2017年09月30日

淋しいのはアンタだけじゃない 3 吉本 浩二(小学館 ビッグコミックス)


完結巻。やや打ち切りの様相。でも、すべての謎を押さえきれいに終わっていたところは見事。
終わってから逆算してみると3つの軸があったと思う。それがあらすじも兼ねていると思うので書いてみる。

まず、「難聴」とはなんぞやということ。
次に、難聴のマンガ表現。
そして、すべてのキーポイントとなる佐村河内守。

これらについて追求しつつある程度の答えを提示しているドキュメントコミックの完結巻です。そういうミステリの側面もあるのでネタバレを考慮してこのラインはそこまでにしておきますが、この3つの謎が1本に収束していく(推測も多分に含まれるけどさ)展開はホントミステリの謎解きそのままでとってもエキサイティングでした。

「補聴器」が3巻ではキーになる。耳の悪い人がつけている印象ありますよね補聴器。これ、仕組みとしては単純で小さい音を拾って大きく増幅して耳に届ける。これは難聴の人だと「耳鳴り」も増幅されていくから苦痛でしかないんだって。それでも補聴器は必要。それはなぜか?ということから大筋につながっていく。これは目からウロコではあった。

さらにすばらしいことに3巻では大笑いした。それが佐村河内守氏とのパート。本筋に関するネタバレじゃないから書いておくと、1話が雑誌に掲載されてから佐村河内守氏に呼び出されて作者が向かうと、自分が太って描かれすぎているってクレーム。そうしたら奥さんが「あのときはあれくらい太ってたからしょうがないじゃない」と。「じゃあ今は20キロ痩せたのでその絵でつかってください」って。それを神妙な顔をして撮るシーンとかもうおかしくてしょうがなかったわ。そのあとの担当編集のフォローになってないフォローとか。あと、本当にそうだったんだろうけど、長距離異動のとき、横で寝こけている編集の顔とかしみじみとおかしい。
マジメな展開が多いですが、吉本氏の作品で本人が出てくるときのギャグ展開は実に侮れないんだよな。

トータルでそうとうおもしろかったです。

話題になってまたつづきを読むことができるといいなあ(あまり売れなかったようです)


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2017年09月29日

CITY(3) あらゐ けいいち(講談社 モーニング KC)

CITY(3) (モーニング KC)
Posted with Amakuri at 2017.9.26
あらゐ けいいち
講談社

これで安定した感じかな。3巻。
CITYに暮らす人々を描いた群像ギャグ。 ポイントは「カワイイ」の拡大再生産か。
「日常」のような女子3人組はいるけども、それ以外のほうがチカラが入っているように見受けられる。 たとえば大家族の朝の風景。たとえば各賞を進呈するジジイ。そういう女の子要素少なめのネタを意図的に入れてる。それは1巻2巻から引き続いている。まあでも相変わらず女の子が多いけどな。なぜならカワイイ成分を大量に収穫できるのは女の子だからね。

となると、ちょっと弱点もみえるなあ。そういう作風になった以上老若男女描かなきゃならないけど、老の女がちょっと苦手なご様子なあ。まあ、そこいらの発展も込みで楽しんでます。

もう、あらゐ けいいちマンガはそこにあってカワイイが摂取できるのであればそれで価格分の価値は生じますしね。ただ、作者自身「それだけじゃないんだお」って抗い続けておられる感じありますよね。そこが1番スキ。


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2017年09月28日

だんだん街の徳馬と嫁 上巻 藤見 よいこ(小学館ビッグコミックス)


上下巻ということで試しに。
戦後間もなくの福岡の話です。戦死した兄の嫁と結婚することになった炭鉱夫の話です。
純情な弟なのでひとつ屋根の下にすまっている元兄の嫁ですが、もう一歩踏み出すことができない。でも、いろいろなエピソードがあり、「そろそろか!」ってなったときに嫁がこともあろうに兄の名を口にしてしまうわけよ。

ほのぼのとした絵で、ちょっとつり目の一見クールビューティーですがころころと表情を変える元兄嫁が可愛いね。

あと読み切りの「あたしのフェデリカ」がまた興味深い。画家のダリ、その妹、そしてダリの親友の詩人。その三角関係をば。これが史実などの「へー」もあるし、随所に「いいシーン」がある佳作。

あとがきマンガの自画像に声を出して笑いました。このセンスすげえわ。これだけでもただ者じゃないなあと。

下巻楽しみにしてます。ただまあどうなるんやろ。


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2017年09月27日

ライカンスロープ冒険保険 2 西 義之(集英社ヤングジャンプコミックス)


RPG的な世界に保険を組み込んだ話。パーティーが全滅したら自動的に教会に連れて行かれて生き帰っているのは保険があるからだった。

2巻が最高だった。全エピソードが珠玉。

1話完結の、「保険業やっててこんな話があった」的なのが続くかと思ったら大きい話がゴゴゴゴと動き出す。

まずは魔王軍が「気がつく」。そりゃあそうだな。敵がやられてもやられても立ち向かってくるんだもんおかしいと思うわ。保険屋の社長が拉致監禁される。それを奪還にいくアクション巨編。いきなりクライマックス。

続いて、狂戦士のベタだけどマジ泣きの話に「くっ殺せ」がいいたいだけの姫戦士の1話完結的なこれが「本線」じゃねえのと思う話。

で、後半、社長の過去を知ってる男が登場していっきに物語がヒートアップして3巻に続く。

見事な構成。スキがない。適度にギャグ、適度にエロ、問題のないアクション描画。シリアスパートもずっと緊張感が漂うし。すべてにソツがない。

ただ、おれは未読ですが前作「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」のファンによるとこんな下品なのはダメですってことです(Amazonレビュ−より)。ふーむそんなものなのか。

3巻楽しみ。


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2017年09月26日

ロッタレイン 2 松本 剛(小学館 ビッグコミックススペシャル)


新潟長岡市を舞台に血のつながってない中学の妹に惚れる30歳のおとこの話です。
じわじわじわじわ丁寧に丁寧に中学の妹に惚れていくところを描いてます。ねちっこいなー。そしてエロいなー。松本剛史上最高にエロい。それが中学生女子ってのがまたなあ。やたらと入浴シーンとか扇情的。本人が思うと思わざるにかかわらず周りの男がいかれていくってタイプの魔性の女っすね。
上中下の中まできたので次に終わります。

中巻で2箇所。
まず、舞台の長岡市、1箇所いったことのあるイタリア料理店がでてきて「懐かしー」と思いました。まだあるんですね。そりゃそうか。当時も並んで入ってたんだもんな。

小学生に長谷川きよし氏の「卒業」を歌わせてました。「馬鹿な話さ、大人になるなんて」と。これまた謎の演出。

やっぱり悲劇が待ってそうですね。希望のある終わりがよろしいんですが。


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キング・オブ・アイドル 1 若木 民喜(小学館少年サンデーコミックス)


「神のみぞ知るセカイ」の作者の最新作。実ははじめて読みます。実は娘が「神のみぞ知るセカイ」が大ファンなので全巻揃ってはいます。いつでも読もうと思えば読めるのですがタイミングが合わずにどうも。東山奈央氏のこの世界〜のキャラソンアルバムは持ってるんですけどね。彼女がどんな役かも知らずに。ということで1巻が出たので本書から。

アイドルの話です。
キングオブアイドルを目指す主人公といっしょにがんばるアイドルの卵たちとの合宿生活です。
ポイントは主人公は人を魅了する魔性の声を持ってます。そして男です。なおかつ1曲歌うとチンポがギンギンになります。そういう設定。
ものすげえ王道だなと思った。それこそ「キングオブサンデー」な。おれは古い人なんで永井豪先生の「いやはや南友」なんてのを思い出したりする。すごいベタなエロコメでアイドルモノになっている。すばらしい。エロいシーンも多いし、ああそうだそうだ。こういうベタな感じ。主人公がいきなりアイドルのトップとからんでいったりとかな。いちいちカツラをとってみたり、男性用のパンツはいたりとか、ベタなことお約束を延々と続けている。そしてそれが「これだよ!」っておっさんには非常になつかしさがあるけど、ヤングにはどうだろう?って。でも、これこそが「キングオブベタ」なんだよなあと。
そこがすごい。週刊少年サンデーをまたキングにする。まあ、かつて少年キングがあったからややこしいけどもさ。チャンピオンにするってのもややこしいね。

またみんなかわいく描いているのがいいね。ヒールになる子も必然的に現れそうなんだけどな。

そしてあと思うのはしみじみとAKBのシステムよ。やっぱり秋元康氏は天才だわな。いったいいくつこのAKBのシステムをベースにしたアイドルもののマンガやらフィクションがある?AKBオフィシャルのもいくつかあるしな。
たぶんに、バラエティやらモーニング娘。関連のネタをも経ているのだけど、やっぱりAKBで確立した感あるよな。

ただ、アイドル大好き、若木民喜大好きな娘はなんかハマらなかったみたいなので2巻以降はわたしが買ってみます。この往年のサンデーエロコメってラインは何百周して新鮮。「うる星やつら」だってそのラインだぜもともと。


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2017年09月24日

サーカスの娘 オルガ 1巻 山本 ルンルン(KADOKAWA ハルタコミックス)


しばらくぶりの山本ルンルン。なんだか再発だの復刻だの多すぎて、おれは買ったか買ってないかわからない作品は基本買わないしそれが続くとその作家が嫌いになってしまうのでご無沙汰だったのです。だから復刻や再発はあまりやらないほうがいいですよ。それやるくらいならまったくまんまで出せばいいのに。
余談からはじまりました。

ロシアが舞台。サーカスに売られた少女オルガの青春物語。

これが相変わらずの小学生でも読むことができる内容とかわいらしい絵なのに苦い苦いストーリーでドキモを抜くスタイル。
オルガ自体も表紙にある御曹司との淡い恋をずっと抱えつつもサーカスの宿命で旅から旅の毎日(彼の描いた絵のクッキー缶を探す話は泣けた)だけど、ほかのキャラのさりげない苦さがまた。将来を誓いあっていたオルガの世話役の姉さんの彼氏がフィアンセといるところ遠くからみつけ、すべてを察して目配せだけで済ませるとかな。苦いんだよ。小学生には苦すぎるだろ。

前のJIVEって出版社から出していたコミックはオールカラーだったけど、今回はモノクロ。それでか知らんけど、テレたり寒かったりのほっぺたが赤い表現を表す斜線の細かさが妙にロシアっぽいというか白人の人の顔の赤さを感じられて効いているなと思った。こういう細かいところに本当に神が宿ってるんだよなあルンルン氏の描画は。

ルンルン節は健在ではありました。


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2017年09月23日

いぬやしき(10) 奥 浩哉(講談社イブニングKC)


完結しましたね。
宇宙人の手違いで4人家族のお父さんが死んでしまったのでロボットにしました。彼は奇跡のチカラを利用して次々に人々を幸せにしました。いっぽう同時に同じ目に遭った高校生は非道の限りを尽くしました。お父さんはこいつをやっつけました。そして平和になりましたと思ったら地球に隕石が堕ちてくることになりました。さあどうするか?ってのが10巻の内容です。
きれいに終わった。つまりは、ベタに「まあそうなるだろうな」って内容。ストレートのど真ん中を豪速球で投げて見事にミットに収まりました。プロの仕事ですね。ベタを正面切って「どうだ」って描くことができることがプロだとは思いますです。

そして映画化アニメ化と。きれいですね。全く異存がないです。こういう作品は必要です。10巻分楽しむことができました。

編集やら映画屋やらアニメ屋やらNetflixはこの「やり方」を見習え。最初から映画1本、アニメ1クールにあった尺の話を原作にして展開すればいいんだよ。同じことできる人が早々いるとは思えないけど。冨樫義博先生とか荒木飛呂彦先生あたりは映画1本分の原作をコミカライズすることには興味があるんじゃないかしらね。

とまれいい話でした。


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2017年09月22日

映像研には手を出すな! 2 大童 澄瞳(小学館ビッグコミックス)


2巻!
JK3人組の妄想と冒険にみちたアニメーション制作マンガ。子供の頃にあった「ごっこあそび」やアクションマンガを描いてるときに脳内で炸裂したあれこれを具現化しつつアニメを描いている。
2巻はロボ研の依頼でPVを作るという。なるほどそういうテがあったなあという「学園漫画」な展開。アニメコンクールに参加してどうこうって展開は彼女ららしくない気はするからこれは正解かと。

想像力もこだわりも妄想も現実もどんどん加速していって2巻のクライマックスも上映会ってパターンは1巻と同じだけどやっぱりこれは決まりなのかねえ。今回もばっちりハマりはする。
そしてなにがよかったって映像研の情熱が「伝染」るシーンだな。ロボ研も彼女らの本気にほだされてどんどんヒートアップしていく。うーん。ものづくりは美しい。素晴らしい。

あと名前が出ていた音曲浴場も登場ということはつまり入浴シーンもあるけど、これがまたJK3人の入浴シーンなのに世界一エロくなかったなー。それも「らしい」けど。


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2017年09月21日

賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編(13)(14) 福本 伸行(講談社ヤンマガKCスペシャル)




13巻14巻まとめて出ました。やたらと遅くなってましたがなんだったのだろう?大幅加筆修正ってやつかしら?そのおかげで楽天ブックスの注文が溜まってて13巻だけ3冊届きましたよ。まだ返本処理してないな。

ということで13巻14巻。2巻で時間が何分動いたのだろう。ワンポーカーという賭けをしてます。1枚づつ出して数字の大きい方が勝ちって基本で複雑なルールがアホほどある。それでレイズするかどうかで2巻。

マンガ家(に限った話じゃないけど)は何人か許されている立場の人がいる。たとえば江口寿史氏は描かなくても、連載を落としても許してもらってる。もうまともなマンガを描かなくなって久しいけどマンガ家っぽいスタンスでいらっしゃる。
冨樫義博氏もときおり描いたら評価される。また、江川達也先生はどんどん絵が薄くなっても評価されていた。

そういう感じで福本先生もなんかいろいろと許されてる感じはあるよね。最初のエスポワールあたりだったらワンポーカーは全部込みでコミック3巻くらいでまとまっていたような気はするよね。

でもいいじゃない。福本先生の「カイジ」なんだし。「トネガワ」や「ハンチョウ」の元ネタなんだし。そしてわりと重要なことは「おもしろい」しな。雑誌媒体で読んでたら毎週毎週「死ね」と思うかもしれないけど13巻14巻でみたら「ああまあこれはこれで」って。

クライマックスではあるしよろしいんじゃないでしょうか。しかし、「カイジ」は落としどころが難しくなっているなあ。


posted by すけきょう at 17:30| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする