2021年01月26日

いつか中華屋でチャーハンを 増田 薫 (スタンド・ブックス )


8人編成のソウルバンド思い出野郎AチームのSAXの方によるグルメマンガ。
[思い出野郎Aチーム]

WEB連載なのでだいたいのところは読んでいただけばすっかりわかると思います。おれは書店でジャケ買いしたのですが、「あ、これ読んだことある。これだったんだ」と思いましたよ。
[いつか中華屋でチャーハンをの記事一覧 - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」]

書籍版は15話ですがここには12話載ってますわ。だからぶっちゃけここを読めばいいです。書籍版は大半がカラーではないですし。

ただ、表紙のハナコの岡部氏ほかの推薦文にまみれた文字のなかのオビの惹句「グルメ漫画エッセイの新たな金字塔」はマジでそうだなあと思ったよ。

本作は中華料理店に絞っております。ただし、ラーメン、チャーハン、餃子などの定番を気持ち避けて、変ったメニューや中華屋のカレーやオムライスを食べてみるというスタイル。しかも、あちこちで集中的に。しかも、多角的に。なおかつ、答えが出る。なぜなら、店のひとに話しを聞いているから。ただし、答えが出ないこともある。店のひともわからないことがあるから。

たとえば、大阪の中華料理屋の「あんかけカツ丼」。中華飯にカツが載っているスタイルでしょうか。それを食べ比べる。
[【漫画】大阪のあんかけカツ丼 | いつか中華屋でチャーハンを - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」]


たとえば、日本ではあまり馴染みのない酸菜(一応変換候補にある)に焦点を絞りいろいろと食べ比べる。
[【漫画】大陸系中華に潜む「酸菜」に気をつけろ! | いつか中華屋でチャーハンを - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」]

こういう感じ。「へー」があり、「うわ、食べたい!」っってのがあり、読むたびに、グーグルマップで検索しては印をつけていた(マンガ内の店は実名)。

イラストレイテッドな味のある人物画に精緻な料理画。随所にあるパロディなどの遊び。なによりネタのまとめかたがいい。

消えていくであろう料理が多いです。そういう儚さ、一期一会のものがあります。売れてるものが正解ってことじゃないよなあと。2度と食べることのできない美味しいものも歴史の中から現れては消えていくわけですよ。たとえば、わかりやすいところでいうと生レバーとかさ。本書の料理群も「いつまでもあると思うなよ」という儚さがあります。そして同時に「新しさ」もあるんですよね。たとえば、中華屋のオムライスなんてのは実に新しいものですよね。
自分語りゾーンに入りますが、中華料理系の食堂を営んでました(過去形です)。オムライスがわりに名物でした。かように中華屋のオムライスって意外に多いです。なおかつ、そこから派生して中華料理系のアレンジが加わったオムライスも多いのですよ。そういうものは新しいし儚いものです。この店がなくなったら食べることができなくなるワンアンドオンリーなものがありますから。
[【漫画】メリークリスマス!中華オムライスを食え|いつか中華屋でチャーハンを - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」]


前記にあった「グルメ漫画エッセイの新たな金字塔」っていうと思い出すものがあります。
近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は"江ぐち"というラーメン屋。 - 久住 昌之

「孤独のグルメ」でおなじみの久住昌之氏の1985年に発表された初の単独著作であるエッセイ。いまみたらamazonで12000円というどえらい値段で売ってた。

たぶん2010年に発表されたこの本と内容な似ていると思います(読んでません)。久住氏が通い詰めたラーメン店「江ぐち」の魅力について延々と1冊語り続けるというエッセイです。しかも、店に取材するでなし、店員はこういうひととか、こういう裏メニューがあるんだとか、友達と美味さについて語るだけとか、いろいろな点で影響を受けた本です。これもおれにとってはグルメ本の金字塔です。恐ろしいことに久住氏はこのころからあまりブレてません。美学や主義主張や芸風はこのころから一貫してます。すごい。
[【漫画】きみはラーメン屋で酒を飲んだことがあるか|いつか中華屋でチャーハンを - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」]

翻って本作。前記の「江ぐち」の後継店である「みたか」について語っております。そうだった。おれは上記の本を読んで「江ぐち」に行こうと思っていたのをすっかり忘れていた。
しかし、「みたか」を囲んで35年の時を経て2棟の金字塔がそびえ立ってるって考えるとすげえなあ。三鷹で降りたことねえなとも思ったけど。

腹が減ります。がっつり中華食べたいです。あちこち行きたくなります。なぜかはよくわかりませんが読むと「ウォー、がんばるぞ」と元気になるマンガです。すばらしい。


上記のハナコの岡部氏がコメントしてる理由。また、ハナコの単独ライブのジングルなども担当しているようです。



近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は"江ぐち"というラーメン屋。 - 久住 昌之
近くへ行きたい。秘境としての近所--舞台は"江ぐち"というラーメン屋。 - 久住 昌之



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2020年12月27日

犬釘を撃て! 伊図透 (双葉社)


たぶん、「本の雑誌」の影響。あるいは、そこ経由で知っただろう内藤陳さんの影響でハードボイルドというジャンルの小説を読み出していた。
正直なところ激ハマりするにはおれはお子様だったのですが、たとえば、「深夜プラス1」とか「死にゆくものへの祈り」なんてのの荒れ地に寒い風が吹きすさぶような心象風景はずっと覚えている。

本作を読み久しぶりにおれの中にあるハードボイルドを思った。ああ、こうだったと。

架空の国(まあロシアとか)の大陸を横断する線路を作っていく男たちの物語。

枕木
鉄軌
犬釘

この毎日。タイトルの犬釘というのは鉄軌を枕木に固定するための釘ですね。あれ犬釘っていうんですね。
主人公は、この作業に不正があるのではと派遣されるスパイ。そして主任のケニティが怪しいと睨む。

2部制になっており、1部と2部ではだいぶ趣がちがうけど、これが両方、ほぼ女性キャラが出てない鉄と油となにもない荒野と寒波のなかの男のギラギラした欲望が行き交う。

作者は前から気になってるけど、表紙からは中の絵が伺いしれない表紙ばかりなんだよな。まあ、小説のハードカバー的とはいえるのだけど、マンガ家の場合は、ちょっと二の足を踏むよね。
今回のはわりに絵が伺えるな。白っぽいけどシャープな線で、ありとあらゆることをきっちり描いている。そしてクライマックスの盛り上がりはちょっとすごい迫力ある描画。でも、なんていうかな、ハリウッド的ではない盛り上がり方があるな。

んー、東欧圏の大幅な予算をかけてハリウッドに対抗しようとした2時間30分の超大作「エンターテインメント作品」のようじゃ。

1冊でえげつない満足感があります。鉄道に関して別の興味がわきますね。考えてみれば鉄道はひとつづつ線路を敷いているひとがいるから走ることができるんだし、逆に考えると、野原にそのまま敷いてる線路の鉄なんてのは宝の山が落ちてるのといっしょなんだよな(そういう窃盗団も登場する)。そこでのせめぎあいってのは知らない世界だし、みなが知らないハードボイルドがあるという。
ディック・フランシスって作家は競馬をネタにしていくつものハードボイルドの名作を書いてる方がいらっしゃいますが鉄道も題材になるんだろうなという発見が。

冬に読むと効きますよ。

犬釘を撃て! (アクションコミックス) - 伊図透
犬釘を撃て! (アクションコミックス) - 伊図透
posted by すけきょう at 13:38| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

好奇心は女子高生を殺す(2)高橋聖一 (小学館)

好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一

電書は買い抜けもないしダブリもないし発売日0時に読むことができるし場所もとらないので便利だけど、書店で手に取ること以上にその本の価値が分かる方法はない。
それこそ、WEBで1話や1巻まるごと読むよりシュリンク包装で書店で現物をみたほうがわかることや伝わることが多い。「多い気がする」って書こうとして、いや、これは断定しておこうと思った。
あとまあ評価も紙の本と電書で読むのとちがうからなあ。

たぶん、紙の本で読むのが正しいとは今も思う。

とはいえ、

[好奇心は女子高生を殺す 1 高橋 聖一 (小学館 サンデーうぇぶりSSC): ポトチャリコミック]

この1巻のつづきである2巻が電書でしか出ないなんて思わないじゃないですか。すごくびっくりしましたよ。だって1巻大名作だからね。
でもって、2巻は買いますよそりゃ。だから、1巻は紙で2巻は電書って気持ちの悪いことになりましたよ。

だけど、おもしろいのよねえ。よって2巻出してくれてそれはありがとう以外ないよなあと。出ないままウヤムヤになるマンガが多いことは年輪を重ねているし知ってますから。なお、2巻発売は本人のツイッターで知りました。

あかね子と柚原さんのJK2人が活躍する少し不思議(SF)な1話完結の物語は2巻で完結しました。

2巻後半には1巻2巻のアイテムやキャラを使いつつ物語はギューッとした収束に向かいまして、あらゆる伏線を回収して、ついにはタイトルも回収して終わります。
好奇心は女子高生を殺すのです。すばらしいメッセージです。綺麗に綺麗に終わります。まるで最初から全2巻だったといわんばかりのきれいな終わり方。

作者の次回作は読みたいなあ、ものすごく。そして揃えるためにも1巻も電書で買おうかなーって思ったり。


好奇心は女子高生を殺す(1) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(1) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一



posted by すけきょう at 01:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月05日

鬼滅の刃 23 吾峠 呼世晴 集英社


鬼滅の刃が終わった。23巻最高だった。書店でアホみたいに売ってたけどあれはすぐに売り切れるな。感動をありがとう。

って、Twitterか!

ということで、文字を読むのがめんどくさいTwitter以降の世代は上記感想で。では、以降はテキストサイト以前向けに。

正直なところ、トータルでマンガのデキはそこそこという感じではある。特大のまぐれ当たりとも思う。話も構成もキャラもときおりどうなのよこれ?って思う描画も(デフォルメやモブのテキトーさとか)。
ただ、最終巻がとっても最終巻だった。これで文句のない終わり方だった。そこが1番新しい。最終巻を読んだひとの多くが「これできちんとケリがついた」と感じただろう。それでも続編をみたいと思うひともいるだろうが、多くは納得して「いい最終巻だった」と納得いくことができるような気がする。おれはここしばらくで最高最上の長編マンガの最終巻だったと思う。

あ、今回、あらすじとか省略してますよ。いいでしょ? 2020年を日本で生きていたひとにとって、「鬼滅の刃」とはそんな存在だし。読んでいるひとはとっくにわかってるし、タイトルを知ってるにも関わらず興味を持たないひとは、そもそもこの文章を読まないだろうし。

と、推測してさらにネタバレ上等となります。全23冊読んできてください。

上記のようにマンガとしては「そこそこ」のデキです。ただ、作者の魂の削りぐあいが半端ない。それは「ONE PIECE」でも感じられる。ありったけを放出してる。いまできるスキルの105%を常に出して週刊連載に臨んでいる。1球入魂というよく耳にするフレーズをあらためて感じ入る。週刊少年ジャプという世界最高のマンガ誌においてトップを走るにはそれくらいは「アタリマエ」なのだろうね。

そこそこのデキだけど丁寧に丁寧に想いを込めた魂にはみんなに届いていた。それこそが小学生を中心にココロをつかんだのではないかと。その事実に胸アツです。これだけ選択肢がある様々な娯楽のなかにあって21世紀生まれにも紙にペン(かはわからんけど)で描かれたのですよ。

まあ、もうちょっと現実的なこというとアニメの鬼のような完成度が前提としてあるんですけどね。アニメはいまも込みでテレビで放映されたものとしてはS級のエンターテイメントです。映画も。これがたぶん日本映画で1位になんの遜色もないです(みました)。うん、信者みたいですね。
好きになりすぎると信者になるのでそこらへんの客観的な判断って難しいですよね。でもまあ信者でもいいです。実際、23冊読んでみろと。

そして最終巻です。これで吾峠呼世晴の全放出という感じはありました。話としては「みんなで協力してラスボスをやっつけた」です。これが完膚なきまでに「ちゃんと」やっつけたわけです。
ラスボスは形態変化ありますし、死んだと思ったけど実は、、、って展開もあります。登場キャラ全員が、それこそ敵全員も、モブも全員が全力を出してます。そういうのがみんな伝わるのでこの最終決戦。とくに最終巻は異様なグルーヴと盛り上がりがあります。それを1冊で畳み掛けます。すごい畳み掛けです。

実をいうと、22巻までは「さほど」でもなかったんですよね。やっぱアニメがすごいから人気になったんだろうなと。アニメは本当凄まじいデキと思う。毎週一瞬も気を抜かずにみてたもんな。だから「それ」なのかなと。

でもちがうよな。最終巻の畳み掛けと、これでもかこれでもかのダメ押し。それは本作連載分もそうだけど、オビにある「描き下ろし39p」もそう。これが正真正銘の全力39pだという。えーと、2020年初頭にあった「100日後に死ぬワニ」がdisられる原因となった「描き下ろし」のダメダメなやつと真逆の。あれで評判を下げたのと真逆でこれでかなり評判を上げるんじゃないかしら。

それで後日談というか子孫たちによる現代編がまた。ここで実は鬼舞辻無惨が生きていたなんで平成までの悪い悪習もなくスパッと終わったし(ま、現在はね)。この潔さが令和って感じよ。

本作できちんとささった小学生は幸せだと思う。ちゃんと「おもしろい」をばっちり受信できたわけだしと。これを最良と受け止めると、ムダに長続きするマンガ、各キャラが信号機のように死んだり生き返ったりするとかな。こういうのは「おもしろい」から外れるものとして認識されるわけだ。すごくいいことだと思う。

スタンスを告げるためにもあらためて断言しておこう。「長いマンガ」はダメ。少なくとも「1番おもしろい」ではない。それを小学生以下、いろいろひとが思い知ったことがとにかく痛快。これまでのマンガのセオリーである「人気があったらできるだけ続けよう」が誰にも文句をつけられない状態でぶち壊されてるのがいいんだよね。すごくパンクや。誰にってことでもないけどざまーみろっては思う。
(とはいえ、現状では少数派ではあるんだけどね。だけど世間に知らしめた功績は計り知れない)

もうひとつふと気がついたこと。最初からチェックしたわけでもないんだけど、本作、少なくとも手元にある19巻からはそうだけど、本作、タイトル以外、本編に見開きっていっさいないなと。
これもまた、電書に向けての配慮なのか、そういうスタイルなのかわからんけど、ちょうど見開きがガンガン使用されはじめた1970年代後半からマンガを読んでいるものとしては趣深い。
いろいろと変革のタイミングだったのかなと。やりすぎ都市伝説の関暁夫さんみたいなこと書いてますが。
見開きの効果というのはいろいろありますが、定番の効果としてはここで決めるってシーンで使われますよね。でも、そういうのがなくても迫力があるし脳内で補完ができますもんね。
なんたって映画よりマンガのほうが迫力があるという意見もみかけたくらいで。
文字だけの小説とちがい想像する余地がないからとマンガは軽んじられてきた。小説→挿絵入り→絵物語→絵本→マンガですかね。その理屈でいうと、すべて見開きのマンガを描くと迫力100倍ではないかと思ってましたが、そうはなってません。似たようなマンガはありましたしいま具体的なタイトルをあげようともしましたが単純に知名度も低くなったと思われるので省略します。毎回100p連載とかいって2ページおきに見開きを描いてたので急速に飽きられました。100pあるのに5分で読み終え内容がかけらもアタマに残らないシロモノでした。
本作のみならず見開きの効果はまだかなり有効ではあるかと思われますが、鬼滅の刃の効果で以後どうなるかとも。
最終巻は、最終決戦は、全ページ見開きでもおかしくないくらい見せ場が続いてますが、それで長引かせることを「是」としない作者の心意気はしびれますわ。

しみじみと空前絶後のマンガだと思います。マンガ史に残る「まぐれ当たり」だと思います。本作くらい魂を削っているマンガは過去たくさんあります。1球入魂で燃え尽きたマンガ家もたくさんいます。
何回も同じこと書きますが、その削った魂が100%、あるいは1000%でも100000%でもいいけど届いた読者がたくさんいたことです。これが「まぐれ当たり」ってことです。ここまでみんなに「おもしろい」ってしっかり万人に「同時に」受け止めてもらえたマンガということでは空前絶後です。それのほぼすべての評価は「魂の削り具合」ですよ。そこそこのデキを魂を込めて1000000%にしてるってことです。そういう結論にします。トータルで空前絶後になるかはわかりません。それはこの先歴史とアニメのデキが決めることじゃないかしら。

あと、小学生のココロをつかんだっていってるけど、小学生の数って減ってるんですよ?少子化ってやつです。聞いたことあるでしょ? 小学生が火付け役ってことじゃいろいろと解せない現象ではあります。
つまり、小学生と小学生のハートを持ってるひとが飛びついたと。がっちり受け止めたと。しかも男女とも。

と、まあ、素直にマンガをストレートにおもしろがって受け止めてもらえているって感じがするマンガであることがうれしいんですよね。しかも、あらゆる点で特異なところがあります。作者の長編デビューってのも功を奏しているところが多いかと。ベテランはこういうマンガをこういう描き方できないでしょう。それはONE PIECEの作者もいっしょですが、もっと「うまく」やってのけました。この「うまさ」は本当いろいろな解釈がありますが、うまくやりました。もちろんONE PIECEのほうでうまいところも多いですし、ジャンプ(だけじゃなく他)の各人気マンガのほうがうまいし、結果的には正解ではありますし、セオリーではあります。でも、それをぶっ飛ばしてこれです。

この先、最終回がアニメ化されるまではつきあいたいなとは思ってます。まあ、アニメのクオリティが落ちなければってことですが。

(あと最終巻で甘露寺さんのファンになりました。彼女よかったわ)

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
posted by すけきょう at 18:33| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月20日

異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物 - 光永康則, いのまる (少年画報社)






異世界ものです。銃オタクの引きこもりが改造銃の暴発で死にました。転生しデスクオークってテディベアっぽいモフモフな小動物になりました。
転生にあたり神様にチートを付与されました。銃のない剣と魔法の世界で銃を扱えるチートです。2キロ先から狙撃するわけです。そしてボインの女戦士をバディとするわけですよ。
すばらしい設定です。さすが「時間停止勇者」の光永さんの原作です。無駄を省いたシャープでクールでエロで斬新な設定です。
しかも、その設定がずっと活きてます。
遠くからどんな敵でもヘッドショットできるのですが、そこに、デスクオークというぬいぐるみ体型や徹底的に非力なことが枷になっている。女戦士はモフモフ好きだし清潔なので頻繁に入浴シーンもあるという。しかも、モフモフなオークだからエロエロになるわけでもない一線を守る感じ。
1巻の終わりでは女格闘家も現れて2人してエロエロで強強です。なおかつ2巻終わりにまた女性キャラが登場するという。

いのまる氏の作画も申し分ない。シックスパックでバキバキの腹筋にちょいとかたそうな女戦士(格闘家)ボインをうまく描いておりますし、やわやわなお姫様おっぱいとの描き分けもすばらしいし、敵の男やモンスターもばっちり。「玉キック」からの安定のコンビです。

[玉キック 1 いのまる 光永康則(少年画報社 ヤングキングコミックス): ポトチャリコミック]

こちらと設定は似てますがおれは本作のほうが好きかな。

異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(2) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(2) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(1) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(1) - 光永康則, いのまる
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2020年11月17日

サバエとヤッたら終わる 早坂 啓吾 (新潮社)






サークルでいっしょのガサツで酒飲みでちゃらんぽらんなサバエさんですが、ボインでエッチでウマが合う。だけど、彼女とやってしまうと、憧れの桜井さんとの芽がつぶれてしまうので我慢するのですってギャグマンガ。

ま、読んでるひとほぼ全員が「やればいいのに」と思いながらも、ウザカワというよりウザエロなサバエさんとのやりとりを愛でるという具合で。

作者は「ゆとりやくざ」などの集英社で連載されている作品集もありますが、Amazon Kindleのインディーズマンガというカテゴリーで無料のマンガを多く発表されております。

[Amazon.co.jp 早坂啓吾 ]

とくに「ツッこんで お願いだから私にツッこんで!!」は他作品が4コマ形態なのに比べて、サバエ〜と同じコマ展開なので読みやすいです。ニュアンスも近いし。

[1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! | 早坂啓吾 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon]

この作品はそうですが、サバエのほうは写真背景も含めて書き込みが細かいですが、そのぶん、逆に雑に映るという、よくいえば「過渡期」。さらによくいえば「味がある」描画となっています。それとは別軸で2巻では飛躍的にサバエがかわいくなっております。ほんとサバエにのみ特化して画力向上してるので余計目立ちます。結果、ますますタイトルと設定がぶれて、「いや、サバエとやればいいじゃん」と思わずにいられないという。とくにAVでよくあるシチュエーションネタとかいいよなあ。試着室ではじめて店員に尋ねられて顔だけ出して応対するとかそういうの。

しかし、部屋に入れて2人でAVみて、向こうが乗り気になってギャグで腕ひしぎ十字固めとかしておっぱいやまたが腕にあたってる状況で平気でいるなよ!って変な寸止めでもやもやするな。

[家性婦とシタ1: 家政婦 | 早坂啓吾 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon]

やってるほうはこっちの無料マンガにたくさんありますわ。

しかし、サバエさんのネタ、番外編としてあらゆるバリエーションをつっこんでるので、もうこのネタは使えないよなあと思いつつ、3巻も楽しみに待ってます。

サバエとヤッたら終わる 2巻【電子特典コラボグラビア付き】: バンチコミックス - 早坂啓吾
サバエとヤッたら終わる 2巻【電子特典コラボグラビア付き】: バンチコミックス - 早坂啓吾サバエとヤッたら終わる 1巻: バンチコミックス - 早坂啓吾
サバエとヤッたら終わる 1巻: バンチコミックス - 早坂啓吾

1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! - 早坂啓吾
1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! - 早坂啓吾家性婦とシタ1: 家政婦 - 早坂啓吾
家性婦とシタ1: 家政婦 - 早坂啓吾
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葬送のフリーレン 山田 鐘人/アベ ツカサ 小学館





現在(2020年11月17日)2巻まで。12月には3巻が出る模様。週刊少年サンデー連載中。

中世RPGの世界。今だと異世界のほうが通りがいいですか。10年かけて勇者一行(4人)は魔王をやっつけて平和をもたらした。
そして50年後。みんなと再会します。「人間」はすっかり老いぼれている。でも、主人公フリーレンは長命であるエルフ族だから見かけは変わりがないわけです。
1話で勇者は「老衰」で死にます。「そこ」からはじまる物語。

1話が名短編そのもので。はじまり終わる感じに他がいらないように思うほどの完成度。でも、人生と同じで範囲指定でカット&ペーストした物語の「前」もあるし「後ろ」もあるわけです。本作はそういうものだと思ってました。

勇者たちにとって、そして彼女にとって、10年の勇者一行による魔王退治の物語は一生残るものだったのですね。あるひとにとっての戦争のように。つまりは戦後に戦争についてずっと語ってるひとがいらっしゃるじゃないですか。そういう感じでもありますね。

本作は各キャラが深く描かれていることで、とくにフリーレンはすごい。長命であること、魔法使いなことが関係あるのか死生観を筆頭にいろいろな価値観がちがう。それなのになんともいえない呑気さがある。それがほぼフリーレンの個性ってことなんだろうなあ。
この終わったあとの物語と「葬送」というタイトルが示すような抒情をベースとして静か。それに上記の呑気。だから黄昏の世界でほのぼのと進む系の物語かと思ってたんだよね。それこそ「ヨコハマ買い出し紀行」の異世界版みたいな。それが2巻の後半から急転直下の展開。

うむ。一筋縄でいかないのはなんとなく予想してたけどけっこうな展開だなあ。

3巻以降どうなるんだろう。


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2020年10月01日

ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 瀬野反人 (KADOKAWA)







電子書籍で買いました。1巻が安かったかなんかで試し読みしたんですよね。

これが1巻1ページ目ですっかり目的を描ききるんですよね。
師事している言語学コミュニケーション学の博士がぎっくり腰で動けなくなるから、主人公が博士の引き継ぎをしていわゆる魔界に学術調査するという話。
そういうことを簡潔にシャープに手早く処理してあとは内容をお楽しみくださいという姿勢はとても好みだし、「むむむ作者やるな」と感動したのです。

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ワーウルフの村に行き、人間とのハーフの少女ススキと知り合い、ともに各国を巡る旅に出る。そして各地で出会ういわゆる魔獣、モンスター、亜人、なんでもいいんですが、彼らの言語学やコミュニケーション手段を探りつつも旅を続ける。

すごい設定ですよね。やっていることは、たとえばジャングルなどの未開の地の部族との交流や彼らの言語を探るという、1970年代から今に至るまで手を変え品を変え放映されていたTV紀行ドキュメンタリー風でありつつも(いやもっともっと昔の紀行文とか。宣教師が未開の地に訪れる的な)、それがモンスターだったりするので、彼らの奇天烈な文化を学んだり推測したりコミュニケーションを模索するというマンガになります。
全ての設定が素晴らしく有機的に結びついており、「見てきたんかい」ってディティールの細かさや実際の言語学やコミュニケーション学のたしかな知識の下敷きも相まって、すごく知的好奇心を充たしてくれる。なおかつ、各キャラ描画がとてもいい感じ。

たとえば、ワーウルフは嗅覚が発達しているので口と耳にたよらなくても臭いをかぎ合うことである程度がわかるのでことさらに喋らなくてもいい。
たとえば、スライムは聴診器のようなもので話を聞いて会話をする。振動をカラダで感じることで言語や感情を理解する。
などなど。

3巻が白眉なんですよ。

旅立ってきた村で冬ごもりをする。あらゆる種族がいっしょに冬をやり過ごす。それぞれがそれぞれの価値基準や意味をもって動く。それぞれが勝手に集めたものを持っていく。対価なのかよくわからないものを置いていく。廃墟に住むことができるようにしたと思ったら勝手に他の種族も入り込んだりする。それらを理解しようとしたり、わからないけど尊重しようと思ったり。
いっしょに長年冬ごもりしていた、老ケンタウルス。ある夜、目が覚めたらいっしょに住んでいたもので死んだ老ケンタウルスが家の外に放置されていた。彼らは合理的に動くんだなあと思っていたけど、自分にはわからない嗅覚により、彼の死を感知して外に出す。そして外の吹雪が止んだので葬儀をする。そして彼らの肉をみんなで食べる。

これこそが共存ってことなんだよなあと。異種間コミュニケーションということだなと。別のマンガのアニメのEDのタイトルですが。

ギスギスしたSNSを醸す面々にみならってほしいものだと。「みんなそれぞれちがうんだ」と。マンホールに宇崎ちゃんの絵があったくらいで自分の性を愚弄されたとかトンチキなことを思わなくてもいいんですよ。あ、思うのはいいんだけど、それを表明することはないんですよ。
そういうことを学んだ気がします。

異世界モノとして極北と思います。かなり高度なことをしつつもエンタメに昇華して各キャラがかわいいという。難しいことをされておられる。この作品の行きつく先はどうなるのかとも思いますが、本作が提示した異世界モノへの新しい道は評価したい。


ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 コミック 1-3巻セット - 瀬野反人
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2020年09月30日

竜女戦記 都留 泰作 平凡社





有無をいわせない。そういう種類の作品があるじゃないですか。好き嫌いとか苦手なジャンルとかをぶっ飛ばした存在。それは本作と。

異世界ファンタジー。指輪物語やゲーム・オブ・スローンズとかの長大で重厚なダークファンタジーのクロニクルなやつ。ただし、舞台が和風。つまりは時代劇。

主人公の「たか」は日本髪を結った主婦で、ちょんまげを結った侍を夫に持ちます。その「たか」が天下をとる話です。「主婦が天下を取る物語」なのです。

1巻は天下を取る契約をかわして2巻からいよいよ急転直下の展開です。ファンタジー丸出しになっていきますが天下取りの物語にもなっていく。しかも3国に分かれている国のそれぞれの思惑が混ざりはじめる。主人公「たか」はどうやって天下取りの手がかりをつかんでいくのか。

奇天烈な展開やディティールに日本みたいで日本でない西洋人が考えついたあちこちのアジアが混ざり込んでいるおなじみのアレみたいな世界観。
それはいわゆるRPG以降の中世異世界の架空の国々をも思い出す。あれも国を特定できないですよね。
「天空の城ラピュタ」が欧米人にイマイチウケないのと似ているかも。あれは「欧米」のいいところをチャンポンで取り込んでいるからだとか。
それをかなり意図的にやっている様子。
なるほど、西洋風があるなら和風があったっていいじゃないかというシンプルなところからはじまったのかもしれないけど、それを実現させるまでにボーダイな知識とセンスを持ち込んでじっくりと組み上げている。どうしても史実に沿いたくなるじゃないですか。どうしても日本史のなにかになぞらえたくなるじゃないですか?それを絶妙な舵取りで「処理」している。よくある跡目争いや国盗りゲームなどを現実のそれに半端にリンクさせたりしないあたりのストイックさがいいかなと。

それでいて、エロもグロもナンセンスもギャグもファンタジーも「人間」もふんだんに盛り込まれている。広大なスケールも矮小な人心も丁寧に丁寧に描いている。

有無をいわせない娯楽を正面切ってぶつけてきている。

好き嫌いでいうと異世界もファンタジーも時代劇も政治的な謀略なども好物ではないです。ただ有無をいわせられない。「おもしろい」が溢れている。というかこれがつまらないはずないじゃないか。おれはそこまで自分の価値機運も好き嫌いにもゼッタイの自信はない。それがおれのいいところとすら思ってる。

ともかく。

そういうマンガです。2020年読むひとを圧倒させるマンガはこれです。ありがとうございます。3巻が楽しみです。今のうちに読んどけ読んどけ。

竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
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2020年09月28日

美人女上司滝沢さん 4 やんBARU (ドラゴンコミックスエイジ) -



長いことマンガを買っている人生です。
1巻を買った以上は最終巻まで読み切る。定期購読の雑誌は隅から隅まで読むってのにも疲れてきた年頃です。コミックは1冊買い忘れたら「もういいや」だし、漫画雑誌は長らく購読してません。
だから、ポトチャリコミックにおいても「最高傑作!」とか「次巻が待ち遠しい!」なんて書いておきながらもうずっと買わないで存在も忘れているマンガは多いです。無責任ということに心は痛みますが、その痛みよりフトコロの痛みのほうが苦しいのでしょうがないのです。

マンガを買わない理由というのはいくつか具体的なものがあります。「つまらない」「つづきが気にならなくなった」「読み進むのがしんどい」などなど。
その逆は理由も逆になりますかね。「おもしろい」「つづきが気になる」「読み進むのが楽」と。

だいたい最近の目安は4巻かもしれませんね。そこまででフェイドアウトするのはする。

本作は4巻が出てるのを知らなくて「あわてて」注文するくらいでした。

おもしろかった。

タイトルのとおり美人上司の滝沢さんとその美人っぷりにドギマギする新入社員の武田くんとのドキドキラブコメ4コマとなっております。

いい大人のわりに初々しいラブラブな感じにじれったくなったのも今は昔の話。そのぬるま湯と進行しそうでしない「かったるい」展開が超好み。
気分によるとその「かったるい」が裏目に出ることもあるのですが4巻は大丈夫でした。楽しく読むことができました。新キャラもいい具合。コメディ要員の部長も登場シーンは限られてましたがおさえるところではきっちりおさえてありまして、大安定の4巻でした。

単行本では毎話描き下ろしでアイキャッチのようなカットが入ってます。これがずっとセクハラめいた、破廉恥なカッコを滝沢さんにさせていたものですが、今回はそれも含めてだいぶギラギラした脂が抜けた感じがありますね。おれがそう感じているだけの可能性もありますが。実際水着やエッチいカッコは相変わらずですが滝沢さんがちょっとなれている感じがあってそれがいいかなと。4巻ものあいだセクハラにあってなれるってのもなんだけどまあ水着くらいいいかってなった開き直りがね。

そして前記のマンガを買い続ける理由。途中で止める理由の大きなものに「なんとなく」ってのもあるなあと思ったり。元も子もないですが。でも「なんとなく」は侮れませんよ。いつかそれに適当な言葉がつくことがあるかもしれません。

美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARU
美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARUやんBARU KADOKAWA


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2020年09月11日

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 ふせでぃ (文藝春秋)



セックス充になれない人生だった。だからセックス充がうらやましい。
でも、セックス充もいろいろと大変かもしれないぞとはSNSや各種メディアから学んだ。少し未だ疑っているが。

本作もそうだ。


大人の男女が
二人で会うと
お酒を飲むか
Hをするしか
選択肢がない



ですって! 聞きました奥さん?

セフレさんとエッチしてのセリフです。セフレのセリフ。

本作の主人公さんは平凡なOLさんで平凡なセフレがいる感じです。セフレ以上に好きなのにむこうはセフレだろうし、下手なことをいったらセフレの関係すら壊れるかもしれないので黙ってる感じです。

幸せかどうか自問自答する。元カレのことも考える。そしてセフレのことも考えると。

うむ。セックス充だよなあ。セックスのあいだは楽しいしかれが一緒にいてくれるのはうれしいと。

セックス充じゃないからよくわからないけどそれでも足りないなにかを探してる感じは欲深いと思いつつもそんなもんだろうなと。

普段遣いの孤独? 承認欲求の底に穴が開いててずっと漏れている状態?

焼き肉バイキングでたらふく肉を食って幸せなのにカレーも食べたいと思うような感じ?

NOTセックス充にはピッタリはわからないんだ。

台風のシーンがあった。台風にひとりでいる主人公にセフレがたずねてくれる話。台風の描写自体はともかくとして台風のあとの描写がとってもいい感じであった。
正直なところ、この題材で作風で、このキャラ絵描画はしっくりこない。その他の作画もかなり頑張ってるが発展途上にはあると思う。ただ、上記の台風のあとの描写にはすごい可能性を感じる。主人公の心情を表しつつ、あまり他ではみない台風一過表現。だからあらゆるところを突破するような気はするんだ。

うん。

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ
明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ

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2020年08月12日

神クズ☆アイドル 3巻 いそふらぼん 肘樹 一迅社








[次にくるマンガ大賞 2020]

これの2019年コミック部門で3位です。

楽して儲かるってきいてるけどかったるいのでアイドルを止めたがってる主人公に、17歳にして交通事故で死んだこの世に未練(もっとアイドルやっていきたかった)伝説の超アイドルの幽霊と出会う。そして憑依してもらって楽ちんアイドル人生を目指すというお話。

2020年6月に3巻でました。2巻までで1部完ってことになってますが人気御礼につき再開しているらしいです。おれは3巻まとめてドンとおすすめされて読んだので。



(これもいずれ取り上げます)

「女の園の星」といい、本作といい、いま、ギャグマンガは女性向けが断然リードしている印象があります。

本作、ギャグとして笑えるのですが、それ以外も終始ニヤニヤしてしまうチカラがあります。だから、ずっと笑いながら読んで、ときたま「わはは」と声を出して笑うのです。すなわち、ずっと楽しいマンガといえます。

登場人物は案外と少なく、多くは幽霊のアイドルとやる気のないアイドルとのかけあいと、相方のアイドルとのかけあい。そのあと適切にほかキャラ。
これらキャラがまた適切でキャラが立っています。なおかつ女性マンガにありがちのキャラを増やし過ぎの渋滞はないし、絵柄自体もどことなく「陸軍中納予備校」や「県立地球防衛軍」の安永航一郎氏をホーフツをさせるような(いま見比べたら全然似てないが、感覚として)メリハリのきかせたわかりやすくも親しみやすい絵柄もあいまって、少女漫画に苦手意識を持ってる方でも読みやすい。
新キャラも2巻で現役トップアイドル。3巻では幽霊アイドルと同じグループにいたけど活動休止してたアイドルなど、適切な場所に適切でおもしろいキャラ投入。
話もアイドルの成長物語に沿って、いろいろなイベントをはさみつつおもしろおかしく存在していく。

といってもトップくらいにいいのは、このアイドルの熱狂的なファンらですね。3人常連がいて彼女らのやりとりというか妄想トークが最高すぎてたまらない。声を出して笑いにいたる起爆剤は彼女らの活躍にあるといってもいいです。

3巻までずーっとニヘラニヘラときおりギャハハと楽しく読むことができました。

特筆すべき点。
1巻は紙の本で2巻3巻は電子書籍で読みました。この2巻3巻は電子書籍特典がついてるのも相まってか、「読んでも読んでも終わらない」現象があってすごいです。本編のあとのボーナスステージがどえらいんですよね。描き下ろし番外編やら4コマやらあとがきやら3巻ではトリビュートまである。これのボリュームがどえらい。というか、こういうのの特典のトリビュートでこんな楽しめたのねえな。

とてもよかったです。いっきに読んでいっきに好きになったわ。

これ娘にオススメされたんですが、娘のオススメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」「アクタージュ」「かげきしょうじょ」という。なんかわかりやすいでしょ。その流れでこれです。







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2020年07月28日

ゼッタイ良縁! くくり博士は めとらせたい 1 大沢 ういち 少年画報社





ジャケ買い大事。とくに書店でビビビときたものを買うのは絶対大事。この本のようなアタリがあるから。最高だよこれ。

エロマンガ。そしてマッドサイエンティストモノ。マッドサイエンティストは女性。ああ、まあ、くくり博士がそれか。

彼女が出会って即合体をみたくてあらゆる技術で良縁の相手を選び、それをテレポートで連れてくる。
最大のポイントは「それが現代に存在しない場合、他の時代から連れてくる」ということです。
出会って2秒で合体がみたいために技術を無駄遣いする。この設定で大勝利です。そしてこれこそマンガの持つフリーダムです。

1話は1990年代のボディコン女性。2話は未来忍者(くノ一)。3話はスパルタカス時代のムキムキ剣闘士(対象が女性)。

それぞれひねった展開でありながらもセックスして気持ちよくてハッピーエンドというキモは外さない。
絵柄も上々。セックスのバリエーションも短いページ数ながら考えられてるしな。アンモラルやインモラルはないっす。

そして4話。ネタバレになるから書きませんが、これで長編映画ができそうな話。みんな考えてありそうでない話。それは最後のページのようなぶっ飛ばし方ができないからだろうな。なおかつぶっ飛ばすヒト(ぶっちゃけくくり博士)がいるのでこのマンガの設定で3話まで積み重ねてないとできない話でもある。だから全部すばらしい。これ、描き下ろしだろう毎話の1pの後日談も含めて4話は本気ですばらしい。時間モノとしても傑作。

そして謎を含ませて次巻へつづく。うむ、申し分のないみごとな1巻。

長く続くのかはわからんけど2巻はでてほしいな。



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2020年07月08日

僕の心のヤバイやつ 3 桜井のりお (秋田書店)




3巻を読んで思ったのが「山田が気持ち悪い」ということです。市川じゃないですよ。山田のほうです。読モで中学生とは思えないボディでかわいくてたまにテレビも出て映画の出演も決まってる山田ですよ。

市川クンは中2病をこじらせてるわかりやすい中2です。彼は中2と非モテとコミュ症をこじらせて、クラスで1番目立つ存在である山田を殺そうなんて思ってました。でも、いろいろあって1巻で気がつきました。「おれは山田が好きなんだ」って。
で、本作は市川の心の声のみ読み取ることができるのですが、みた限りだと、2巻ではどうやら山田も市川のことが好きになっているみたいです。どこかはっきりとしたものがないのがリアルですが、図書館でおやつを食べるのがバレそうになり手を掴んだ前後とかかね。

真理なんですが、好き同士であっても、恋人でも、結婚していても、親子でも、その愛情は等しくなることはありません。
同じ10点満点の10点同士になるのは一瞬はあるかもしれませんが、それは徐々にずれていくのではないかと思うのですね。つきあわないともっとその数値はいろいろとちがいます。

市川は何点かわからないですが山田が好きです。ただ、向こうが好きであるはずがないと思ってます。その点では中2らしいけど賢明でもある感じ。

ところが山田はそうはしなかった。気づいてからずっともう自分の「好き」を止められない。で、どんどんギュウギュウと距離を詰めてきてる。それに市川は戸惑うばかり。なぜなら自分を好いてくれているわけがないと思ってるから。というか、思い込みたがっているから。でも、最新作(4巻収録するだろう)で、「気持ちが伝わりそうで怖い」なんて思ったりもしてる。

この山田が必死ですごい圧なんですよね。それにおされて思わず「気持ち悪い」という感想を持ってしまったわけです。
つまり、その山田の圧が伝わってくる筆力ってことなんですね。

実にここのところ、2人とも中学生でいろいろと未熟なのに手探りで不格好で気持ち悪い、しかし、ピュアな熱があるところがすばらしいのですよ。2巻のときも書きましたが。
そして、1巻2巻3巻とそれぞれの熱量を繊細な注意を払ってコントロールされてるなと確信しました。巻ごとのそれぞれのそれぞれに対する思いの点数がちがうなと。これ実際問題適当な感じありますよね。まあ、ちょっとアンフェアではありますが、作者のTwitterによるショートコミックでの「僕ヤバまとめ」はそこらへんの熱量がけっこうまちまちです。

[僕の心のヤバイやつ / Twitter]

これだとショートとかギャグを優先してるからその熱量にわりにムラがあるのでよくわかるんだよね。

それがどんな作品であれ、作者による多少のコントロールがあるので、年齢とは合ってない手練れ感があったりしますよね。また、そのほうが効果的なんですよね。対比によって、より片方が幼い感じを演出しやすくなって。つまり、マンガをコントロールしやすいから。本作はその逆です。どうなるか先が読めない。そらもう熱々のデレデレではあります。ただ、それだけにとどまらないかもしれないという不安定さがあるんですよね。もちろん、ベテランの作者のことですから、きちんとコントロールしたうえでの不安定さを演出しているし、そもそも、この2人が別れるとかそういう衝撃展開を期待して読んでいるひとは誰もいないのでまったく意味のないj杞憂ではあるんです。純粋に「このふたりはどうなるんだろう?」というハラハラがいいアクセントと緊張感になってあるんだなと。
実際、そこまで穿った読み方をしなくても、イチャイチャしやがってええ!でもいいんですよね。でも、その差こそが「このマンガはなんかちがう」の重要な味付けになっているんだと思うのですよ。
たぶんに、それは、新作のたびにTwitterほかでバズることでもわかるような気はします。



あと、これこそはと思ってた特装版はやっぱなー。ああいうの本来、東京三世社や成年コミックのおまけコーナーに「単行本発売おめでとう」で書くものでさあ。小冊子で別料金でやる必要はあまりないなあとの思いは強固になりました。




posted by すけきょう at 10:11| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月15日

藤カラー ZERRY藤尾 (クリベロンコミックス/リイド社) 年コミック

ZERRY藤尾名義の成年コミックとしては4年ぶり。その前の「いろつき」は10年ぶり(その前は幻冬舎から出た「COME TOGETHER」になるのか)。そしてその間は「山田穣」名義で「がらくたストリート」等を執筆されてます。とはいえトータルでも寡作とはされてますよね。大ファンではあります。

とはいえ、最近の成年コミックはとにかく高い。本作もオールカラーで1760円です。だから前作「いろつき」も買ってなかったです。おれはオールカラーコミックにいい感情はないから。「高い、薄い、読み応えがない(見応えはあるね)」だから。
そういうことで本作も買う気はなかったのですが、たまたまみていたFANZAで電子書籍版の「いろつき」が半額で売っていたから、それでも880円どうかなあと思いつつも、給付金10万あるからと気が大きくなったので買ったら、まあ、うん、最新作もお買い上げと相成った次第なのです。

本書の内容は折りたたんでおきます。このためにFANZAのアフィリエイトも申請して登録して仕込みました。というのも、本書の電子書籍版はFANZA限定の4pマンガが描き下ろしで。これがまたいいんだよ。だから、ぜひ、FANZA版で買いましょう。その中身には触れませんが、「おお、こうきたか」ってかなりニヤニヤできる内容です。

書籍版を買うのが1番いい(というか現在すごくほしい)んですが、次はFANZA版かなと。

(で、まあ、蛇足なんですが、これ、楽天もアマゾンもアフィつけられないんだよね。なんでだろう?アマゾンKindleのほうは本作の単話をバラで売ってるけどさ)

参照:

[「がらくたストリート」1巻 山田穣(幻冬舎コミックス) : ポトチャリコミック]
(ボーナストラックとして過去のおれが書いたZERRY藤尾全成年コミック感想文付き)
追記あり
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2020年06月12日

チェンソーマン 7 藤本 タツキ (集英社)




順調に巻を重ねていることも、人気があることも、週刊少年ジャンプで連載されていることも、そして娘が興味をもったので読ませろってバックナンバーを集めさせたこともすべていまだに信じられない。
そんなことでいえば、「鬼滅の刃」が狂った売れ方をしていることも、もっといえば「ONE PIECE」もそうだ。もっと前もそうだ。おれが本当の少年だった年齢で少年ジャンプを読んでいた頃から、ジャンプのマンガには納得のいかないものが多い。どうしてこれがイケると思ったのかわからない。
でも、わからないからこそおもしろいんだと。

デビルハンターのデンジはチェンソーマンとして活躍してます。そのチェンソーマンを殺そうと世界各国から敵がやってきてバトルロワイヤルがはじまったのが7巻です。

前作の「ファイヤパンチ」もそうですが、藤本作品は世界がずっと不安定です。根本からグラグラのあまり誰にもコントロールできません。だから、全員がそれぞれの「おれルール」で動いております。それゆえに全てのキャラが無軌道にみえるし無秩序に振る舞ってます。むしろ秩序を求めるひとから死んでいくというシステムこそが唯一の秩序と思えるくらいです。
おのれの欲求に従い、めちゃくちゃやっているひとがなんかがんばってる。でも、それを上回るめちゃくちゃが世界を覆っていて、なんの意味もなく死や残酷やグロやエロが訪れるのです。

それがとてつもなく痛快であるが不安でもある。どこかで辻褄を合わせて「安心」したいのだけどそれを藤本タツキ氏は許してくれない。デンジもパワーも各キャラもみんな無軌道に行動して、あっさり死んだり殺したりする。そして物語自体もどこに向かい、どうなるのかも見失いそうになる。
もちろん、マンガ家はマンガにおける神としてコントロールしている。でも、本作は、「え、大丈夫かな?」とは思ってしまう不安定さがある。それがすげえよな。

「BURUTUS」のマンガ特集で言及されていたけど、7巻では榎本俊二氏の「斬り介とジョニー四百九十九人斬り」のオマージュがありました。10年前のマンガっすね。すばらしく効果的でしたし、それを週刊少年ジャンプで令和にぶちかますところですよ。作者は神として「チェンソーマン」世界に混乱と混沌とその他を起こし続けているわけですよ。

あといいたいのはパワーがかわいいなと。(読者のキャラ人気投票でも1位だったのでライバルは多いな)

[「斬り介とジョニー四百九十九人斬り」榎本俊二(講談社): ポトチャリコミック]





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2020年06月09日

ぼくたちは勉強ができない 17 筒井 大志 集英社



マルチエンディングを採用したラブコメのひとつめが終わりました。

5人の女性にホレられる主人公。それらとそれぞれ結ばれます。そのうちのひとりと結ばれた最終巻でした。次から別のひとと結ばれるエンディングがはじまります。

これさ、発表されたときにネットでたいそう話題になったよ。賛否両論らしい。独自ということでもないらしいんだけど。
同時期に5つ子の娘とする恋愛マンガはひとりに決めて終わったことの影響なんかもあったのかしら。

でも、そういう「些細な」ことをぶっ飛ばすかのような王道の大団円が17巻にはある。筒井氏はシンプルにマンガが上手いと思いましたよ。え、これ、マルチエンディングする余地があるの?これが「正史」じゃねえの?って。ほかの子のエンディングなんてただの蛇足になるんじゃないの?って思ったり。

そして、この作者だから大丈夫とも思った。それくらい見事だった。これまでもそうだけど、きちんとケリのついた17巻もそう。王道や1発めだけあってきっちりとした正面的な展開。そして終わってみればほかのも堂々とした納得いくエンディングなのは確信してても大丈夫だろうとも。

ラブコメで、ハーレム展開の場合、1番の問題は、魅力的なメンバーがひとり以外ふられるんだよな。そこらへんどうするんかと思ったけど、そこも見事だった。全員の「思い」を丁寧に拾った。
そして次はまたそれぞれの「思い」を拾うのだろうな。


ほかも楽しみだ。あと作者の本作の次の展開も。



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2020年05月23日

おむすびの転がる町 panpanya (白泉社)




最新作です。前作「グヤバノホリデー」はおれにとって衝撃的な作品であった。フィリピンに行きグヤバノという謎のフルーツを食べる紀行マンガだった。
もともとが現実と虚構が曖昧な作風ではあったけど、ぐぐぐと現実に寄せていました。これではもうエッセイコミックじゃないかと。

エッセイコミックってそう考えるとウソだなと。それは作者が取材だったり経験だったことかもしれない。でも、それを絵にしてマンガにした時点で事実とは異なってくる。だって自画像がちがうやん。エッセイコミックの大家である、吾妻ひでおさんも西原理恵子さんも桜玉吉さんも本当の顔は「ああ」じゃないじゃん。だから、ホントとウソの距離感を楽しむのがエッセイコミックでありコミックエッセイであるんだなと。もっといえば活字だけのエッセイもそうなのかもしれないけど。「すべらない話」とかも。

本作に収録されている「筑波山観光不庵内」などは虚構と現実のブレンド具合がワンアンドオンリーですごい。実際に行かないとわからないディティールだらけなので猛烈なロケハンをしてるだろうけど、筑波山のケーブルカーまでの道中はガマの油売りが軒を連ねてることはないだろうし、JAXAの訓練で宇宙服を着たひとが多数歩いてたり、はウソだろう。
そんな「筑波山」で不思議で楽しい冒険+観光をしている。

ああ、つげ義春氏を連想するね。氏の紀行マンガもオンドル小屋に住み込みで働いてる女性店員の着替えがみえたりとか、ほんやら洞のベンさんやら、長八の宿の釜番のおっさんとかはいないだろうしな。

ほかにも毎日通ってるところの用のない坂の上にはなにがあるのだろう?と登ってみたり「そこに坂があるなら」
なんでも買い取ってくれるリサイクルショップに食べた飴の包み紙ともらったポケットティッシュを売りに行く「坩堝」

などなど、これまで同様に地元密着率が高くて、ふわっと異世界や異物が混ざるブレンドが絶妙。近年は現実配合多めかな。おれはいまの配合のほうが好み。

そして白眉であり、前作同様またしても大きく唸ったのが食べ物ネタ。「カステラ風蒸しケーキ物語」。
これはヤマザキで実際に発売されていたカステラ風蒸しケーキの魅力にとりつかれて探し求めていた話です。
他愛もないといえばそれまででストーリーとしての起伏などもないがとてもいいです。ただ、探して、あちこち駆けずり回りついにはお客様相談窓口にまで電話してしまうという。

「カステラ風蒸しケーキは一種の瞑想だと思う。」

とまでいわしめる「美味しそうさ」よ。そして憎たらしいことに本単行本が出るちょっと前に正式に製造をやめているのよね。このおあずけ感。でも、この新しさ。好きなものを追い求めるというメッセージが強烈な作品は短いページ数ではありますが、すごく心に残る。

それは作者のすべての作品や姿勢に通用する。とくに表題作は、その視点や姿勢が最大限発揮された、panpanya氏にしかできない視点の作品。すごいです。

なんていうか、この先、こうしてほしいどうしてほしいというかそういう外野を無視して、思うままにおもしろいと思うことを膨らませたりなんだりしておもしろいマンガを描き続けてほしいなとせつに願うマンガ家がひとり増えたなあとしみじみと。

白泉社の編集にも作者を見出して活躍の場を与え続けていることに感謝したいと思うのです。
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2020年05月21日

古見さんは、コミュ症です。(17)オダ トモヒト (小学館)



学園祭でラブコメはピークに達する説の信憑性はまたひとつ蓄積された。

17巻は学園祭編のピークであり本作のピークであり2020年のマンガのピークになった。

古見さんは眉目秀麗容姿端麗成績優秀の非の打ちどころのない美女だけど極度のコミュ症。ただし美女ゆえに成績優秀ゆえに無口な美女としてそれがいままでバレずにいた。高校の入学式に只野くんにそれを見抜かれる。「友達100人つくりたい」という彼女の野望を叶えるべくドタバタするというギャグよりのラブコメ。

2年生より、マンバギャルの万場木留美子さんが登場します。彼女も古見さん同様にゆっくりと時間をかけて只野くんにホレていきます。登場してから毎巻1回は只野くんとのラブコメパートが挿入されていきます。それでいて、古見さんと只野くんとの「それ」を万番木さんは微妙にみないでここまできました。

そして学園祭です。クラスは演劇をすることになりました。古見さんと只野くんが出る演劇です。16巻の終わりで古見さんはアドリブで只野くんに演劇上で告白します。それでついに万番木さんも知ってしまいます。そして17巻。

16巻の予告を見た限りだと、まあ、そこそこの進展はあるけどうまくスカしたりギャグったりしてまた進行していくのかなと思ったのです。なぜなら通常の風景が繰り広げられていたからです。

それがガッツリでした。ガッツリ。ここまでガッツリいくのかってくらいガッツリ。

すべて察した万番木さんがふられたと人気のない階段で泣いている。そこに尋常じゃない様子を心配して古見さんが駆けつけます。

そこからがピークですよ。17巻のピークで本作のピークで2020年の全漫画のピークです。

お互いの気持を確認してお互いの友情を確認して只野くんへの思いを確認するのですよ。

ここらへん、エモさもすごいですが、技術ということでもピークで、本作の構造というか根源のところでもピークなんですよ。ということでネタバレになるのでエモさはおいといて技術と構造について語りますわ。それこそ登場キャラのエモを探し求める江藻山ゆらぎさんのようにエモミー賞受賞としか書くことがないし。

本作、学園祭で演劇をしてます。そして、2部構成になってます。そして古見さんと万番木さんがそれぞれ主演。だから拘束時間が発生するんですよ。なおかつ只野くんも劇の上とはいえ古見さんに告白されたということでまわりの嫉妬で追いかけ回されていろいろとままならない。
これで、多元中継が生まれ、あちこちで同時に話が進行し(まだシンプルなほうだけど)、その制約のせいで新たにドラマが生まれる。なおかつギャグパートをいれて緊張と単調の緩和を促す。連載で読むとどういうことになってるのか想像しにくいけど、けっこうな寸止めも生まれる。

そして、それらを非常に憎たらしい使い方をした16巻の予告な。あとこれまでのスカしの蓄積な。そのおかげで16巻のなにげない予告カットがものすごいエモいシーンだってことがわかる。あのなにげなさはあの修羅場のあとのことだったのかと。ふたりの長くて重くて大きい葛藤や想いが交錯したあとだったのかと。まあ、予告は編集がやったことなのかもしれないけど、担当編集の技術も相当すごい。

17巻で特筆したいのは古見さんです。これまでにないくらい古見さんを描いてます。いわゆるデフォルメ顔じゃないやつで。古見さんというのは上記のようにコミュ症で他人から誤解をうけやすいキャラ。つまりは表情の変化に乏しいわけです。無口=無表情=無感情ですもんね。どうしても。

今回、クライマックスの階段のシーン、だいたい古見さんと万番木さんのアップで展開していきます。最初は上記のように表情のハバがない古見さんが徐々に言葉とともに思いを口にしてなおかつ表情の機微をみせていきます。これまででもっとも大きい表情の動きです。

そのセリフをこの表情でいっている。マンガにおける「絵が上手い」は突き詰めるとこれです。もっというとその気持をその表情に描いている。いい場面いいところの表情をみせない作風の作者も多いんだけど、これも突き詰めると手抜きかスキルが伴ってないとは思ってます。もちろん演出効果もありますが。本作でも17巻でも階段のシーンでもあります。でも、読者に「見たいものを見せる」というのは基本中の基本です。

そういう意味で、超おこがましいですが、作者はどんどん絵がうまくなっていると思います。古見さんの只野くんへの思いがきちんと画力「のみ」で表現できているもんなあ。マンガにおける画力の1番正しい使い方だと思います。


感情を爆発させたためにタイトルである「古見さんは、コミュ症です。」がブレイクしました。彼女は自分の思いをきちんと他者(万番木さん)に「声に出して」言葉で伝えることができた。古見さんがコミュ症ではなくなった瞬間。実にそれこそが作品全部のピークでもあるわけです。だから、この階段のシーンはとてつもなく重要。この先あるかどうかわからない只野くんが古見さんへプロポーズするときなんかとは比べ物にならないくらい重要。だからもう最終回でもいいんですよ。もちろんそれは死ぬほど困りますが。(だから表紙なんですよ)


しかし、そういうエモいシーンばかりでもなく、描画の技術は、「多少うまい土」であるベヌジットスポポ焼きを食べたときの顔でも活かされた。只野くん、万番木さん、あとコミック描き下ろしでは古見さんも食べていた。それらの表情はちゃんとギャグとして成立してた。
(なお1番好きな顔はチーズハットグを食べてる古見さんです)

すばらしいマンガだ。すばらしいとしかいいようがない。すばらしいといわないようにいろいろと書いてみたけど、やっぱりすばらしいという言葉に帰結する。

すばらしい


(そうなると1巻の只野がおかしいことにはなるんだけどね。そもそも周りの空気を読めない人間ってノリだったのがひとの機微がもれなくわかる人間になってるんだから。まあよくとるとそれは古見さんといっしょにいることで培われたり才能が開花したってことでもあるし、その解釈が美しいからそういうことにしておこう)




posted by すけきょう at 12:49| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月15日

牛乳配達DIARY INA (リイド社)




最近キレッキレのマンガを出しているマンガ出版社というかレーベルといえばリイド社のトーチっすよね。
そこでの「第1回トーチ漫画賞大賞」を受賞したものです。そうなると気にはなりますよね。だからふと内容を知らずにポチってみました。レーベル買い。レコード会社ではよくやってましたよ。で、税抜1500円全1巻。ちょっと今のフトコロ事情だと冒険の値段ではあったけど、地味に最近どの版型のどういうタイプの本も高いからなあ。

だからどういうマンガかまったく予想がつかなかったのよね。

牛乳配達のアルバイトをしていたときの思い出をエッセイコミックにしたものです。これがかなりな時間をかけてゆっくり描かれてるし、たぶんというか確信してるけど、作者もはじめてに近い感じでかなり試行錯誤しながら自分のスタイルをモノにしていく感じが非常に新鮮。

しかも、初心者ゆえにというか場数をこなしてないゆえに、「描きたいこと」を描くためにある「型」に落とし込むのではなくていろいろと試している感じがおもしろい。実に毎回ちがう。話や切り口や芸風もそうだけどとくに描画のタッチがちがう。まあ、端的に「上手」とはいえないタイプですけど。

とくに1話のエピソードを描き直してるんだよね。上半身ハダカでタオルをクビにまいたおばあちゃんに炎天下で説教されて、ねぎらいとともにドリンクをもらって公園で飲もうとしたら変な味で製造年月日みてたら2015年で(2017年の話ね)吐き出して「なんかマンガみたいな出来事だな」と思ってるというエピソード。最初に描いたのと、コミックになるから描き直したのの対比が非常に興味深い。

前半までは配達やサンプル配りの営業の戸別訪問の客との接点に「こんなことあった」なあるあるであり、その途中にみた街の風景であり。

残りは、いっしょに働いてるひとにも焦点を合わせる。個人的にはそっちから急におもしろくなる。前半のままだとおれにはイマイチという判断になってたな。

ちゃらいけど仕事ができる後輩。独身31歳で独り言が多く要領の悪い女性。パチンコが止めれずに仕事中もしてしまう(配達後の営業とかで)男。彼らとのやりとりがとてもいい感じ。

つげ義春氏の「無能の人・日の戯れ」と大橋裕之氏の「遠浅の部屋」に影響を受けて書きはじめたとあとがきにあったことが非常によくわかります。でも、その影響下だけじゃなくてなんていうかな「広がり」がある。ここに作者の持ち味とほかにない可能性がある。

つげ氏や大橋氏より社会性があっていろいろと働いている感じがあるし、世界をよくみている感じが。お客のことを考えたり。で、案外と自省内省はもうひとつ。だからこその不思議な味わいが醸し出してはいるんですけどね。「無能の人」にしても「遠浅の部屋」にしてもかなり「自省み」が強い話だからね。そういうタイプのアプローチだけどアウトプットはだいぶちがう。

作者の次回作を楽しみに待っています。余計なお世話だけどルポ系のマンガがいいかもしれない。なおかつ誰か相棒がいるのがいいような。



posted by すけきょう at 10:10| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする