものは取り上げてもいいんですけどね。雑誌で読まなくなって久しいのでコミックという形にならないと可視化できない。
だから、コミック派のためになるべく1巻を9月にねじこめるならそうしていただけるといいなと編集各位にお願いしたいのです。


posted by すけきょう at 08:30| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月14日

ふみちゃんの楽園 さとまる まみ (ふゅーじょんぷろだくと)

ふみちゃんの楽園【コミックス版】(1)【電子書籍】[ さとまる まみ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
ふみちゃんの楽園【コミックス版】(1)【電子書籍】[ さとまる まみ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
このマンガがすごい!に毎年ベスト5を書かせてもらうようになって5年ほど経つ。
ベスト5は前の年の10月からその年の9月末日まで発売された本が対象。
だいたいいつも送ったあと、「あ、これ惜しい」と思っていたのと出会うんだよね。本作もそのひとつ。

書けなくなって田舎の家に引きこもるような生活を送っている。彼氏が身の回りの世話をやっており、ふみちゃんは彼の作る料理や田舎の自然を満喫してはセックスをする。そう、セックスマンガなんですよウフフ。

理解ある彼とスローライフと自然とセックス。ふみちゃんは食べたいときに食べ、寝たいときに寝て、したいときにそれが昼でも野外でもセックスしたり自分の欲望を叶えているのです。彼は甲斐甲斐しく料理したり家事したり近所の人とコミュとったり。田舎の面倒なところ彼は楽しんで請け負ってくれてます。今年の流行語大賞にノミネートされてもおかしくない「理解ある彼くん」ですね。そりゃ楽園だわ。

本作を知ったのがTwitterのTLで今年1番の衝撃を受けたなんてあって「ほぉ」と思いながら手に取った次第。
表紙や内容を想像するにエロマンガじゃないのかな?と思いつつ読むとエロマンガではあるわけよ。
そんでもってそのアカの前後を読む限りそのツイートは女性っぽいのよね。そこにおれも衝撃を受けたのです。

なぜか?このエロマンガがおれにも「ちゃんと」エロいからです。

で、先程のTwitterの方が衝撃を受けたということは、もしかして男女ともにエロいエロマンガってこと?と思って。

ふみちゃんは奔放にいつでもどこでも彼氏をセックスに誘うし、彼氏もちゃんとつきあいますし、そのシーンもなんていうかちゃんと描いてます。女性エロマンガ特有のっていえるほどはみてないが、省略されていそうないろいろなシーンをちゃんと描いてるなあと。まあ、もしかして今の基準だと当たり前なのかもしれませんが。
それでいてこっちは今の基準のも多少は読んでいるから断言はできるのですが男性向けのエロマンガにもひけをとらないんですよね。まあ、シンプルに3文字で「抜ける」。

田舎でのセックスライフということで野外でいたす話が多いです。

ひきこもりぎみで人間嫌いぎみ(実際ふたり以外の登場人物は少ない)のふみちゃんが、村祭りがあるから行こうと彼氏に誘われたのに行かないと駄々をこねます。
で、彼はふみちゃんを浴衣に着替えさせて村祭りを見下ろす高台でレジャーシートを敷いて花火をみるのです(ここで食べるのがサンドイッチってのがいいよな)。
で、花火の下でセックスをする。
と、こういう感じです。

男女ともにエロく感じるってのが興味深くてさ。
男にはやや物足りないってひとがいそう。同じふたりだしセックスにすごくバリエーションがあるわけでもなく、ごくごくノーマルにセックスしてますからね。ふみちゃんが巨乳のバインバインってこともないし。
女にはたぶんえげつないシーンではあるけど下品ではないってのがあるのかもしれないな。
たとえば、射精シーン。たいてい中に出しててそれは「ビクンビクン」で表現してます。
そういう随所にある「汚い(と思われそうなところ)」描写を排除したり、はじまる前は必ず見つめあってチューしてからはじまるし、終わりもチューだし、やさしく声をかけるとか。なんか勉強になります。

エロ描写ばかりじゃなくて自然描写や料理描写もいいんだなこれが。

で、話が展開あるでなし、うまいもの、気持ちいいもの、心安らぐものであふれてます。まさにタイトル通り。他になにがいる?と思った。だから、2巻もあんまり余計なほうに展開しないでほしいなとは思いましたよ。

あと女の人は本作は抜けるのかどうかちょっと知りたいのでこっそり教えてください。


ふみちゃんの楽園【コミックス版】(1) (Bebe) - さとまる まみ
ふみちゃんの楽園【コミックス版】(1) (Bebe) - さとまる まみ
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2022年12月13日

「たま」という船に乗っていた 石川浩司/原田高夕己 双葉社


たまという一世を風靡したバンドの自伝を、「たまのランニング(松本人志命名)」でおなじみの石川浩司氏が書いたものをコミカライズ。

藤子不二雄A氏のタッチをベースにあちこちのパロディを盛り込みながら、1981年から物語はスタートする。昭和56年。びっくりするくらい昔に感じる。おれももう生きてる年代だし、そこに暮らしてたんだけど。
貧乏な学生(から無職)が音楽活動をベースにだらだらと集まったりのほほんとおもしろおかしくやってるさまを描いてます。
まあ、実際のところ「お兄さん」たちではあるけどかなり個人的には離れてる生活に感じた。どくだみ荘やら男おいどんやらの世界。
貧乏バンドとして楽しくやってる自由な日々。でも、たまとしてもずんずん頭角をあらわしていく。

本作はそのまま全国区になるイカ天に出るところまで描いてます(まだつづきます)。

そのイカ天出演シーンに衝撃を受けた。

(45) たま イカ天初出演 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=k9zjWv43bdA



こういうのいつまでも残っているわけじゃないんですが、このたまのテレビ初出演のシーン。これの「完コピ」が本作のクライマックスに用意してあるんだよ。これが衝撃で衝撃で。

これを見てからでもいいし、マンガを読んでからでもいいからみてほしい。すごいから。マンガの可能性を感じるから。

前記の通り、基本藤子不二雄Aタッチのマンガマンガしたものなのにリアルさと迫力と臨場感がすごいんだよ。思わず動画とマンガと10回くらい見比べちゃったよ。

マンガで音楽を描写する。いまアニメで「ぼっち・ざ・ろっく」などが流行ってていつつもマンガで音楽を描画するってのは問題なんだよな。
本作はそれに大きな風穴が開いた気がしたんだよ。
今年大きな衝撃を受けたよ。

音楽が聞こえたし、動画をみたらマンガにみえたよ。この感覚をみんなわかってほしいわ。

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2022年12月12日

ソアラと魔物の家 山地 ひでのり 小学館




既刊2巻。
魔法と剣の世界。孤児だった少女は魔物と戦うために軍に拾われ鍛えられ強くなり、いよいよ初陣におもむくというタイミングで魔王軍が休戦を申し込んでくる。少女はお暇を出される。急に自由になってもやることがない少女、ソアラさんは放浪の旅に出る。そこでドワーフ3人組と出会う。彼らは魔界建築士だった。ソアラさんも巻き込まれ、魔物たちのために家を作るという、劇的ビフォーアフターな話。

ゴブリンの家を作り、スライムの家を作りってやる。魔物も家があることで心が穏やかになるという。

そして2巻で物語が進行していくのよね。これがまたいい感じのストーリー。
ネタバラシしていいんだろうか。微妙なところですが、2巻冒頭で魔王軍の魔王の家にいくわけです。そこからこの物語のミッションがみえてくるという。ずっといろいろなモンスターの家をまわるビフォーアフターな1話読み切り展開かと思ってたんで、やや胸熱な展開に意表をつかれました。

見開きで家の断面図で細かい注釈を読むのはもう少年の心に戻りまくりで楽しいし、そういう絵がドーンと出てくることは鬼のように描き込まれてるってことだしな。実際、見惚れるくらいすごいです。鳥山明風ということもいえるかもしれませんが。

個人的には電書で買ったのですが紙の本で欲しかったと思うくらい。紙の上に印刷された絵をみたかったと思うくらい美麗で精緻な書き込み。

小学生男子に読んでほしいマンガ1位だよ。
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2022年12月11日

恋とゲバルト 細野不二彦 講談社


前作「バディドッグ」は実際細野不二彦のキャリアの頂点にあると思っていたしぜひとも最終巻もここで取り上げたかったのになかなか無念なことになったのが2022年の後悔のひとつです。

そのバディドッグの感想文で細野不二彦氏には異世界ものを描いてもらいたいなあとそのことも書いていたんですけど。その理由も。

と思ってたら本作です。本作は異世界ものではありませんが、限りなくIFの世界の物語です。

舞台は昭和。学生運動がはなやかなころ。左翼の学生に対する用心棒として主人公は雇われる。そして学生が暴れた時には猿面をつけて現れ木刀で学生を蹴散らす。
ところが、左翼学生のほうも用心棒を雇う。ヌンチャクを振り回す赤いヘルメットの学生。
それとは別に主人公は殺伐とした学校の裏庭に温室で花を育てていた清楚な女性と出会い一目惚れ。これが実は上記のヌンチャク使い。

そして主人公は、一方では敵、一方では恋焦がれるひとと出会い運命の歯車が回りはじめる。まあそういう段取りになってます。

1巻のAmazonでのレビューで学生運動の流れが史実とちがうってお怒りの方がいらしました。
学生運動の時系列かディティールがちがうのかわかりませんが、その不満をとうとうと挙げておられました。
だから、本作はIFの世界の物語なんだよと思ったのですよ。架空戦記とか。

この舞台のこの時期のこの話ということはとても重要かと思われますけど、それはエンタメを上回るほどのことはないんですよ。
この舞台のこの時期のこの話といえば、山本直樹氏の「レッド」というモデルになった当人が「まんま」とおっしゃってたものがありますが、それと比較してどっちが優れているかとかは当時流行の言葉でいうところのナンセンスってやつですよ。

1巻に「これはこういうマンガです」という宣言代わりのメッセージが多数盛り込まれてます。

まず「昭和」があります。学生運動の歴史以外にも昭和文化が爆発してます。そしてそれらがストーリーにからみついていきます。
マンガが出てきます。やけにリアルな東京の風景が現れます。そこに当時生きていなきゃわからないディティールも描かれてます。食堂の吸い殻がいっぱいではみ出てる灰皿とか阿片窟みたいなジャズ喫茶、などなど盛り込みまくり。そこに当時の炭鉱の様子とかキーとなる話も盛り込んでいく博覧強記の無駄遣いな作風はいつも通りなんですけど、本作、明らかに作者ノリノリのところがあります。
でも、それは今はないということではたまたままだ生きているひとがいくらかいる「時代劇」なんですよ。

あと、本作、ヒロインの友達がシェークスピア研究会に入っててオフィーリアやらハムレットを演じるし、いろいろと本編にも関わってくるのよね。
そうだよ、このドラマの主人公とヒロインの間柄って「ロミオとジュリエット」じゃないか。
1巻での図書室の出会いなんてとても美してロマンティックですよ。これはなにかネタもとがあるんでしょうか。おれははじめてみた演出ですね。

もうひとつ。上記のとも関連はあるけど、他になんていうか隠しネタが大量にばら撒かれていると思ったんですよ。
これまた1巻にあったんですが、物語のキーとなる左翼を率いている優男が音楽室でピアノを弾いている。
「この曲なんですか?」「サティスファクションさ」ってシーン。そのあとローリングストーンズの同曲がこのころ発売されたけどあまり人気がでなかったって記述があるけど、それよりも、おれは手塚治虫氏の「火の鳥」を連想したんだよな。未来のほうの物語で音楽室で電子エレクトーンを駆使してサティスファクションを演奏しているシーンで同じやり取りがあった。
なるほど、そういう遊びが随所にあるんかなと思ったりした。
主人公が所属している学生寮の仲間はバイトくんとかどくだみ荘に出てきたモテないやつらだしな。
たぶん、これまでもあったんだろう、こういう作者がほくそ笑んでるような小ネタもいつもにまして多いような気がする。

それでいてこれらの要素がすべて物語の邪魔をいっさいしていない。

なにもわからない読者にとっても、運命に翻弄されるふたりと昭和学生運動時代の大学を舞台とした血湧き肉躍るアクションマンガとしても十二分に堪能できるようになっている。エンタメっすよ。エンタメ。細野不二彦氏はいつだって純度の高い娯楽を提供しようとされている。おれは本当に尊敬してます。

ただ、細野氏の弱点というか、細野氏が「現代」を描こうとするとどうにもズレが生じるんだよね。そこが歯がゆい。前作の「バディドッグ」だと主人公の女子高生の娘が稀勢の里のファンからくる大相撲ファンとか。いや、そういうひといるかもしれんけどさ、なんかちがわね?って。この感覚はかなり大昔からあるので、細野氏の作風芸風とは思ってわかってるけど、なんかファンゆえにそこのところに「一見さん読者にダサって思われないか」とか無意味に気をもむのよね。
だから、細野氏の時代物は時事ネタがないから安心して読むことができるんだよな。失礼な話でもうしわけないのですが。
同じ理由で上記の異世界モノもいいのかなと思ったのですよ。でも、昭和を描くのが1番無駄がないよなと。

本作のアクションや主人公美智子さん(すごくかわいい)他の筆がノリにノっておられ、細野不二彦氏はキャリアの何回めの頂点におられるのかわからんくらい充実した読み応え満点の内容。極上の純エンタメが堪能できる。
話はいよいよと佳境に入ろうとしているのだけど、今のところ5巻で一部完になっているのが悩ましい。早く続きが読みたい。





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2022年12月10日

令和のダラさん 1 ともつか治臣 (KADOKAWA)


田舎が舞台。山の奥の立入禁止地帯。怪しげな祠がある。そこには山の守り神として妖怪が奉ってある。
そこに美少女弟と美少年姉が入り込んで遭ってしまう。それがダラさん。
腕が何本もあって裸で下半身が蛇の女の妖怪。
そいでおどろおどろしいのかと思いきや、日常ギャグ。いや、おどろおどろしさもあるが日常ギャグ。この姉弟の肝が座ってて、ダラさんも律儀に受け答えするうちにギャグのテイストになっていくという。
そういうことでもわかるようにみんないいキャラなんだよね。愛すべきひと(ま、ひとり妖怪だが)ばかり。
後ほど出てくる、26歳独身で弟(11歳)を狙ってる在宅勤務のこじらせ女性や、弟とのオタク仲間であり教師でありながらもコスプレ用の服を作るのが趣味ってひとがダラさんの服を作りまくったり。
と、今のところはダラさんの陰惨な過去編と令和のいまののほほんとしたライフって感じで展開してます。
ダラさんは姉弟の影響でコーラが大好きだったりカップヌードルを温かいお供物はレアって喜んだり、山で拾ったケータイで姉弟と連絡をとれるようにしたり。

絵は極上。シリアス画もデフォルメも背景もその他も含めて最高最高。デフォルメ画の姉弟の口元がとくにかわいい。

いや楽しい楽しい。2巻も楽しみじゃ。

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posted by すけきょう at 08:10| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする