そういう家の子の話(1) (ビッグ コミックス) [ 志村 貴子 ] - 楽天ブックス
そういう家の子の話(2)【電子書籍】[ 志村貴子 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
志村貴子氏はコミックビームを定期購読していた時期があるので知らないでもないのです。雑誌読んでるとそういうメリットはありますよね。
と、ずっと活躍されててることは知ってましたがちゃんと向き合うのははじめてなのです。
本作品、宗教を強めに信じている親の子どもたちをオムニバス形式で描いてる作品です。現在2巻までです。
以降、何人出てきてどれくらいのエピソードが出てきてどんな感じでつづくのかはよくわからないです。
今回はこのキャラのエピソード、次回はこのキャラって感じです。よく登場するのは宗教絡みのイベントで子供の頃からあっていたけど現在疎遠で妙齢の3人。
それぞれのキャラは時間軸は同じく現在を少しづつ進行していきます。
毎話ひと塗りひと塗りキャラに色をつけていき立体的に各人の過去といまが出来上がっていきます。
いくつかの立場のちがうカップルが登場します。両方熱心な信者のままとか、両方親元を離れたために信心が薄くなってる2世同士。
で、片方は無宗教で片方は親が熱心なってケースが興味深くてさ。
無宗教は「嫌だ、身内にそんなのがいるの」って答え、宗教は「別にいいけど相手は入信するんでしょ」という。
この対比にぐっときた。やっぱベテランだなあと感服した。
なんていうか、実体験されて世に溢れてる宗教二世三世のエッセイコミックよりも「リアル」なんですよね。
誇張がない。
下手なひとほどいろいろ盛ったり誇張したりする。「そのほうがおもしろいだろう」という独自のセンスがはたらくからです。だけど、それが読者に透けて見えると「こうしたほうがおもしろいだろうとセンスを働かせて誇張して描いているな」って読者にわかられるとそれは一気におもしろくはなくなるんだよね。
実にエッセイコミックのミソはそこなんだよね。「実際にあったこと」にどういう「混ぜもの」を調合して「おもしろ」くするか。
でも、本作は、「そこ」をことさらにおもしろくしようという意図が薄めなのがすごいのです。
上記の宗教に対する感覚のちがいを対比で1pでみせる。そこにそれぞれ嘘も誇張もない。そしてそのことで両者の生活にとってその偏見同士は「あたりまえ」として描いている。
「あたりまえ」としてこれまで暮らしていただけで、両者ともこれまですごして培った常識の上で、「善良」「健全」であることはわかる。
上記どちらの母親も「正しい」ことをいってるし、どちらも大事に愛情をもって子供を育ててるし、周りとの人間関係も良好。そこに宗教があるかどうかのちがいだけ。まあそれは大きなちがいであることが随所でわかるのだけど。
これ以外にもそういうエピソードが山のように出てきて、その「普通」の描写を淡々と静かに丁寧に描いていくことによって、読者も「宗教」付きの生活がどういうものか理解が深まっていく。
宗教なしの生活を送っていたひとは(おれもそうだ)、「へえ、そうなのか」ってのがわかるし、近くにいる宗教のひとを「そうやって生活しているのか」って思う。
宗教ありの生活のひとは、あるいは「あるある」かもしれないし、あるいは「ぬるいな」だったり、「こんな厳しくなかった」だったりもするんだろうな。宗教ありなしだとどうしてもね。宗教はいっぱいあるしそれぞれちがう。同じ宗教でもかなりグラデーションがあるし。
で、宗教ってなんだろう?って思いもじわじわと沈殿していくのです。
元ネタになってそうな宗教がねえ。身近過ぎてねえ。あるあるすぎてねえ。けっこうなボディブロウ。気づきも多い。そうだったんだろうなって。
わりにいろいろなケースを知ってるのでこのマンガのリアルがじわっと入り込んでいくのです。
この物語の行方は見届けたいなと思った。

そういう家の子の話(1) (ビッグコミックス) - 志村貴子

そういう家の子の話(2) (ビッグコミックス) - 志村貴子































