2017年06月08日

谷川史子 告白物語おおむね全部 30th anniversary 谷川 史子 (集英社マーガレットコミックス)


少女漫画の巻末のおまけエッセイ30年分です。それだけですばらしい文化遺産だよな。
またそれが谷川史子さんですからね。国宝ですよ。
1986年から2016年。元号も世紀も飛び越えてますしファミコンからSWITCHまでですよ。凄まじい年月です。
そんな中だと、巻末マンガの芸風も画風も変わってない方ですよね。そしてそれだからこそ変化がおもしろかったりもします。

こう読んでいると、谷川さんは誰かのちょっとした「金言」を聴き逃してないのがすばらしいね。エッセイコミック内でも医者に笑われるレベルで耳がいいなんてエピソードありましたしね。
それが本作のみならず諸作品でも名作を生み出している秘密なのかと思ったりしました。

だいたいが単行本時の修正や、この手のおまけページってのは原稿料は作者に発生しないんですよね。作者の気持ちだけで。だから、雑誌発表時が完全版と思ってる作者はまったく直しをしないし、表紙くらいしか描き下ろさない。実名を挙げると須賀原洋行氏とかな。それはそれで作者のこだわりだ。
つまり、この「おまけ」には愛が詰まっているわけだ。作者の単行本買ってくれてありがとう、単行本出してくれてありがとう、って「幸せ」の思いが詰まっている。
それの30年分ですもの。そりゃあ幸せのカタマリですよ。読んでいくうちに幸せにあてられてニマニマしてしまいます。
個人的には本書内の区分でいうところの2003年から2016年まで「part3」からのファンでにわかもいいところでいろいろな事実が判明してエッセイコミック1冊分まるごと楽しむことができたのでたいそうオトクでした。

かように発見が多くて、まさか谷川さんが「千夏のシュート」の作者と結婚なさっておられるとは夢にも思いませんでしたよ。えーと、もっとわかりやすくいうと「あまちゃん」のツイッターで有名な方。

ということで、結論、読むと幸せになりますよと。


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2017年06月07日

正しいスカートの使い方 位置原光Z 白泉社


前作「お尻触りたがる人なんなの」がすばらしかったのでおれとしては待望の1冊だったけどやったぜ前作超え。
JKさんたちのオムニバス読み切りショートギャグ。
すばらしかったところはエロのさじ加減。絶妙ってもんじゃない。このむずがゆいラインが本当に本当に良いね。

たとえば先輩男が卒業する。だから後輩女が「第2ボタンをください」と。すると先輩がボタンをあげるからそのかわりパンツをくれと。え?なんでパンツ? あげてばかりじゃ勿体無いからと。さすがにパンツはイヤだと。じゃあメガネをくれと。メガネっ娘だからメガネのほうがあなたの成分が多く含まれてるだろうと。で、こんな変態先輩だけど「そんなところが好き」みたいな。

これはかなり弱めだけどこういう感じで、「なんじゃそりゃ」的な不条理ややエロ会話でだいたい進行していく。

だからハダカも無ければそういうシーンもほぼない。サービスカット未満みたいのはあるけどさ。
それなのに「強制射精拳」って話では射精シーンがあるし、女性大勢に乳首を攻められるとかそういうシーンもあって、なんだよなんかモヤモヤするなという。

それがいいの!
この感覚唯一無二。




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2017年06月06日

監禁嬢(3) 河野 那歩也 (双葉社アクションコミックス)


膠着するかと思った3巻でしたが上手く切り抜けました。とくに巻末の衝撃がなかなか。
ただ、登場人物だれにも照準を合わせて読むことができない感は相変わらず。

ヤリチン男子教師がえらい目に合うハーレムマンガ。えらい目が生死に関わることだったりします。精子にも関わってますが。

3巻はエロが少ないと思いましたけどそもそもそういうマンガじゃないのでいいのか。
えーと、上手いと思ったけど、つきあっても次までかなー。これで終わらないと蛇足だろどう考えても。


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2017年06月05日

初恋ゾンビ 7 峰浪 りょう (小学館 少年サンデーコミックス)


林間学校編がメインの7巻っすか。
もはやどういうあらすじにするのがいいのかよくわからないけど、ラブコメっす。エッチよりっす。設定のフックも含めて現在の王道なんでしょうかね。よくわかりませんが、今やラブコメ命の小学館少年系雑誌のなかでも上位のほうの作品じゃないでしょうかね。全方面完成度は高いです。

林間学校ってことで、キャンプファイヤーで告白、お風呂でドッキリ、夜布団がひとつで息を殺すってな「ノルマ」を丁寧に、かつ、ちょっと変化球もまじえて押さえております。やっぱり上手だわここいら。

なおかつ6巻ではあまり出番のなかったもうひとりのヒロインであるパイオツバーンの幼馴染もけっこうフィーチャーしており、ここいらの帳尻合わせは匠の技ですね。

飽きさせません。


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2017年06月04日

2017年5月の「このマンガがすごい!」ランキング(3月刊行分)に投稿したもの

【もっともオススメする作品】
バイオレンスアクション 1 浅井 蓮次 (小学館 ビッグコミックススペシャル)

【2番目にオススメする作品】
ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ ―童貞SOS―(6)<完> すぎむら しんいち (講談社シリウスKC)

【3番目にオススメする作品】
時計じかけの姉 (1) いけだ たかし (幻冬舎コミックス バーズコミックス)


[このマンガがすごい!WEB]のアンケート協力者として、毎月、その月のベスト3を選び、寸評を書いております。
・毎月の投票によってランキングが決定するので毎回投稿した文章がすべて掲載されるとは限りません。
・もったいないので、その月の掲載期間が終わってから、すなわち次の月のランキングが掲載されてから、ここに載せることにしました。多少の加筆修正などもさせてもらいます。

・宝島社からは許可を得ております。


追記あり
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2017年06月03日

初情事まであと1時間 1 ノッツ (KADOKAWA MFコミックス フラッパーシリーズ)


作者最高傑作じゃないか。
はじめてHするまでの1時間を描いたオムニバス。はじめてだけあって同じメンバーはでない。
基本若い男女だけど、処女童貞ばかりではない。ふたりでははじめてってのもアリだから。
高校生カップルからはじまって、2話ではダンジョンの中でパーティーで生き残った勇者と魔法使い。サークルの先輩後輩。ネットで知り合った2人などなど。

同人誌であった元ネタたる話より商業誌の本編はやや説明的であるけどその分設定が飛んでいたりしてどっちも味わいがあっていい。

甘酸っぱい。そしてエッチだ。女性がわりとイケイケなパターンが多い。それでもカワイイし。

個人的には「ネディナ姫とキリク王子の場合!」がすごくきたわ。タイトルでもおわかりのとおりちょっとファンタジーな設定ではあるけどさ。だからこそ顕著で、この1時間でふたりの馴れ初めや今日の日までのバックストーリーがふんわりと描かれ、そして気分が盛り上がって盛り上がって「今」ってのが良くてなあ。常時としての絶頂はこのあとだけど、それ以外の絶頂はこの1時間にこそある。人生で大事な1時間だよなあ。
シリアスもギャグもバラエティに富んではいるけど甘酸っぱいということでは共通している。

しみじみいいです。このまま最高傑作ラインを持続して長く続いてください。


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2017年06月02日

コーヒーカンタータ 1 からあげたろう (KADOKAWA 電撃コミックスNEXT)


「わたしのカイロス」の作者による現代を舞台としたコーヒーマンガですよ。あまりに意表をついたジャンルなので最初同一人物と思えなかった。
女の子3人がコーヒーの学校に入る話。そいでコーヒーとはなんぞやを学ぶって感じですかね。1巻通して入学するところまでだから妙にスローペース。いまどきのマンガにしちゃけっこうなスローペースやなあ。いわれてみれば「わたしのカイロス」もそうだね。
コーヒーうんちくも豊富だけど、それより各種ギミックが「作り込みすぎ」でどこまでが本当のことでどこから嘘なのか見分けがつかなかったり。本当に温泉地に世界が震撼するようなコーヒー豆が採れた?とか、コーヒー専門の学校がある?とか、そこにはおさるの電車みたいのが走ってる?とかな。それらはフィクションとしてもどこかにモデルとしてる話があったとか?とか。

ただ、そういうグルメマンガのセオリーとは別で、「マンガ」としての完成度はバリ高い。それが昨今の風潮とちょっとちがうってことなんだろうけどな。「わたしのカイロス」でも同じようなノリは感じられる。
こちらとしてはおもしろいならオールOKなので。

2巻も期待(作者のさしあたっての描きたいところまで続いてほしい)。


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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 6 浅野 いにお (小学館 ビッグコミックススペシャル)


あー、ひとまずこれは「アイアムアヒーロー」にならなそうだなってのが感想の9巻でした。
花沢健吾氏の「アイアムアヒーロー」の「あの終わり方」というのは各方面に影響を与えそうな気がするわな。少なくともおれが編集だったら「おまえは「あの終わり方」できるほどの実績はねえんだからな」って新人にかましそうですよ。

東京上空に大きな宇宙船が浮かんでいる「日常」の少女たちを描いたマンガ。6巻ではかなり宇宙船側の事情を宇宙船にいる乗員(すなわちエイリアン)が語り始めております。

そして5巻から「終わり」が語られるようになりました。「人類終了まであと1ヶ月」ですよ。あと1ヶ月で単行本10巻とか続くかしらね?それはなさそうだし、話がみんな終わりに向けて収束しつつあるんだよ。だから「アイアムアヒーロー」にならなそうだよなあと。

あとひとつ思ったのが、本作、ちょい未来だけど、「今の現実」から跳躍した未来を描いている。そこがなんていうかな、ちょっと古いというか。不思議なズレを感じさせる。たとえば6巻では3Dプリンターで作られた銃が登場するけど、3Dプリンターってなんか微妙に古い感覚がある。それはなんか「イイ」んだけどね。

さあどうなる。


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2017年05月31日

まどからマドカちゃん(1) 福田 泰宏 (講談社モーニング KC)


主人公の通勤路にある道沿いのアパートにまどかちゃんが住んでいる。そいで毎回、窓の奥で「なにか」やるという。
たとえば焼き鳥屋、たとえば寿司屋、コスプレじゃなくて、ちゃんと焼き鳥を焼いて、寿司を握って、主人公に振る舞う。主人公は戸惑いながらも食べたりする。

まどかちゃんは20代かな。スタイルよし。おっぱい大きい目。クチが描いてない。喋らない。煙草吸う。お姉さんタイプ。
巻末収録のプロトタイプだとわりと主人公にホの字っぽいけど本編ではよくわからなくなっている。謎の存在。

まどかちゃんかわいさが8割で持ってる感じあり。

非常に細部に渡って細かく描写してるだけにいろいろと謎がある。1番の謎は窓を力いっぱい開けるとかカワイイを全面に押し出すのに煙草吸いはイマドキではないのと、喋らないの、彼女の行動やその位置づけが意味不明なのか意味があるのかのラインが微妙すぎるところ。
かわいいを売りにしてるのにそのためのアクセントがそれに使役されてないところね。

あと、窓の奥になにがあるってネタ自体も、ギャグマンガだからウソもまるでOKのラインなのか、それともギリで用意できるノンフィクション的のラインなのか。
どっちかに振り切ったほうがおもしろい気がするんだけど。できれば後者か。前者は昭和のギャグだから。
そうなると、窓の奥に釣り堀があったり、桜の木が生えているのはどうにもキツイ。
たとえば「からかい上手の高木さん」。このマンガには「ウソ」はないです。マンガの中の彼らは現実に即した法則の中で暮らしてます。本作はマンガ的なウソの世界にいるのか、それともこちらと同じところにいるのか。別にはっきりさせる必要もないけど、あやふやすぎるのはシラケる。

そんなこんな全部、まどかちゃんがかわいいからいいかーで乗り切ろうともしてる感。

それでいいならいいんだけど、後々苦しくなるんじゃないかなあと。だって、ずっとまどかちゃんがかわいくないとダメだし。
2巻までみてみる。1巻はずっとかわいかった。


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2017年05月30日

はじめてのひと 2 谷川 史子 (集英社 マーガレットコミックス)


うわ、せつない。1巻ってどうだっけ?というかこんな強くせつなさを感じる作品あったっけ?

シンプルにあらすじを書くと、好きだった男性が自分を好いてくれてました。でも彼は結婚して子供もいました。それでも好きが止まらないという。

んまあ、ベタベタな話だけど、その表現がすばらしかった。

両思いになって一夜を過ごしてラブラブになったけど、次の日に、友達に「その人独身なの?」と尋ねられた瞬間、世界が「黒く」なっていくんだよ。これは物理的な意味で。
そこがスゴイんだよ。つまり、その瞬間から、このマンガのこの世界は彼女の気持ちを明るさ暗さで表すようになる。スマホの画面の明るさ調節のスライドバーのように。

ココロに不安を覚えると黒くなり、それでも彼氏との愛情にココロが沸き立つときは暗闇に光が灯る。

会うと明るい。でも、前のなにも知らなかったころのように真っ白の明るさじゃなくてところどころに「影」が忍び寄るような明るさ。そしてふっとしたことでいっきに黒くなる。レストランで不倫の別れ話をみたり、友達にもう別れたといったら。

このふとしたことにサッと入ってくる「黒」描写がもうたまらない。そしてせつない。主人公がかわいそすぎる。

谷川氏の描写でベッドシーンとかこういうのを読む日がくるとはなあと(ってほど長年のファンでもないんでもしかしたらベッドシーンについてはこだわりのあることで有名だったのかもしれないけどさ)。
もしかしたら谷川史子氏の成年コミックがでまわる日も近いのか(さすがにそれはない。成年コミックの手法としてはアリと思うけど、マネできなそうだよなあ)。

ベテランの変幻自在の技に翻弄された2巻でした。


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2017年05月29日

いぬやしき(9)奥 浩哉 (講談社イブニングKC)


ラス前。こうきたかと思った。「GANTZ」と似てはいるけど、こっちのほうがアレだな。

あああ、ネタバレ込みでつづきを読むからだ!



つづきをよむ
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2017年05月27日

ハミングバード・ベイビーズ 1 朔田 浩美 (集英社 ヤングジャンプコミックス)


「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」の久住氏原作の新作グルメマンガ。作画の方も少女漫画系のベテランさん。こなれたカワイイ絵です。
コンサートで出会ったアラサー女子2人。ギタリストとドラマー。2人で組んでユニットをやることになる。それにラブ要素をからめたストリーラインと、基本2人で、「いい仕事」する酒屋でガンガン飲み食いして「あー最高」ってなるマンガ。
・久住氏がバンドを長年やっておられる方というのはドラマ版「孤独のグルメ」なんかでご存知の方も多いとは思うのだけど、バンドのライブや練習のあとの打ち上げ飯だよねつまり。
・なんというかいつもの飯というより「ハレの日」にちょっとスペシャルなものをみんなと楽しく腹に入れたいって感じのモノがメイン(その真逆もあるけど)で下戸なんだけど美味しそうに見える。

「花のズボラ飯」でもそう思ったけど、久住氏の「女子言葉」は独特だわ。あまり無理せずに書いておられるとは思うけど、作画が戸惑うようなセリフが多い。端的に「そんなこというか?」って。宇能鴻一郎氏をはじめ官能小説の大家の若い娘言葉的な。
それが味わいにはなってるね。ただ、好き嫌いは「孤独のグルメ」とか「食の軍師」のときより明確に分かれそうな気もするけど。

「うまさのループ 停止は不可能 ピーマンだめ押し トーゼンおかわり とっまっらっなっE!」
「大吉!! このジャンク味 ザッツ・オキナワ! スパムがどんギマリしてて ヤバイ!」

こんなの。また音楽がかなり重要な要素になってるマンガなのでセリフがリズミカル。

それを作画の方がちゃんとモノにされてるね。だいたいがグルメマンガがこんなに隆盛なのは、かわいいキャラと、写真取り込みでもなんでもいいからうまそうな料理を描くことができれば8割方完成ではあるからなんだよね。それに1アイデア入ったら完成。ここしばらくの参入のハードルが低いマンガだよ。
本作は上記の1アイデアね。でも、その1アイデアがかなりの「愛デア」なのよ。すなわち演奏シーンとかライブ後のダルい感じとかすごく上手く描けているなあと。これは久住さんどうお感じなんだろうなあ。

ただ、おれもバンドやってライブとか何回かやったけどこんなフレンドリーなのなかったけどなああ。演奏中ずっと袖で控えてる次のバンドに悪口いわれてたりとか(身内がそばにいて聞いてたのよ)。


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2017年05月25日

仕事場のちょっと奥までよろしいですか? 佐藤 ジュンコ ポプラ社


仙台在住のイラストレーターでルポライターな佐藤氏がルポする大人の「はたらくおじさん」なマンガ。
おれの購入動機は仙台在住の伊坂幸太郎氏といがらしみきお氏の仕事場訪問があることです。
仕事場拝見といっても妹尾河童氏のような繊細で詳細な鳥瞰図を描くような画風ではないし背景もちょっとだけなので仕事場より仕事そのものを本人にたずねて佐藤氏のおもしろかったことをいろいろとマンガ化する感じ。
ほかにはスナックのママとかこけし職人とかイラストレーター、グラフィックデザイナーとか。
作者わりと正直な人のようでノッてるときとノッてないといったらなんだけど描きにくい回がはっきりしてておもしろい。それは話をする人の情報量や人柄も関係ありそうだけど。
最大の特徴はボールペンで書いているという絵ですかね。フェルトの刺繍のような独特の質感があってこれは紙の本じゃないとわからない感じだなあと思いました。
いがらしみきお氏のクマガイ氏との出会いの話や、伊坂幸太郎氏の仕事の進め方とかおもしろかった。

ただ1200円は高い。読み応えはあるけど。


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2017年05月24日

踏切時間(2) 里好 (双葉社 アクションコミックス(月刊アクション)


踏切の遮断機が降りている間のオムニバスショートストーリー。
1巻は楽しかった。楽しかったけど「まあいいか」ってあまり深く考えてなかったので2巻はどうしようか悩んでいたけど、2巻が1巻を上回る傑作でしたよ。

1話めの「SNS兄妹」からいきなり新機軸。外で兄と話していると恥ずかしいので踏切を待っている間ずっとラインで話している兄妹の話。アニメ「月がきれい」でもうまく使っているけど、スタンプがいい感じにアクセントになるんだよね。それは実際もそうだけど創作でもいい感じ。
あとはゴスロリだったり重耳(三国志)だったり。上記のSNS兄妹もそうだけどスマホを上手く使ったりもしてるね。
前もあったっけ? 最後の2話連続エピソードも良かった。そもそも踏切とはA地点からB地点に移動する間に線路があるために存在するもので、A地点B地点とも待っている人がいる。その2人で話を作ることができるわけです。

ということでかなりおもしろくなったので3巻も期待です。あと、「SNS兄妹」は双葉社のほかの雑誌で独立させて連載すればいいんじゃないかな? そっちのほうがわかりやすく人気が出そうだわ。



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2017年05月23日

空挺ドラゴンズ(2) 桑原 太矩 (講談社アフタヌーンKC)


2巻もすばらしかった。あんまりすばらしいので2巻はどうしようかと思っていたんだ。
最近、重厚長大な作品、アニメでいえばジブリのような作品を前にするとひるむようになってきたんだ。脂っこい食べ物を好まなくなったのと同様、マンガも安定して大河なおもしろさが保証されているようなものは「別にいいかな」って反応を示すようになってきた。

ドラゴンがいる世界。そしてそれを狩って生活している人がいる世界。その狩人集団を描いております。
飛行船のような飛行艇でドラゴンを捕まえては街で売って生活する。

本作がすばらしい理由は大小を上手く描いていること。

大きなドラゴンも、街の人々の暮らしも、その縮尺をたしかにきっちりと描いている。地面も空も描いている。マクロもミクロも描いている。こういうのできそうでできないんだよね。
2巻は飛行艇で働く少年と娼館の客を取る前の娘の淡い恋と、捕まえたけど逃げ出した超巨大ドラゴンの捕物帖が同時進行する。
スケールの大きいマンガではありますが料理も美味しそう。すべてに神が宿るくらい細かく描かれており「みてきたんか」感が満載です。

読んでしまえば「読んでよかったな」とは思うんですよ。龍の肉のカツレツ食べたい。



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2017年05月22日

モキュメンタリーズ 1巻 百名 哲 (KADOKAWA ハルタコミックス)


モキュメンタリー、フェイク・ドキュメンタリーともいうけど(厳密にはちがいがあるんだっけか)、ドキュメンタリーを撮ってるってていで創作を描くという手法。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が有名ですね。日本だと「放送禁止」シリーズとか。
ホラーが多いような気がするけど、4話収録されている本作にはいまのところホラーはありません。

架空のマンガ家、百野哲を主役とすえ、実際にカメラをまわしているという回もありますが、フェイク・コミックエッセイといった感じで展開する。

4話はバラエティに富んでおり、
・あるAVだけを延々と落札している男と接触して話を聞く
・アイドルのライブまで歩いて行くという「儀式」に同行する
・自分探しにバングラデシュの人里離れた漁村に放置される
・海軍カレーに対抗していた陸軍ナポリタンがあった

といった布陣。
向き不向きでいうと最初の話が1番おもしろかったな。そして最後のはいろいろと無理があったような。

パッと思いつくのは島田虎之介氏「ラストワルツ」かな。テイストとかちがうけど、とくに前半の聞いてきたような法螺話感が共通点を感じる。

本作はシマトラ作品と比較するならストレートなマンガ表現と起承転結を踏まえたまっすぐな話作りな分読みやすい。それにモキュメンタリーというワンクッション挟んでいる感じ。

たいへんおもしろかった。2巻も期待します。1話のような謎解きがあるのがええですね。


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2017年05月21日

おばけ道 小野寺 浩二 (少年画報社 ヤングキングコミックス)


「ソレミテ」の続編。「ソレミテ」はすごいマンガだった。
幽霊をみようってことでマンガ家の小野寺浩二氏と「それ町」でおなじみの石黒正数氏と編集をつれて心霊スポットを巡るルポマンガ。
3巻にわたって続いて結論として幽霊なんかいないってことになる。つまり、3巻分、ずっと夜の心霊スポットでウェーイでもなくてわりと常識のある大人がみにいって「なにもいない」って帰ってくるという「なにもない」マンガを描き続けてきたわけです。画期的といえばこれほど画期的なものはない。なにもない空間から「ネタ」を錬金してたわけだからな。

で、続編は、前作の反省からはじまる。幽霊をみてないのはつまり我々に霊感がないからだと。だから霊感をつけるために修行しようと。で、滝に打たれてはESPカードで結果をみて、少年画報社のパーティーにいっては各マンガ家さんにESPカードを試してもらったりとか。
今回はちゃんとネタがあるわけです。グーンと描きやすくなったんじゃないでしょうか。
でもだからってあきらかに前作よりおもしろくなったかというとそんなでもないのがマンガのおもしろいところですね。

つまらなくなったわけではありません。相変わらずのやり取りですし。こういう内輪受けで盛り上がる系って雑誌にひとつは必要ですし、そういう「編集が出てくる内輪受け系エッセイコミック」のなかではかなりレベル高いんじゃないかと思います。


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2017年05月20日

ゾンビ少年と殺人鬼少女 1 田村ゆうき (秋田書店少年 チャンピオン・コミックス)


ゾンビの少年が殺人鬼の少女に切り刻まれるギャグ。
昭和のギャグマンガのような容赦のない切り刻みっぷりでスゴイとは思う。
だいたい公園が舞台で2人しか登場しない。そこにゾンビ少年が住んでいる。そこに少女が放課後やってきていっしょにいるという図式。
たとえば、キャッチボールをしよう。あ、ボール忘れたって、少年の心臓を取り出してボール代わりにするとかそういうネタ。
ただ、それはスプラッタってことじゃなくて、どちらかとエロにウエイトをおいていて、切り刻んでるときの少女が恍惚としたアヘ顔をしていたり、手ブラって切り取った手を胸につけてみたりとかそういう方向。

あらゆる点で非常に丁寧です。エロシーンはエロいしそこそこリアリティのあるスプラッタだしで。だから昭和ギャグチックとはいえ、いろいろなところは21世紀仕様ではあります。

いろいろと細かい設定や小技を仕込んでいるみたいだけどそれが功を奏すことはあるのかなと思ったり。そうして展開することに勝算があるのかしらんとか。


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2017年05月19日

隣町のカタストロフ(1) 菅原 敬太 (双葉社 アクションコミックス)


「走馬灯株式会社」や「鉄民」の作者の新作。
天変地異じゃなくて「地変天異」が起こる。そのときに人はどうするかと。
ぶっちゃけると重力が逆転するのね。空にあらゆるものが吸い込まれる。
そこで人はどうするか?というオムニバス。
と、1巻ではそうだけど1巻の終わりくらいから様相が変わっていくのでどう転ぶかわからない。
その日付時間やかなり地域性があるところとか、911とか311を連想するし、アメリカドラマのアンダー・ザ・ドーム的なところもあるね。
しかも、「いい話」がないのがおもしろい。高校のときに野球部だったけどしくじったためにニートになった男に「それ」が起こって向かいの家に住んでいる幼馴染で初恋の相手が助けを呼びかけて必死に助けたら、怪我してる彼氏も助けてとかな。

アメリカドラマ風ではあるけど、きちんと終わりそうなのがアメリカドラマとちがうところっぽいのでそこは期待。


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2017年05月18日

宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1 今井ムジイ (KADOKAWA MFC)


異世界モノ専門の雑誌が作られるくらいある昨今ですが、宝くじで40億円当たって寄付だなんだうるさいから人のいないところにいったらその家が異世界に通じていた。そして村はビンボーでヤバイ。だから、宝くじの資金とホームセンターでなんとかするって話。
おれはもっとこうなんていうか、ゾンビが現れてホムセンに立てこもっていろいろな道具を工夫して撃退する的な話を想像していたけど、しごく現実的に展開するのな。カマやらクワをアホほど買ってはリヤカーで運んで村に持っていく。なんとなれば業者にたのんで揚水水車を作らせてパーツごとに持っていって組み上げたりとか。栄養ドリンクを飲ませたりとか。
んー。いや、ま、現実的に考えればそうなんだろうけどなんかそこは思ってたのとちがって残念。

あと、主人公がこんなにまで献身的になるモチベーションとして村の女の子がかわいくてエロいってのがあるけど、大変にいいにくいですがその描写だいぶ足りないです。かわいくもエロくもないね。これは作画の責任。ほかのところがバッチリなのにまたどうして。しかも、鞘当の町のお嬢様と描き分けはできてるのに同じ感。

異世界モノは難しいっすね。いっときのグルメマンガやストーリー4コマ、エッセイコミックのような芋洗い状態で玉石混交。



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