2017年02月05日

フイチン再見! 9 村上 もとか (小学館 ビッグコミックス)


マンガ家上田としこさんの生涯を描いた作品。9巻ってけっこうな大河連載になってますね。次で完結だそうですが。
「フイチンさん」で戦後の少女たちを楽しませてって話ですが9巻になるとマンガも大改革の時期が訪れております。
雑誌の週刊化、新人漫画家、とくにトキワ荘の面々の台頭など。少年たちは劇画に夢中で、そんな殺伐としたマンガはいけないといっていた上田としこさんのマンガがPTAに不純異性交遊が描かれててけしからんとやり玉に上がったりと滑稽なような恐ろしいようなマッチポンプなエピソードが非常に象徴的でマンガを取り巻く環境が目まぐるしく変化している。
こうやって今しみじみと思うとおれのモノゴコロついた時期は、マンガの整地がすっかり終わっていよいよF1のようなマシンが週刊雑誌でドーンと走り出す黄金期へむけてのジャストなタイミングだったんだなあと。そしてその前の時代がこれだったわけだ。
しかも、たとえば「まんが道」のように追いかける立場でイケイケドンドンじゃなくて、後続の猛追に煽られてくるしみもがいてるのは新鮮です。水木しげるさんはどこか他人事でしたしね。

個人的には上田としこさんのマンガは「影響を受けた」とされている高野文子さんのマンガを仲介として知識として知っているだけですが、彼女に影響を受けた、水野英子氏や萩尾望都氏、名前だけですが、ちばてつや氏、石森章太郎氏など、レジェンドがリンクしてくる感じはすごくワクワクしてきます。水木しげる先生の貸本マンガとはちがった世界のマンガ家の生き様ということで非常に興味深いです。

村上もとかさんのどうなってるんだ?ってくらいの美麗な絵や安定したストーリー展開もすばらしいものです。この方すごく長いキャリアで最初から「絵がうまい」って感じだったのに近年もどんどん進化していってるよ。

正直なところ上田さんの書籍を読みたいってほどのものではないですが(小学館からフイチンさん完全版上下で5000円とかあります)、土田トシコさんの「フイチンさん」の絵も古びないエヴァーグリーンな魅力があります。




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2017年02月04日

めしばな刑事タチバナ 24 坂戸佐兵衛,旅井とり (徳間書店トクマコミックス)


完全なる安定期の24巻。マンネリすらギャグとして取り込む勢い。もともと「めしばな」が本線ですけど、最近は「めしばな」すると長くなるからまわりがそれを防止しようとする。だから、24巻のメインディッシュである袋麺のときは本編がはじまるのが3話からで1話2話は導入って贅沢な仕様になっていてそれでもなお読み応えがある。この横綱相撲。ロックオペラ的なコンセプトアルバムでいわゆるポップな曲が3曲めまでこないってやつや。
そういわれれば相変わらず扉もロックアルバムのジャケットになってますね。あれは旅井とりさんのお遊びなのかしらん。1回 ナタリーあたりそのラインでインタビューしたらどうよ?

あとは台湾まぜそばのレシピがあったのが助かったわ。ちょうどやろうかなと思ってたし。


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2017年02月03日

でぃす×こみ 2 ゆうき まさみ (小学館 ビッグコミックススペシャル)


もともと1話だけの出落ちみたいなものだそうですがまさかの2巻刊行と。
少年誌のマンガ家志望のJKが話が思い浮かばずに兄が原作のBLを少女マンガ誌の賞に応募したらそれがまさかの大賞に。で、毎回読み切りのBLを描くハメになるという。
こういうあらすじでいいんですよね? 1巻は「おまつり」の企画マンガみたいな気持ちでフンフンと読んでいたところがあって、正直一生懸命ではなかった。ところが2巻になりグググとおもしろくなる。原因はあきらかで、キャラが増えたから。ゆうきまさみマンガはキャラが増えるととたんにおもしろくなってくる。これはもう天賦の才としかいいようがない。群像劇なんて多分にすべての創作で1番難しいと思われるんだ。それが証拠にキャラがたくさん出てくるマンガでおもしろいマンガが少ないから。それなのにゆうきマンガはおもしろくなる。恐ろしい話です。
ということで2巻ではマンガ仲間と兄の友達の腐女子など登場してグググとおもしろさが増している。とくにマンガ仲間がとってもいいキャラ。ゴスロリファッションで高飛車でゴリゴリの少女漫画を描いているけどその実態は腐女子でコンビニのアルバイトで気弱で常識人という。
それでいて巻頭に展開するBLマンガやそのマンガをおもしろくするための創意工夫がそのままBLマンガ入門になっているというのがまたいいよなあ。主人公の話づくりに煮詰まって変な方向に流れていくのもマンガ家志望にはあるあるなんじゃないでしょうか。サッカー部員同士のBLで延々と試合描写するとか。


非常に楽しかったです。あと、有名女性漫画家さんが巻頭のBLマンガに着色しているというお楽しみもありますがそっちのほうはわりとどうでもいいです。



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2017年02月02日

いちまつ捕物帳 6 細野 不二彦 (小学館 ビッグコミックス)


6巻完結。惜しいマンガをなくした。これが打ち切りなのかどうかわからないけど、「終わる」と決めたから5巻6巻と密度が異常だったんだな。エピソードのつながりがビートルズの「アビーロード」のB面みたい。すなわちメドレーでノンストップでつながっているんだよね。しかも「いろいろ」あっただろうにそれを微塵とも感じさせないで見事につながってる。DJ細野ぷちょへんざ。まあ、濃すぎな気もしたけどさ。

6巻では断然「おゆう」っすね。主人公のひとり松さんの地元で子供の頃から松さんのめんどうをみていた乳母がいろいろあって(びっしりワケも書いてる)くノ一になっているという。エロありアクションあり忍者っぽいところありで主人公級に魅力的に描かれてるわ。最後の最後まで活躍。
一方、いちさんの「いい人」のポジションのお玉ちゃんが対象的におきゃんでかわいくて、細野氏が美少女マンガの元祖にして名手であるところを思い出す。んま、「ギャラリーフェイク」のサラさん的ではあるけどそこは江戸っ子だしね。だいぶちがう。
すでに次の作品の新連載が決まっておられます。夏には単行本。ワーカホリックだよなあ。


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2017年02月01日

パンクティーンエイジガールデスロックンロールヘブン 1 ハトポポコ (竹書房 バンブーコミックス)


いいところがだいぶないダメな「けいおん!」。ハトポポコ先生の新作は4コマじゃなかった。
26歳で無職で処女2人とヤリマンビッチ1人のバンド。ライブシーンを1回もちゃんと描写してないしロクに演奏シーンもない。でも、ロックマンガなのは、処女2人がしょっちゅう「**ってロック」ってロック話してるから。たとえばカップ麺をお湯入れて1分で食べたらロック。風邪をひいたらロック。ドラッグ使ったらロックで正露丸登場とか。



中川いさみ先生の「カサパパ」に登場するアパート大家がこういう感じなんですよね。飼ってるペット(なに飼ってたか忘れた)にジャニスって名付けるような。彼はアパートの前の枯れ葉を掃いて集めた後、急にロックの衝動にかられて「ロックンロール!」と叫びながら撒き散らしてまた掃いて集めるなんてことを繰り返します。
そういう感じのロックマンガですね(わかんねえか)。

これが3人とも処女だとまたちがったかわいさがありそうだけどひとり中学生にしかみえないのにバイでクソビッチがいるからまた話がめんどう。あ、でも酔っぱらってるハナコさんは好きかな。

従来のハト作品に比べてスピード感があるような気がした。4コマじゃないからかもしれないけど。


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2017年01月31日

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 2 武田一義,平塚柾緒(太平洋戦争研究会(白泉社ヤングアニマルコミックス)


第二次世界大戦南方の戦いですね。ペリリュー島って今のパラオ諸島のひとつの島での攻防に焦点を合わせたマンガ。
デフォルメされたかわいい兵隊さんの殺伐としたリアルな地獄絵図。2巻では「餓え」、とくに水を得るための死闘が白眉。デフォルメされた兵隊さんに意識がむきがちかもしれないけど背景武器すべてのモノがリアルを基調としてデフォルメされてるんだよね。きちんと「世界」がそこにある。そこが凡百のマンガとはちがうし、さすが「GANTZ」の作者の元アシスタントだけのことはあるなあと。奥浩哉先生とはちがったアプローチではあるが「絵で魅せる」。


南方の戦いでいうと水木しげる氏のマンガも思い出しますが、水木先生っぽいひょうひょうとしたキャラがひとりいて味わいがあっていいです。彼は今後どのように活躍するのだろう。



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2017年01月30日

伊豆漫玉日記 桜 玉吉 (KADOKAWA ビームコミックス)


週刊文春連載の「日々我人間」から間髪入れずに古巣ビームから出る。最大のちがいはやっぱり永遠のバディO村氏がいることだね。やっぱり要所でO村氏がいなくちゃねとは思わせる仕上がり。とくに「読もうコミックビーム」の開封済みのテンガをくれる話は涙が出た(マジで)。こういう人がいるだけで桜玉吉さんはステキな人生だと思うわ。

あと文春よりもぐちゃぐちゃした内容のことを描いているのも古巣ならではだね。
内容的にはほぼ同じの漫画喫茶滞在記から伊豆の滞在記の2本立て。
ムカデがダンシング・ヒーローを踊ってるのとか漫画喫茶のプレート問題とかやっぱり文春のページじゃ描ききれないもんね。そういうのを読むことができてとっても幸せ。

あとは「人」がよく出てくるね。ムカつく人、微笑ましい人、いずれにせよよく出てくる。そしてよくみてるよな。ムカつく人も画風でそこそこに描かれてるけど、たぶん、写実的なところもあるんだろうなあ。ファミマで横柄に道を尋ねた女性とか。そして彼女は自分がマンガ化されたことを知らないんだよな。そう考えるといいよなあ。桜氏にマンガにしてもらえて。


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2017年01月29日

ハイスコアガール(7) 押切 蓮介(スクウェア・エニックス ビッグガンガンコミックススーパー)


リバーシブル表紙カバーなんだね。裏にしても使える。
7巻はもう全開で三角関係編だね。日高さんの猛攻編。ちょっと息苦しかった。大野さんとハルオすら押されてる感じで。日高さんファンには大有効なんだろうけどな。なんか急に生々しくて面食らう。
はじめて「うーん」って思った。



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2017年01月28日

おしえて! ギャル子ちゃん 4 鈴木 健也 KADOKAWA


唯一といっていいほどWEB連載の段階で読んでいるマンガ。
[おしえて! ギャル子ちゃん 無料漫画詳細 - 無料コミック ComicWalker]
ちっとも更新しなくてやきもきしていたら4巻が電撃的(おれにとってはね)に発売された。OAD付の特装版もあったけどアニメのデキはあまりよくなかったのでいいです。

4巻は「MOVIE TALK」というどこかの雑誌に連載されている映画話が読んだことなくて新鮮でおもしろかった。本編自体にも映画の話はでてくるがそれはあくまで架空のもの。だけどここは本当にある映画。映画について3人(+α)で延々と語るという。どこか(多分作者のホームページ)でそのプロトタイプを読んだ気はするんだけど。実在の映画のほうがおもしろいす。
ということでギャル子ちゃんもかっこはギャルだけど映画少女にむかってフルスロットルというオモムキ。本線である下ネタを凌駕する勢いで映画の話をしている。というか読み返すとそんなことなかった。映画の話が印象深かったんだな。


あとギャル子ちゃんが少年とカルディなところで買い物する話とかそのあとの3人でみた映画の話(これは架空)とか印象的だった。(上記リンクよりバックナンバー86話ね)

そうこうしてサザエさん空間にいるあいだにギャルって形態もだいぶ死語っぽくなってきたよね。そう考えると長いよね。

相変わらず丁寧なマンガです。商品としての完成度が高いというかステキな1冊にまとまっているというか。オールカラーで描き下ろしマンガやイラストが豊富で単価が高くとも価値はあります。




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2017年01月27日

春と盆暗 熊倉 献( 講談社アフタヌーンKC)


世の中には「(いかにも)このマンガがすごい!(にランクインしそうな作品)」系なるものが存在するみたいでして。本作もamazonのレビューにそのようなことが書かれていた。さもありなん。

本作は4編の作品からなる短編集でいずれもボーイ・ミーツ・ガール。そしてガールはいずれもくだけたざっくりしたモノイイだと「不思議ちゃん」。なおかついずれもとってもキュート。

愛想のとってもいい笑顔がかわいいバイトの先輩は、心がモヤモヤしたら月面にむけて道路標識を投げて突き刺すことをイメージすると伝授される「月面と眼窩]。

毎回名前のちがうJKとカラオケ店員。そのうちに名前が中央線の駅名と気がつく「水中都市と中央線」

本作の女性は萌える。これが記号としての萌えではなくて武器としての萌えってのがこのマンガの最大の特長かと。
こういう「文学」みたいなマンガにおいて、萌えというのは往々にして、記号としてのそれであることが多い。なぜなら萌えというのはファンタジー要素が高いので文学みたいなリアリティを尊ぶマンガにとっては相性がよくない。相反する立場なんですね。だから逆に「おもしろ」とか「なんちゃって」とか「あえて」の意味での萌えに使われることが多い。

本作はきちんとかわいい。リアルでありつつ萌える女性が出てくる。リアルと萌えをつなぐキーワードがあります。それは「不思議ちゃん」。本作4話の女性はみんな不思議ちゃんで主人公はその不思議なところに翻弄されるという。この「不思議ちゃん」のさじ加減が絶妙。やや「萌え」ですけど、例えば、実写映画化されても3次元の俳優さんが無理なく演じることができるんじゃないかなと思わせるさじ加減。

「…というような子がいて」
「…… いやーそんな女の子が実在したらいいねぇ」
「…妄想の話じゃないんだけど」
(おまけ「二足獣」より)
こういうことですよ。
実写映画化だと新進気鋭の監督がそれぞれの話しを手がけるオムニバスにしたいな。そのプロデューサーかどれか1本の監督をやりたいわ。うーむ、おれは「月面と眼窩」か「甘党たちの荒野」かな。


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2017年01月26日

鳥葬のバベル(1) 二宮 志郎(講談社モーニング KC)


スゴイ。1巻の時点で謎と衝撃しかない。衝撃シーンがはじまって謎が生まれてまた衝撃シーンがってループが1巻のあいだえんえんと。
世話になった施設の先生と引き取った少女が巨大な鳥に襲われる。主人公が第一発見者。そいで犯人にまちがわれたりとかすったもんだしつつ人も順調に死んでいくんですね。
画力迫力は十分、謎や仕込みも上々。「刻刻」をはじめて読んだときのインパクトが有る。話は全然ちがうけど。ただ、収集つけられるのか?こういうので風呂敷たためずにウヤムヤーになってるマンガ多いからなあ。


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2017年01月25日

いぬやしき(8) 奥 浩哉( 講談社イブニングKC)


相変わらず1巻の感想がTwitterの文字数で余りまくる内容。そしてそれはまったくマイナス材料じゃない。ページ単価の高そうなゴージャスなハリウッド映画をマンガにした感。そりゃあ実写映画化&アニメ化もするわな。アニメ化も気後れするだろうなあこれだけの作画クオリティでいられたら。
ただ、だからこそ「あ、もったいないかな」って思ったらすぐに切れるって弱点もありそうだよな。実際「GANTZ」もヤバイときがあったし、正直8巻でみょうな区切り感がある。


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2017年01月24日

ゴールデンゴールド(2) 堀尾 省太 (講談社モーニング KC)


1巻のときでもおもしろかったけどまだどう転ぶかみえてなかったから判断は保留していたんだけど(このマンガがすごい!WEBのランキングには載せなかった)、2巻おもしろいわ。
離島に住んでいる中2の少女がフクノカミを拾う。すると不思議なことが起こるというざっくりしたあらすじでお願いします。
1巻も2巻も丁寧にけっこう遅めのテンポで話が進行する。ただ、薄らぼんやりと「なにかある」っていう誰しもが持つ予感は2巻でピントがカチッと合う。これがなかなかに「うわっ!」ってなった。
前作「刻刻」でもそうでしたけど、「絶対になにか起こる」って思わせる描写は本当に上手ですよね。随一の演出力ですよ。
まだまだ展開がどう転ぶかわからない。じわじわと動いていく先にはロクなことがなさそうだけど読まずにいられない。
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2017年01月23日

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち 田中 圭一 (KADOKAWA)


作者をはじめとしてうつ病を発症してそれを克服(もしくは克服しかけている)した方にうつの「ヌケ方」をたずねた同月発売の「箸とペン」よりさらにマジ度の高いコミック。ギャグは本当にない。
作者をはじめとして登場する人の意外なことよ。「え、うつだったんですか?」って。大槻ケンヂ氏、代々木忠氏、まついなつき氏、一色伸幸氏などなど。
それぞれのエピソードが自分はそうだと自覚もないし心療内科医的なところもいったことないのになんだか刺さるんだよな。本書内にあるステルスうつだったのかなーと思ったり、たんに感情移入の深すぎるやつかなとも思ったり。そういうことを感じるほど切実に身につまされるのですよ。そう誰しもが「自分は絶対大丈夫」とはいえない話ですからね。
この病気に悩んでおられる方の救いになればとのことです。たぶん、おれなんかよりずっと切実な人には大事な1冊となることでしょう。


ということと別の話も書く。
本書はKindle版がオールカラー。ここんところ電子書籍版と紙の本版に差がある作品が目につくようになってきた。たとえば、村上春樹氏の「村上さんのところ」という読者からの質問に答えたものは、電子書籍版のほうが圧倒的に回答が多い。
じゃあ電子書籍版のほうがいいのか?というと、そうでもなくて、前記の同月に出た田中圭一氏の「箸とペン」などは、各漫画家のタッチはカラーや印刷の雰囲気を味わうためにも紙のほうがいい(電子版持ってないので推測)。あと桜玉吉氏の「日々我人間」などは変則版型なので電子版は読みにくいそうだから紙のほうがいい。あとマンガではおなじみの見開きページは絶対に紙のほうがいいし迫力あるよな
音楽もいまだにCDか配信かということになってますが、それよりも「一長一短」ということでは、もっと昔のCDとアナログレコードが両方出ていた時代を思い出します。レコードとCDの収録曲や曲順がちがったりとかどっちにしようか悩ましかった記憶があります(そのうちCDで全部ぶっこんだ「完全版」商法かまされて結局全部買ういいお客さんになってましたが)。

それで本作のカラー。ちょっとは紙の版にもありますが、これがCG彩色で興味深い。手塚プロの作画がPCを導入したらこういうカラーの感じになるんかなあと。そこも興味深い。

あと次はどアホウな作品もよろしくお願いします。


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2017年01月22日

かぐや様は告らせたい 4 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ 赤坂 アカ (集英社 ヤングジャンプコミックス)


超天才で生徒会長の男と超天才で超大金持ちの副会長の女は相思相愛だけどそのプライド故にむこうから告白させないとダメという概念に囚われていろいろと策をめぐらさせるというラブコメ。
1巻を読んだとき「これって長く続けられるのか?」と思ってた。設定のしばりがキツイし、正直絵も展途上気味。でももう4巻。そして右肩上がりでおもしろくなっていく(絵もキレがましていく)。謎だ。よしじゃあその謎を解いてみよう。
ひとつは副会長、かぐや様の変節だな。ともにツンデレのツンの状態でむこうからデレを引き出そうとしてるんだけど、これがかぐや様がかなり頻繁にデレを見せるようになってきているんだよ。この破壊力が抜群なんだよ。ヤバイんだよ。3巻でもヤバイと思ってたら4巻だとさらに激ヤバなんだよ。なんだこの頭の悪い表現は。知的でおちついたふいんきのマンガレビューサイトなのに。というわけで早々に答えが出てしまいましたね。かぐや様がグンと可愛くなったからです。ひとつひとつのエピソードが長くなるという長期連載にありがちの現象も起こってますがこのマンガの場合それは功を奏しております。4巻がとくに奏してます。

雨の日にかぐや様の車で送る送らないから風邪をひいたかぐや様をお見舞するかどうかでモメてお見舞したらしたで昭和のラブコメみたいなことが起こってそれで修羅場が尾を引いてって4巻のメインディッシュともいえる流れが最高だったりします。
そして石上というなんのために3巻から登場したんだろう?ってキャラが活躍。随所でアクセントとして機能してます。おもにKYな発言で場をかき混ぜるという役で。
このマンガがいいのはサブキャラすべてが恋愛関連においてのほぼ関与してないってことですね。会長副会長の恋路を邪魔するのは本人のプライドのみという。とかくこの手のマンガには恋の鞘当てを登場させたくなるものだけどそれがない。鞘当は簡単に話に起伏をもたらしますからね。そういう点で「からかい上手の高木さん」と同じですね。ともにきつい「しばり」でがんばっておられます。

4巻の個人的な最高回は37話で最初から最後の「仲良し警察」までラブでコメのまま突っ走っていったと思います。こういうラブもコメも同時進行なのは「マコちゃん絵日記」でもありましたが個人的には新しいものを感じます。


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2017年01月21日

キラーハネムーン 1 栗栖 ナオ (小学館 サンデーうぇぶりSSC)


よくわからないけどサンデー系はWebコミックがスゴイですよね。

[キラーハネムーン | サンデーうぇぶり | 完全無料! 毎日更新!]

本作もそういうのです。よくわかりませんが。そいで話もよくわからない。ずーっと転がり続けているのできちんとあらすじを書くと膨大なことになります。1巻分延々こうでこうでってなる話だしそれがネタバラシになってしまったりもしますが、まあ上記サイトを読めばコミック以上に読んでいくことができるのでネタバレもなにもないわな。だから書こう。
バカップルのドタバタ逃避行(スプラッタ味)。外国でも日本でも映画でもドラマでもあるジャンル「逃亡者」モノですね。話のつながりや展開に無理がありまくるのですがとにかく転がって転がってって話はループせずにどんどん展開していきます。それをどうとるかがポイントとはいえます。
帯にある「ノンストップサスペンス」とはいえますが、せわしない展開ともうひとつ薄めのキャラとでなんていうかスピードは上々なんですが重みにかける感が。


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2017年01月20日

このマンガがすごい!WEBの1月(11月刊行作品)の「このマンガがすごい!」ランキングに投稿した原稿

【もっともオススメする作品】
「六道の悪女たち」 1巻 中村勇志 (秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)

【2番目にオススメする作品】
「レイリ」1巻2巻 岩明均&室井大資 (秋田書店)

【3番目にオススメする作品】
「僕のヒーローアカデミア」11巻 堀越 耕平 (集英社)

[このマンガがすごい!WEB]のアンケート協力者として、毎月、その月のベスト3を選び、寸評を書いております。
・毎月の投票によってランキングが決定するので毎回投稿した文章がすべて掲載されるとは限りません。
・もったいないので、その月の掲載期間が終わってから、すなわち次の月のランキングが掲載されてから、ここに載せることにしました。多少の加筆修正などもさせてもらいます。

・宝島社からは許可を得ております。



本文を読む
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2017年01月19日

タイムスリップオタガール(1) 佐々木陽子 (ほるぷ出版 ポラリスCOMICS)


三十路のオタクフリーターガールがコミケの帰りにタイムスリップして中学1年になる。1996年ですね。で、起こる騒動。1996年ってのが絶妙ですね。ネットなし、ケータイなし、PCなしにビデオデッキで録画の時代。
くわえて中学生だからカネもなしでオタグッズも買えない。それでどうするか?という。

主人公がアホのようにハイテンションで妄想にふけまくる。だから、まわりの誹謗中傷や中学生だから男子とどうしたこうしたって抵抗もさすがに30手前だからないってことで「君の名は。」での入れ替わってるときのような別人状態になる。
おもしろいのは三十路フリーターのオタクの唯一の武器として「画力」ってのがあること。ずっと描き続けてきたということでそりゃまあ中学生同級生よりは画力があるしそれまでのオタク知識の蓄積もあるってことで。
ただ、1巻ではそこまで戦略的に展開していかなくてあくまでハイテンションギャグとしてずっと1996年の懐かしさにワーキャーしたまま駆け抜けていく。それで全然OKってノリが楽しかった1巻ではあります。まあ、1巻はね。この次の巻がヤマバにはなるだろうね。

見開きWで4ページにも渡って中学のときの創作ノートを流すのは同じことしていた女性にはさぞかし刺さるだろうなあと思ったわ。
しかし、語尾が「ござる」のオタクって実在するのか? 四半世紀にまたがる謎。


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2017年01月18日

永遠の一手ー2030年、コンピューター将棋に挑むー 上 松島幸太朗 伊藤智義 (秋田書店 少年チャンピオン・コミックスエクストラ)


上下巻同時発売まとめて読んだ。
2020年、人間がはじめてコンピュータで将棋に負けた。そしてどうなった?ってシミュレーションから物語ははじまる。あっさりつづきを書きますが、将棋は「チーム戦」になる。各種将棋ソフト会社とプロ棋士は提携を組み、ソフトをサポーターとして将棋をするようになる。もうこの設定でしびれますね。

そしてそれから10年。2030年あらたな展開が。
マンガ家さんのほうは存じ上げない方ですが(秋田書店でスポーツマンガをお描きになっていたよう)、原作者はヤングジャンプで「栄光なき天才たち」を手がけておられた方で知識や物語の盛り上げ方はお手のものですわね。
ちょっと下巻以降の、「熱血」や帯にあるような「感動巨編」な展開は秋田書店のほうに寄せたのかと思ったりするんですが(個人的には人間関係狭すぎだろと)、いい盛り上げ方と着地だと思います。満足の一作(2冊)です。あと下巻のメガネっ娘のお母さんがとってもカワイイのでだれか薄い本を。







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2017年01月17日

いちまつ捕物帳 5 細野 不二彦(小学館 ビッグコミックス)


博覧強記の人だなあとつくづく思う。
細野版江戸バディ捕物帖。もっといえば細野版「佐武と市捕物控」かな。佐武と市のほう知らないけど。
ヌンチャクをつかう直情径行漢気の岡っ引き「いち」と女性のように美しくも謎の多い麗人「まつ」とのバディもの。
毎度毎度情報が鬼のように盛り込まれてる。スキあらば埋め込みまくる。こないだ長い長いスパンでもって出た「ギャラリーフェイク」の最新続刊も情報量はすごかったけどそれを超えるイキオイ。細野作品最多であろう情報が圧縮して入ってる。しかも、ご丁寧なことにおまけとして江戸の時代考証をしている人の「添削→(コミックスで)訂正」まである。
ただ、SFの人やファンタジーの人によくある情報と設定だけでクビが回らなくなるのとちがい、あくまで情報はストーリーとキャラに使役するわけです。「おもしろい」のためにうんちくも情報も時代考証も盛り込まれていきます。このストイックな姿勢。相変わらずの職人よのお。

今回感心したのは新キャラの登場シーン。物語に新キャラを登場させるというのはいかに難しいかということを知らされます。
本巻では千羽平八郎といういちの上司の同僚にあたる同心が登場する。そのタイミングとキャラが最高。四角四面な真面目な堅物を表現するのに不正などに怒ると懐から堅焼きせんべいを取り出してバリバリ食べながら喋る。で、名前にちなんで、せんべい同心ってな。ここいらはちょっとこってりしすぎるくらいわかりやすくもくどいくらいの細野節だね。おれみたいな長年のファンには「待ってました」となる。そうじゃない人にはくどいしダサいとみえるかもしれない。
でも、それゆえに絶対にキャラを見逃さないし忘れない。漫画家はもっとキャラを読者にわかりやすくするために命を削ってほしいわと思う次第でございます。

いいところでつづくのですぐに続刊が出るのはありがたい。


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